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【第十四章開始】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第四章

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某国の接触1

「すいません。よろしいですか」


「えっ、私たちですか?」


 大王ゴブリンの事件はあったけれどひとまず一階の試練はクリアしたので二階に上がる資格は得られた。

 なのでとりあえず二階に上がってみようと思い、再び塔の中にやってきた。


 エントランスから出てきたところで圭たちは声をかけられた。

 スーツを着た男性で怪しい笑みを浮かべている。


「はじめまして、ワン・ヤンと申します」


 ヤンは名刺を差し出した。

 少しばかりカタコト気味の日本語だが聞き取る分には何の問題もない。


「青龍……」


 名刺は中国語で書かれているので圭には分からないが青龍というのは読める。

 つい先日薫から聞いた青龍ギルドという名前を思い出した。


「はい、私は青龍ギルドの広報担当です。少しお話聞きたいのですがよろしいですか?」


「ええと……仲間たちと相談してもいいですか?」


「もちろんです」


 勝手にいいですとも答えられない。


「どうしようか……」


 意思決定の最終的な判断はギルドマスターでもある圭がするということにはなっている。

 けれど相談できるなら相談してみんなで決めていきたい。


『ワン・ヤン

 レベル221

 総合ランクE

 筋力E(無才)

 体力E(無才)

 速度E(無才)

 魔力D(一般)

 幸運E(無才)

 スキル:虚実を見抜く耳

 才能:無し』


 一応真実の目で確認してみたけれど名前を偽ったりはしていない。


「まあ話聞くぐらいならいいんじゃない?」


「わざわざこんなところまで来てるんだしねぇ」


「長くなるようなら適当なとこで切り上げてこいよ?」


「……じゃあ話は聞いてみようか」


 相談したところで話をするのは圭である。

 面倒な役回りを押し付けられたなと思うが頼られているんだと良く考えることにした。


「とりあえずこちらは大丈夫です」


「それは良かった。では我々の国にご招待いたします。お食事でもしながらお話しさせていただけませんか?」


「あー、いや。少し前に食べたばかりなので……」


 圭は薫の忠告も覚えていた。

 危ないことはないが相手の国までついて行かないほうがいいかもしれない。


 そう言われていた。

 他国の覚醒者に手を出すことは国同士の問題に発展する可能性がある御法度な行いである。


 けれどほいほいと自分から他の国に行っては把握することも難しく、色々理由をつけて話をうやむやにもされてしまうことだってある。

 まだまだ自分が弱い自覚もある圭はそんな危険性が少しであるならリスクは避けるべきだと判断した。


「そうですか、残念です」


 さほど残念そうでもなくヤンは笑う。


「ですがここでお話しするのも……日本の国内ならどうでしょう?」


「日本ですか?」


「はい。日本国内なら安心」


「……まあそうですね」


 ということでせっかく塔の中に入ってきたのにすぐさま外に出ることになった。

 ヤンが日本に入れるか心配であったけれどエントランスの警備を担当する人と話して程なくヤンは国内に入る許可が降りた。


「好きなもの頼んでください」


 日本における塔は都心から外れた郊外にあるのだがそんなに田舎という位置でもない。

 今では覚醒者需要を見込んだ飲食店などが塔の近くにも並んでいて発展の兆しも見えていた。


 有名な喫茶店チェーンも店を出していて、ハズレがないのでそこに入ることにした。

 時間帯的に店内は人がまばらだった。


 ヤンが隅の席をいくつか貸し切るような形で話をすることになった。

 隣の席には夜滝たちもいる。


 ヤン持ちでなんでも好きな頼んでいいと言われてなら遠慮なくとみんなはキャッキャと何を注文するか話し合っている。


「それでお聞きしたいことはなんですか?」


「早速本題に入るの良いですね。シークレットクエストをクリアしたのあなたたちですね?」


「……そうです。どうして俺たちだと分かったんですか?」


「隠し事は難しい。事件になれば、それだけ隠すことは出来なくなる」


 ヤンはブラックコーヒーを優雅にすする。

 共有される情報はシークレットクエストのことだけではない。


 塔内で起きた出来事も注意喚起などのために他の国にも共有されるのだ。

 ゴブリンの大量発生は一階にしてはかなり大きな事件である。


 当然のことながら他の国にもその事件のことは伝えられていた。

 その中でも圭たちの名前は伏せられていたのであるが助けにきた覚醒者を含めて圭たちのことを目撃した人は多くいる。


 全員が全員圭たちのことを口にしないはずもなく、調べようと思えば圭たちに辿り着くこともできるのである。


「シークレットクエスト、その中でも報酬を得ましたね?」


「ええ、そうです」


 報酬を得たことは共有されたシークレットクエストの情報でも言及されている。

 だから圭はあっさりと報酬を得たことを認める。


「何を得たのか教えてもらえませんか?」


 回りくどい言い方もしないストレートな質問。


「情報に対する対価は払います。得られたものを教えてもらえればお金をお支払いします」


「報酬が何だったか知りたいんですか?」


「そうです」


「うーん……」


 報酬については公開されていない情報になる。

 公開することによって報酬を目当てにする人から狙われるかもしれない可能性があるためにあまり言わない方がいいと言われていた。

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