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【第十二章完結!】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十章

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魔王の集まり

「こんなこと許されていいのか!」


「許してしまえば魔界のバランスが崩れてしまうぞ!」


 急遽魔王たちが集められた。

 その場においてルシファーは複数の魔王から糾弾されていた。


 ただ当の本人は何を言われようと関係ないと涼しい顔をしている。


「ルシファー、この責任をどう取ってくれる?」


 銀色の髪に銀色の瞳をした美青年風の悪魔がルシファーのことを睨みつける。


「責任? なんの責任だ?」


「決まっているだろう、サタンのことだ。あのような状態にしておいて……」


「はっはっはっ!」


「何がおかしい?」


 ルシファーが笑い出して銀の悪魔は顔をしかめる。


「お主らはいつから仲良しこよしの貧弱集団になったのだ?」


「なに?」


「今こうして集まっているけれど私たち悪魔は本来食うか食われるかの敵対関係だっただろう」


 ルシファーの体から魔力が漏れ出して魔王たちが静かになる。


「隙があればいつでもその首を掻っ切るのが魔界というモノだ。それなのにお主らときたら裏で手を組んでサタン君がやられたからと私に責任を取れと言う……魔王の一柱たる存在がやられて喜ぶどころか怒り出すとはな。腑抜けたものだ」


「ぐっ……」


 ルシファーに鼻で笑われて銀の悪魔は顔をしかめる。


「強いものが勝ち、強いものが偉い。負けたサタンこそ負けた責任を取るべきだ。もはや魔王などと名乗るのがおこがましいとは思わんか?」


「それは……」


「新たな悪魔たちが力をつけておる。ただ魔王の席に座っているだけのものなどもはやいらないのだよ」


「まだ死んでもいないのに魔王の座から降ろせるわけがないだろう!」


「死ねば席が空くだけだ。生きてるから降ろせるのだよ」


「傲慢……!」


「その通り」


 なんならこの場にいる全員でルシファーを倒してしまいたいぐらいだと銀の悪魔は思う。

 しかし部屋の隅にはまるで置物のように立っている調停者がいる。


 ルシファーに襲い掛かれば調停者が敵に回ってしまうことになる。

 ルシファーだけなら複数で戦えば勝てるかもしれないが調停者まで加わるとそれそこ魔王の座が全て空席になってしまうかもしれない。


「それともう一つ。私なんかよりも責任を追及すべきのがあるだろう」


 魔王の席には二つ空席がある。

 一つはサタン。


 ルシファーとシャリンによって瀕死に追い込まれたサタンはいまだに回復しておらず姿を現さなかった。

 そしてもう一つはベルゼブブ。


 ベルゼブブはアザードの危機に無理矢理現世に姿を現した。

 そして魔界への入り口が崩壊して流入現象により吸い込まれてズタズタになってしまった。


 死にこそしなかったけれど大きなダメージを受けて動けなくなって城にこもっているのだ。

 さらにはベルゼブブが作り出した入り口が崩壊した影響で魔界の階層を移動するための階段が崩壊してしまった。


 どんな悪魔も手を出すことが許されていないはずの階段を崩壊させた罪は重い。

 悪魔同士の争いはしょうがないとしても全く関係のないところで階段を崩壊させてしまったのだから責任は追及すべきである。


「…………」


 悪魔同士で争ったことでも責任を追及しようとしたのだ、ベルゼブブの責任を問われては誰も反論できなかった。


「不可侵を掲げた階段を壊したのだぞ? どうする?」


 正確にいえば悪魔同士で争うことは禁止されてことでもない。

 魔界が荒れ、他に被害が及ぶかもしれないから魔王レベルの悪魔同士で戦うことはやめておこうという暗黙の了解のようなものである。


 一方で階段の破壊は魔界においてやらないようにと広くみんなが知るルールである。

 門にも異常をきたしているのだし単純に考えてベルゼブブの責任は重たかった。


「消滅させてしまおうか?」


 ルシファーがニヤリと笑う。

 すべての責任をとって殺されても文句はないだろう。


「そのようなこと……」


「ならばどうする?」


「そ、それは……」


「500年ほど幽閉で構わないだろう」


 腕を組んで黙していた悪魔が口を開いた。

 四本の腕があり二本ずつで腕を組んでいた。


 中性的な顔をしていて体つきも男性か女性か分からない。


「アスモデウス! お前は誰の味方なんだ!」


「私は誰の味方でもない」


「そもそも協力していれば……」


「協力なんてしていたら今頃サタンのように半殺しにされていたかもしれないな」


 かつてルシファーの使徒であるダンテやユファを襲った時アスモデウスは協力しなかった。

 どうせ失敗するだろうと思っていたからだ。


 ルシファーと敵対するぐらいなら何もしないで静観している方がマシだった。

 結果はアスモデウスの予想通りとなったのである。


「ふん……ひとまずシャリンのことはバレていないようだな」


 シャリンという魔王レベルの存在がいることもシャリンが現世に渡ってしまったこともバレていないようでルシファーは内心ほっとしていた。

 騒ぎ立てていればいい。


 今はまだ未熟で弱いところのあるシャリンだが時間が経って冷静さと戦い方を身につければ魔王の座はきっと変わる。

 くだらない責任問題を追及している間に下から新たな才能が迫ってきているのだ。


 ルシファーは一人ほくそ笑む。

 世界が危機に陥っていることも後ろにシャリンのような強い悪魔が迫っていることも知らない。


 こんな愚かな魔王など滅んでしまえばいいとルシファーは思っていたのであった。

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