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【第十二章完結!】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第五章

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薫、怒りの決戦!4

「確かに……やってみよう!」


 頭や心臓を狙うのは鉄板であるが大体そうしたところは狙い難く、モンスターも警戒する。

 他に弱点っぽそうなところがあるなら試しても損ではない。


「カレン、隠密作戦だ! 俺と波瑠で気を引くぞ」


「りょーかい!」


「おうよ! こっち向け!」


 カレンが思い切り魔力を放つとボスクオルカンティカートがそれに釣られる。

 怒りで大振りになった攻撃をカレンはうまく受け流しながら防ぐ。


「食らえ!」


 圭が横からボスクオルカンティカートの手首を切り裂いた。

 しっかり魔力を込めた斬撃はそこそこ深く、ボスクオルカンティカートが叫び声を上げる。


「おりゃ!」


 その隙をついて波瑠が飛び上がる。

 風という特性なのか波瑠はスキルを発動させているとジャンプも高い。


 狙ったのは目。

 波瑠の風をまとった一撃は力という意味では弱いかもしれないが鋭さは一級品である。


 ボスクオルカンティカートは手を顔の前に持ってきてガードしようとした。

 けれど手までムキムキの硬さがあるわけじゃない。


 指が二本切り飛ばされて、そこから血が噴き出す。

 さらにボスクオルカンティカートは気づいていない。


 目の前にカレンがいなくなっていることに。


「いーくーぞー!」


 カレンはボスクオルカンティカートの後ろに回り込んでいた。

 隠密作戦、これは別にカレンが消えるわけではない。


 カレンはタンクとして魔力を放ち続けてモンスターの気を引く。

 それは例え視界に映っていなくともモンスターには魔力を通してそこにカレンがいると分かるほどである。


 ならばその逆でカレンが急に魔力を抑えたらどうなるのか。

 強い存在感を放ち、敵意を向けてきていた相手が突如魔力を抑えてしまうとモンスターはカレンをわずかな間認識できなくなる。


 目の前にいるのに一瞬見えなくなった。

 そんな感じすら受けるのである。


 目の前にいてもそうなのだ。

 仮に圭たちが気を引いて、カレンが目の前にいない時にやればどうなるか。


 ほとんどの場合カレンがどこに行ったのか気づかないのだ。

 カレンはメイスをボスクオルカンティカートの腰に全力で叩きつけた。


「よっしゃ!」


 目と口を大きく開いてのけぞるような体勢になったボスクオルカンティカートは恐ろしいほどか細い声で鳴いた。

 そしてゆっくりと腰に手を当てながら4つんばいに倒れた。


 先ほどまでの怒りの様子が何処へやら、途端に蚊の鳴くような声しか出せないでいる。


「これは……!」


 波瑠はこんな光景を見たことがあった。

 昔自身の父親が何気なく波瑠を持ち上げようとした時に同じようなことになっていた。


「ギックリ腰!」


 カレンの重たい一撃によってボスクオルカンティカートは腰をやられてしまったのである。


「うおっと!」


 しかしここでただ腰をいわせているだけにもいかない。

 ボスクオルカンティカートは片腕を振り回して圭たちが近づけないようにする。


 しかしその抵抗も虚しくすら見えてくる。


「知っているかい?」


 父親の様子を見ていたことがある波瑠は少し同情的であるがこれはチャンスだと夜滝はニヤリと笑った。

 ボスクオルカンティカートの上に水の塊が浮き上がる。


「ギックリ腰は魔女の一撃とも言うんだよぅ」


 夜滝の一撃。

 水の塊がボスクオルカンティカートの腰に直撃した。


 声にならない悲鳴をあげるボスクオルカンティカートはもう手をつくことすら出来ずに頭を地面に擦り付けた。


「…………こうなったらさっさと倒してやろう」


 見ているだけでも痛そうだ。

 もはや抵抗すら出来なさそうなボスクオルカンティカートをいじめる趣味はない。


 周りのクオルカンティカートが手助けに来てしまうかもしれないし今のうちに倒してしまうのがいい。


「圭さん、やっちゃってください!」


 未だに色々な恐怖を忘れていない薫は圭に力を集める。


「そうだな」


 ゆっくりと圭が近づくとボスクオルカンティカートは命乞いをするような、諦めるような視線を圭に向けた。

 腰を狙う作戦は大成功だった。


 しかし抵抗もできなくなる様子にはちょっとした罪悪感も感じてしまう。


「一つ言っておきます……僕は男ですからねーーーー!」


「悪いな」


 圭は一気に剣を振り下ろした。

 薫の助けもあってか硬い手応えはありながらもクオルカンティカートの首を切り落とすことに成功した。


「……みんな、帰ろう」


 騒がしかったクオルカンティカートたちがピタリと静かになった。

 気味の悪さを感じるが襲いかかってくるような雰囲気もない。


 今はとりあえず薫を助け出して帰るのが優先。

 圭たちは警戒しつつもゲートの方に走り出した。

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