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【第十二章完結!】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第七章

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塔を登ろう4.

 五階から六階へのエントランスの前で立ち止まって圭は考え込む。

 波瑠に言われて思い起こしてみるが、現れた表示は他の人たちと変わらずボスモンスターを倒せという五階の試練のものだけだった。

 

 状況的にシークレットクエストがあってもクリアできたとは思わないけれど、シークレットクエストがありすらしなかった。


「シークレットクエストって何かしら?」


 そのまま次の階も攻略しに行こうとしていた圭たち。

 大海ギルドや他の覚醒者たちは解散となったのだけど時間もあるし次の階に行ってもいいだろうとなった。


 いつものメンバーに加えてかなみが圭たちについてきていた。

 周りにバレないように魔法使いっぽいローブを羽織ってフードを被っている。


 そんなかなみはシークレットクエストについて知らないらしく首を傾げていた。


「知らないのか?」


「知らないわよ?」


 大きなギルドは知っているみたいに聞いていたのになと圭は思ったが、かなみが知らないと嘘をつく理由もない。


「シークレットクエストってのは……」


 圭はかなみにシークレットクエストについて説明する。


「そんなものがあるのね。きっとうちのギルドは塔の攻略をほとんどしないから聞いてないんだわ」


 ギルドにも色々ある。

 圭たちのリーダビリティギルドのように小さなものからかなみの大海ギルドのような大きなものまで規模だけでも違いがある。


 ギルドの活動内容についてもそのギルドによって違う。

 あまり活動しないで活動地域周辺でゲートが発生したときにだけ治安維持的に動くギルドもあれば積極的に遠くまでゲートを攻略しに行くところもある。


 かなみのギルドは活動地域を広くを持っていて、その中でゲートがあれば状況を見て攻略しにいくギルドになる。

 地域内にゲートがあれば積極的に攻略するが活動地域外での攻略には消極的であるのだ。


 塔の攻略は必要性が低く、大海ギルド全体で攻略するつもりはなかった。

 ゲートに比べると確実性があるので今回のように練習などのために利用することはあっても上を目指すことはしないのだ。


 シークレットクエストのことは秘密の情報になり、あまり広く知られると競争の原因にもなってしまう可能性がある。

 そのために塔の攻略に積極的ではないかなみにはシークレットクエストのことは知らされていなかった。


「でもシークレットなんでしょ? どうしてあるとかないとか分かるのかしら?」


「俺にだけは見えるんだよ」


「えっ?」


「俺にはそういうスキルがあって塔の試練の下にシークレットクエストが表示されるんだ」


「へぇ〜圭君すごいのね」


 かなみはシークレットクエストに興味がない。

 実家から分かるように元々超お金持ちだったかなみはお金に対する興味が薄い。


 ギルドを作ったのだってモデル事務所での活動がアイドル的になり、人を見捨てるようなこともし始めたから喧嘩別れになったのだ。

 シークレットクエストで良いものが手に入れられる。


 魅力的な話ではあるけれど危険を冒してまで狙いに行くつもりはかなみにはなかった。


「つまりはこれまでの階にあったシークレットクエストってやつが五階にはなかったってことね?」


「そうなるねぇ」


「そもそもあるのが普通のなのかしら?」


「どういうこと?」


「一階から四階までが特別だったということもあり得るわ」


「なるほど、確かに……ってなんで普通にいんだよ!」


 とうとうカレンがかなみにつっこんだ。

 いるなとは思っていたがたまたま途中まで一緒だと言われればそれまでなのでとりあえずエントランスまでは何も言わなかった。


 だがエントランス前で立ち止まって会話に参加していたらもはや言い逃れもできない。

 ぬるっと一緒に来てぬるっと会話しているが誰かが許可したものでもなかったのである。


「あら別にいいじゃない。私も世界が危ないことを知ったのよ? 手伝うのは当然じゃない?」


「むっ……確かにそうかもしれないけどぉ……」


「じゃあ私のこともお仲間に入れてほしいな?」


「お兄さんを見るな! こっち見て言え!」


 かなみは甘えるような表情を浮かべて圭をじっと見つめる。

 圭も一般的な男性としての感覚は持ち合わせている。


 かなみを美人だと思うし、そんな表情を真正面から受けるとかなりの破壊力があった。


「戦いにおいては邪魔にならないわ。それにあんな話聞かされて落ち着いてなんかいられないわ」


 たとえA級覚醒者でも世界の滅亡は防げない。

 でもかなみにだってできることはある。


 むしろ家で待っていろなんて方が酷だといえる。


「危なくならなきゃ手を出さないからさ」


 圭たちのレベルアップを考えるとかなみばかりに戦わせるわけにはいかない。

 手を合わせてお願いするかなみを夜滝たちは険しい表情で見ている。


 ここはかなみがお願いする都合上夜滝たちの方が立場が上なのだ。


「どうする?」


「どーしよー?」


「まあ合理的に考えれば一緒にいてくれるとありがたいんだけどねぇ」


 夜滝たちはコソコソと話している。


「私嫌われてる?」


「まあ嫌っちゃいないけど……どう扱っていいか分からないんだろうよ」


 かなみは立場が違う。

 見た目の話だけじゃなく覚醒者としてのスタートも強さも違うからみんなもどう接すればいいのか難しいところがある。


「ぼ、僕ですか?」


「そうだ」


 薫が背を押されて前に出てきた。


「えと……あんまり圭さんに近づかないでください。それなら一緒に来てもいいです」


 薫の耳が赤くなっている。


「ふふ、みんなに大切にされてるのね?」


「みんながそれぞれみんなを大事に思ってんだよ」


「それだけじゃなさそうだけどね。まあいいわ。あんまりベタベタするのは私も好みじゃないもの」


「……大丈夫かな?」


 ひとまず塔の五階はクリアして、次の六階にもかなみがついてくることになった。

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