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【第十二章完結!】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十章

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十一階を見学しよう1

「本当に町が見えてきたな」


 ヴァルキリーギルドについていくと遠くに町が見えてきた。

 高い城壁に囲まれた中世風の街があって、人の姿も見えている。


 城門の前に人が並んでいて検査を受けて中に入って行っている。

 まだ町中は見えないものの人の営みの一端は感じさせている。


 町に近づいて行って城門前の行列に並ぶ。


「あまり歓迎されている感じはないな……」


 圭たちが並ぶと列に並んでいた人たちがジロジロと視線を向けてきた。

 敵意のようなものは感じないけれど気分のいい視線ではない。


「言っただろ、私たちはこの階において異国人だって。つまりは全く知らない国の知らない人間ってことだ。攻撃はされなくとも警戒はされるのさ」


 警戒の視線もどこ吹く風と無視して赤城は説明してくれる。

 見慣れない外国人がたくさんいたら圭も一度ぐらいは見てしまうかもしれない。


 それが武装していた集団なら警戒ぐらいはする。

 言われてみれば自然な反応かもしれないと思えてきた。


「町中に入っても同じように見られるはずだ。ただし警戒した視線と敵意の視線を間違わないように気をつけろよ? 何かの因縁をつけてくる奴がいるかもしれないからな」


 ただ警戒しているだけのやつなら放っておけばいい。

 しかしそれに紛れて敵意のある奴を見逃すと何か仕掛けてくるかもしれない。


「しょうがないさ。だが初日から攻略を始めて試練をクリアしていくと町全体の好感度も上がってくから少しの辛抱だな」


「そこらへんもゲームみたいだな」


「ゲームの知識あるならそんな感じで考えて対応した方が楽かもな」


 いつまでも警戒して視線を向けられているわけじゃなくやがて興味を失ってみんな自分のことに戻っていく。

 そうしている間にも列は進んでいく。


「そういえば……そのまま中に入れるのか?」


 城門で行われているのは検問のようだ。

 異国人として警戒されているのに中に入れてもらえるのだろうかと圭は気になった。


「そこは心配すんな。外に向けて情報は出してないが効率的に攻略できるようにギルド間では情報共有がなされてる。無理矢理入るとかって方法もあるけど、一番手っ取り早いのはこれを使うことだ」


「それって……魔石?」


 赤城が取り出したのは魔石だった。

 塔の外から持ち込んだモンスターの魔石である。


「これでどうするんだ?」


「まあ見てろ、もうすぐ私たちの番だ」


 気づけば列も短くなって圭たちの番も目前だった。


「異国人か。何の用で町に入ろうとしている?」


 門の前にいた兵士が訝しげな視線で圭たちを見る。


「仕事を探しにきた」


 そう言いながら赤城は魔石を兵士に投げ渡す。

 兵士は魔石をキャッチすると魔石のことを確認する。


「仕事か……しかしこの人数を入れるつもりか?」


「……ああ、頼むよ」


 赤城はもう一つ魔石を投げ渡した。


「しょうがない。トラブルは起こすなよ。開門だ」


 兵士が振り向いて門の方に声をかけると門がゆっくりと開く。

 大きな門が全部でなく少しだけ開いたところで止まった。


「早く入れ」


「感謝する」


 圭たちは開いた門から中に入っていく。


『メラシオニに辿り着け! クリア


 シークレット

 戻らぬ時を取り戻せ』


 中に入ると試練が更新される。

 どうやら今入った町がメラシオニというところらしい。


 ただ次の試練は現れない。

 自分で探すしかないのである。


「賄賂ってことか」


「その通り。一応お金のようなものもあるけど魔石やモンスターの素材は引き取ってお金に変えてくれるんだ。だから魔石も直接財貨として扱われる」


「賄賂で通すなんていいのかぃ?」


「そこは私の知ったことじゃないさ。だが門の警備は緩い。さっきの検問だって怪しいものがなければ基本は通すようだ。面倒だから魔石の賄賂でさっさと通ったけどな」


 赤城が門番に魔石を渡したのは賄賂という意味であった。

 怪しくなければ通れるのだが異国人は怪しまれる。


 そこで魔石を渡すとノーチェックで通してくれるのだ。


「さてようこそ、十一階の中の中心地、メラシオニへ」


「なんというか……異世界に来たみたいだ」


 城壁の中には町が広がっている。

 アニメや漫画で見たような中世風の町並みで、外国人っぽい人たちが町を歩き、馬車まで道を走っている。


 まるで異世界のようだと圭は感じた。


「ははっ、誰かもそんなこと言ってたな。転生したみたいだとか」


 中に入ると相変わらずジロジロと見られる。


「ひとまず金だな」


 攻略するつもりはないので自由に見学してもらうつもりだったが、金があれば困り事を解決したり多少人の話を聞けたりする。

 魔物素材取引所というところにやってきた。


 書いてある文字は見たことないのになぜか読めるのだから不思議である。

 取引所に入った赤城は魔石を出してそれをこの世界でのお金に変えてもらう。


「ほらよ。あまり多くないが無くさないように気をつけろよ」


「ありがとう」


「ここからはいくつかのグループに分けて町の見学に行く。お前らは……黒羽に任せることにするよ。日没の概念もあるから日が暮れてきたらさっき入ってきた門の近くに集合だ」


「ああ、分かった」


 大きな集団で移動すれば相手の警戒も大きくなるし動きも遅くなる。

 圭たちはヴァルキリーギルドと別れて行動することになった。

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