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【第十二章完結!】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第八章

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潜入、暴食の悪魔の城6

 圭たちは狼狽えて周りを見回す。

 後ろを見るとドアがあって船内が見えている。


 ドアの内側が明らかに以上な空間になっているのだ。


「まるで船の中じゃないみたい……」


「いや、船の中じゃない」


「どうして断言できるんだぃ?」


「だって地面が揺れてないからな」


 大型の客船なので船に乗っていてもほとんど揺れている感じはない。

 けれど立ち止まっても集中してみるとわずかに波に揺れていると感じることはできる。


 しかし今この異常な場所では揺れている感じが一切ない。

 つまり船の中の一部屋なのではなく、船の中に入り口があるだけの異空間なのではないかと圭は考えたのである。


「確かに言われてみれば船の中のような揺れてる感はないな」


 覚醒者である圭たちは一般人より感覚が鋭い。

 船の上ならば感じられるはずの揺れがないことにみんなも言われてみて気がついた。


「あなた方は何者ですか?」


 進むにしても異様な気配のある場所だと警戒していると奥の方から人型のモンスターが歩いてきた。

 人間の男性にも近いが青い肌をしていて頭に虫のような触覚が生えていて明らかにモンスターであると分かる。


 ただモンスターは普通に言葉を話して圭たちに接してきた。


「ご主人様の力を感じない人間……雇われ? 新入り? あるいは……侵入者? しかし悪魔の力を感じる……」


 青い肌のモンスターはブツブツと独り言を呟く。


「そのお力、上級悪魔のようですね。私、暴食の魔王ベルゼブブの配下が一人、ページアルと申します。今日はどのようなご用件で」


「悪魔……?」


 青い肌のモンスターは明らかに圭のことを見ている。

 かなみは訳がわからないといった表情をしているけれど圭たちには分かっていた。


 圭の目は準魔王であった悪魔のヘルカトの力が宿っている。

 ダンテは圭を見て悪魔の力を持っていると見抜いたし強い力を持つ悪魔なら圭の目が悪魔のものであると感じ取れるらしい。

 

 だとしたら相手は悪魔で、圭の目の力について見抜いているのだろうと思った。


『ページアル

 暴食の魔王ベルゼブブに仕えている上級悪魔。

 牢屋に閉じ込められた悪魔や人間が絶望する様を見ることが楽しみである』


 圭が真実の目で見たところ確かに悪魔だった。

 かなり情報が少なくサイコパスっぽそうなことぐらいしか分からない。


「ここは何なんだ?」


 今のところページアルは敵意を見せていない。

 話が通じそうなら少し情報を聞き出すのも手段だと思った。


「ここはベルゼブブ様の居城バアルでございます。その地下にある牢屋が我々のいる場所です」


「さらわれた人がここにいるな?」


「ええ、いらっしゃいますよ」


「返してくれはしないか?」


 ダメ元で頼んでみる。


「申し訳ございません。我が主に捧げられたものですのでお返しすることはできないのです」


「力づくでも取り返すと言ったら?」


「……やはり遊びに来られたわけではなさそうですね」


「くっ!?」


 ページアルから魔力と殺気が漏れ出す。

 圭は思わず鋭い刃が突きつけられたかのような錯覚を覚える。


「侵入者であればお帰りいただきましょう」


「圭君!」


「あぶねっ!」


 ページアルが消えて、かなみが手を伸ばした。

 圭の目の前に水の塊が浮かび上がって、次の瞬間ページアルの拳が水の塊を殴りつけた。


 圭が顔を逸らして水の塊を突き抜けてきたページアルの拳をかわす。

 かなみが防いでくれなきゃかわせたか分からなかった。


「この!」


「おらっ!」


 波瑠とカレンがページアルに攻撃を仕掛ける。


「むっ、ぐおっ!?」


 左右からの挟み込むような攻撃をページアルは両手を伸ばしてそれぞれ受け止めようとした。

 けれど波瑠のナイフはページアルの手をたやすく切り裂き、カレンのメイスは触れた瞬間肌が焼けて鈍い痛みを感じた。


 波瑠のナイフは神をも切ったナイフである。

 その切れ味は最高級で簡単には防げない。


 そしてカレンのメイスはイスギスが作った神の力の宿るメイスで悪き力を払う神聖な力がある。

 悪き力は汚れた魔力に留まらず悪魔も含まれるようだ。


「くらえ!」


 かなみの水を被って濡れた圭は剣を突き出す。


「チッ!」


 ページアルは上体を逸らして圭の剣を回避して大きく後ろに下がる。


「神の力……あなた方何者ですか?」


 波瑠に切られた手はすでに傷が治りかけているけれど、カレンのメイスを受けた手は焼けただれたようになって治らない。

 圭からは確かに悪魔の力を感じる。


 なのにカレンが用いた力は神の力である。

 悪魔の力を持つ者と神の力を持つ者が一緒にいるということにページアルは困惑していた。


 両者は相容れないものであり、手を取り合うことなどないというのが悪魔の常識である。


「……何だというのですか」


 ページアルはより集中して圭たちを観察する。

 薫からはほんのりと神の力を感じる。


 カレンも装備から神の気配がしている。

 一方で圭は悪魔の力を感じさせ、波瑠がスキルで作り出した翼からも悪魔の力に近いものを感じている。


 チグハグな集団というのがページアルが受ける印象であった。


「まあいいでしょう。主の居城を荒らす不届き者を捕らえて聞き出せばいい!」


 ページアルが圭に向かって手を伸ばすと黒い魔力で作られた魔法が撃ち出された。


「はっ!」


 かなみが圭の前に出て水の壁を作り出して魔法を防ぐ。

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