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07.救世主は霧の中 1/2


 夜明け前、私とリリィは兄の協力の下、屋敷をこっそりと抜け出した。

 使用人が買い物に使用する、汎用のどこにでもある荷馬車で。

 時折使用人とすれ違っても、いつもと違う格好の私を公爵家の娘と見る者はいなかった。


「国境越えは馭者とリリィに任せておけ。教会都市へ着いたら神学院を訪ねるんだ。全寮制のあの学院ならば、当面の安全は保障される」


 人目を避けながら向かった馬小屋の前で待っていた兄の言葉で、リリィも同行するのだと気づいた。

 考えてみれば、起きた時点でリリィも私と同じ村娘の格好をしていたのだから、そこで気づくべきだった。


「リリィ……不測の折りには頼んだよ」

「承知いたしております」

「えっ?!」

「まってください兄様! 今の私にリリィを雇う余裕は――」

「ああ、ちょっと待て。あと、これを渡しておく」

「これは……?」

「当座の資金だ。足らなくなったらいつでも言ってくれ。用意させるから」

「え? あの、でも――」

「お前の生活費だけじゃない」


 その瞳には強い意志が宿っていた。有無を言わせない迫力があった。

 だから、私は渡された金貨の入った袋を握りしめることしかできなかった。


 兄と短い会話を交わした後に、リリィは慣れた様子で馬車に乗り込んだ。続いて先に乗り込んだリリィの手を借りて私も乗り込むと、すぐに扉が閉められた。

 最後に兄が馭者に何か目配せのようなものをしたのが見え、直後、御者の男が「出発しますよー」と声をかける。

 すると、車輪が大きな音を響かせ少しずつ回り始める。徐々に速度を上げて、馬車が進む。



 屋敷がどんどん遠ざかる。生まれ育った屋敷が、私を愛さなかった家族が遠ざかっていく。

 屋敷はあっという間に小さくなっていった。

 屋敷から逃げ出せたことよりも、心を占めるのは後悔だった。


 ――逃げ出したのは私なのに、捨てられたように心が重いのはなぜなの……。

 もう二度と戻らない……そんなことを考えているわけではないのに。

 ただ少し、時間を稼ぐだけ。それだけのはずなのに……。










 ◇◆◇ 


 屋敷から乗ってきた馬車を一日走らせた後、馬に長距離を走らせるのは効率が悪いということで、適当な街で長距離に特化した魔術が施された動力車に乗り換えた。

 馬車とは異なり御者台と客席が一体化している上に、かなりのスピードが出ているというのにまるで振動が伝わってこない。


 正午を少し過ぎた今、私たちは森の中の気持ち程度に整備された道を結構なスピードで走っていた。

 獣や野盗が飛び出してくることもなく、穏やかな旅路だ。

 幸先の良いスタートだと言えるのではないか?


「馬車では二週間程度かかる道程も、こちらの車であれば三日と経たずに辿り着けます」


 とはリリィの言葉である。確かにそれくらい短縮されれば楽だ。車内に積んである食料もそのくらいならば持つだろう。

 外の景色を見ていないと本当に走っているのか不安になるくらい……なのだけれどずっと見ているとなぜか気分が悪くなる。


 緊張しているのかしら?

 窓を開けると少し気分がよくなる。やはり緊張しているのね、私。


 このような便利なものが王都で流行らなかったのは、開発元が教会だからに他ならない――とは馭者の弁。

 かなりの速度で走っているというのに、車内はとても静かで馭者の声がよく聞こえる。まったくもって斬新な経験だ。


 しかし馭者もリリィも、なぜ私でさえも知らないことを知っているのか。

 謎は尽きなかったけれど頭が痛くなってきたので考えないようにした。



「…………?」


 しばらく窓の外を流れる森の景色を見ていたら、妙な違和感を覚えた。

 エンジンの音と揺れる車内、木々のざわめきが徐々に変化しているように感じる。

 ただ静かで安定した音だったはずが、今日は不自然に耳に引っかかる。


 木々のざわめきがどこかおかしい。

 何かが、どこかが、いつもと異なる。

 そんな漠然とした不安が胸をよぎり……なんとなく、リリィの様子を窺ってしまった。

 いつも通りの無表情。何ら特筆すべきこともない。


 そう、よね。

 疲れているんだわ、私――――




「な、なんだ?! くそっ! ハンドルが……!」

 馭者の声に驚いて振り返ると同時に、車が大きく揺れた。

 反射的に窓から外を見ると、道を外れて側道に突っ込みかけている。

 シートにしがみつき何とか体を支えたが、車は止まる気配を見せない。


「どうしたというの?!」

「ハ、ハンドルが効かないんです、急に……! 何か絡まっているようで……!」


 ハンドル? この動力車を動かすのに必要な何か……かしら?!

 それに何かが絡まっているの? 馬車の車輪に蔦が絡まったようなもの?

 それでこのような状況になるの? スピードが出ていたから? 馬車より小さいから? 馬が引いているわけではないから??


 車が揺れながら進み続ける中、窓の外に目を向け――気づいた。

 木々の影が異様に歪んでいる。地面に向かって伸びるはずの影が、逆さまになっている。


 ――見間違えた?

 そう思い見直したが、影は確かに逆さまになっている。



 見間違えじゃ……ない。



()()に見つかったようです」

 不意に隣に座るリリィのいつもと変わらぬ平坦な声が、やけに大きく私の耳に届いた。

 こんなにも混乱に満ちた車内でただ一人、異質な彼女の声が。


「見つかった……? 誰に? 何が――」

()()に、()()()


 ――何を、言っているの……?


「止まれッ! クソッ! どうしてハンドルもブレーキも効かな――ッ?!」

 今度は何かと馭者の方に目を向けた瞬間、一際大きな揺れが車を襲った。

「きゃ――っ?!」

「お嬢様、失礼いたします」

 体勢を崩してそのまま倒れそうになるところを、リリィの細い腕にシートへしがみついて体を守るよう促される。

「あ、ありが――」

「まだ終わっておりません」


 ――ああ、いやな予感がする。

 シートにしがみついている間も揺れは徐々に激しくなり、車体が軋み、足元から金属の悲鳴が聞こえてきた――次の瞬間、車が急に横に傾き、バランスを失った。


「リリィ!」

 叫んだ声は混乱の中でかき消される。

 恐怖で目をつぶってしまい、何が起こっているのかが分からない。

 ただ、体が宙に浮いているような感覚と、激しい衝撃が全身を襲う。

 混乱の渦に包まれ車内で、ただ必死にシートにしがみつくことしかできない。


 しばらくして――、

 揺れは収まり辺りに静けさが戻った気がして、ゆっくりと目を開ける。

 まずは状況を確認するため体を動かそうとするが、シートから手を離すことができない。


 力が抜けない、いえ……入らない?


 疲労感と緊張感がないまぜになり体を動かすことができない。

 重力が横に働いていることに気づき、自分が車体ごと横倒しになっていると分かった。

 しかも、隣りにいるはずのリリィの気配を感じない。


「リリィ……? 誰かいないの……?」


 薄目で車内の様子を確認すると、何か得体のしれない薄暗い――()としか言えない何かが、車内を侵食するかのようにへばりついていた。

 ……()だ。

 まるで手のように蠢く影。何かを探して、無数に蠢く異形の腕。


 『()()に、()()()』と言ったリリィの言葉が頭から離れない。


 リリィを呼ぼうと再び口を開きかけたその時、影が私の体に触れた。

 瞬間――全身に激痛が走った。


「――――ァァァッ!!!!」


 ――痛い、痛い、痛い!

 まるで全身を火あぶりにでもされているかのよう!

 痛みで叫び出しそうになる口を必死に両手で押さえて耐えるが、それでも堪えきれない!

 眼の前が昏く塗りつぶされる。痛みと恐怖で意識が遠のく。


 この感覚を私は知っている。

 暗闇の中で死を迎える恐怖。私という存在が徐々に塗りつぶされていくような、終わりの感覚だ。


 ――()()、死ぬ。こんなところで。たったひとりで…………。






 そうして、私は二度目の死を迎えた。――――直後、唐突に意識を引き戻された。


 手足に力が入り、自由が利く。

 痛みが嘘のように引いている。




「おい、生きてるか?」


 頭上から、聞き覚えのない青年の声がする。


 ……一体これは……どういう状況??


 混乱しながら、恐る恐る顔を上げると、深いフードを被った誰かが焦ったように心配そうな声をかけてくれていた。

 逆光と目深に被ったフードのせいで顔が見えない。

 背中のぬくもりに力が籠もり、彼の腕に抱きかかえられていることに気づいた。


「立てるか?」

「え? あの――」

「悪いがあっちを先に対処させてもらうぜ」


 彼の言葉が何を意味しているのか理解できていない間に、気づいたら地に足を着けた体勢に誘導されていた。

 先程まで力が入らなかったのに、今は普通に立つことができる。


 少し先に、私の側を離れ、()()影へと駆けていく青年の後ろ姿が見えた。

 土の匂いがするローブに身を包んだ青年。

 フードを被っていて顔はよく見えないけれど――とても背が高い。

 私よりも20cm以上は高いのではないか。


 影は蠢きながら、見る間にその姿を異形のものへ、人間の姿を歪めたかのような怪物へと変えていく。


 あれが、()()()()()


 人の倍以上もある上背。全身は鱗に覆われ、長い尾が不気味にうねる。

 人間の形と爬虫類の特徴が融合した、異界の化け物。

 対峙する青年を威嚇するかのように、二本の腕を振り上げ、咆哮を上げる異形のモノ。


 大丈夫……なの?

 私はこのまま、ここで見ているだけで……いいの?

 あの人は大丈夫なの……?!


 化け物の影が彼の影と重なった瞬間、激しい閃光が放たれた。

 眩しさに思わず瞼を閉じたけれど、手遅れだった。

 網膜に焼き付いた光が残像となって、視界を塞ぐ。



 だから、視界が回復した後の光景が、すぐには理解できなかった。


 再び瞼を開いた先には――フードの青年しかいなかったから。

 異界の化け物が影も形もなく、消え去っていたから。




「待たせたな。終わったぞ」

 背に何かを隠しながら、足元の小枝を軽い足取りで踏み潰してこちらへと歩いてくる。

 軽い運動を終えたと言わんばかりの、緊張感の欠片もない声。


 ()()()()()()

 あの化け物との戦闘が? 本当にあの化け物を退治したというの?


 ――あの一瞬で?!


 確かに化け物の姿はどこにもないし、魂の奥底まで突き刺すようなあの感覚も、もうない。


 でもまさか、あんな一瞬で……本当に……??



「おい? 嬢ちゃん、どこか怪我してたのか?」


 私が返事をせずにいたからか、彼が急に私の方へ身をかがめてきた!


「――ッ!!」

「おっ! っと……」

 いきなりの行動に驚き、バランスを崩して倒れそうになった体を支えられた。先ほどと同じように力強く軽やかに。

 しかしその瞬間、彼が被っていたフードが少しずつずれていき――


「悪い、驚かせたか?」

「……い、いえ、大丈――」


 私を心配そうに見つめてくる、整った精緻な彫刻が施されたかのような美貌と、漆黒の長い髪が露わになる。


 ――黒い、髪……。

 リリィと同じ黒髪の人間なんて、初めて見たわ……。


「そりゃよかった」

「あ、りがとうございます」

 なぜか気後れして、顔を背けてしまいそうになり、慌てて礼を言う。

 年の頃は同じくらいだろうか。なのに、なにかしら……この落ち着きというか余裕は。


「仕事の一環だ。気にしないでくれ」

「仕事?」

「ああ。俺は――」


「お嬢様。ご無事でしょうか?」

「リリィ?!」

 彼に感謝の意を表明しようとした瞬間、リリィの声がすぐ近くから聞こえてきた。

 驚いて振り向くと、リリィが森の奥からこちらに駆け寄ってくる姿が見えた。

 すぐ後ろには馭者もいる。服は汚れ、少々体が痛むような仕草を見せているけれど、大きな怪我はなさそうだ。


 二人には悪いことをしてしまった。

 やはり、連れてくるべきでは…………いいえ、私一人の力では城塞都市へたどり着くことはできない。結局は誰かを巻き込むことになっていた。

 だったら、今、私がすべきことは――


「ふたりとも、怪我は?」

「ありません、お嬢様」

「自分も平気です」

「……そう。無事でよかったわ」


 私が安堵のため息をついていると、リリィがふと青年の方に視線を向けたのが見えた。

 無表情の中にかすかに漂う警戒心。珍しい……リリィが人に対してそんな感情のようなものを抱くなんて。

 しかしそれも一瞬のこと。すぐにいつもの無表情へと戻ってしまう。


 あまりにも一瞬のこと。私の勘違いだったのかしら……?

「お嬢様をお守り下さいありがとうございます。失礼ですが貴方は?」


 リリィの淡々とした声に、青年は軽く肩をすくめて答えた。


「俺はヴィリッグ・フェガロ。今は少し離れたとこにいる商人の用心棒中の身だ」


 手をひらひらとさせながら、軽い調子で答えるヴィリッグ・フェガロ。

 商人の護衛? こんな森の奥まで? 大変なのね……。


 それにしても……高い身長に、ローブの上からでも分かる鍛えられた均整の取れた体格。

 歳は十代後半か二十代前半かしら?

 男性にしては珍しい長い髪を無造作に垂らしているけれど、柔らかく艶のある髪質のせいか不衛生には見えない。

 どんな手入れをすれば、そんな羨ましい髪質になるのか。

 

 瞳は深い紫だが、光の加減か先程は金色にも見えた。

 ……不思議な瞳だわ。

 肌は日に焼けていて健康的な印象を受ける。

 飾り気のないローブの袖を肩まで捲し上げていたから、よく鍛えられた筋肉質な腕が見えた。

 そんな形だというのに粗野な感じは全くなく、むしろ洗練された凛々しさを感じさせる。


「私はベアトリス・カ――……()()()。ベアトリス・()()()と申します」


 目の前の命の恩人を信用していないわけじゃない。

 ただ、諸々考えるとカスティの名は、彼に迷惑をかけるかもしれないから。

 隣のリリィは何も言わない。


「この度は大変――」

「あー、いいって、そういうのは。堅苦しいのは苦手なんだ」

 彼はひらひらと手を振った。

「ですが――」

「それに、あんたがいいとこのお嬢さんってのは、見ればわかる」

 平民の格好をしているのに?

「――なのにそんな格好をしてるってんで、面倒なパターンだってのも分かる」

「……」

 この人は少し意地悪な人かもしれない……。

「しっかし、おたく等の動力車もあれじゃ動かねぇだろ。どうにかできそうか?」

「あ……!」


 彼の視線の先を見て唖然とした。

 ひどい有様だ。動力車が大破している。

 周囲には車体の残骸らしきものも散乱しているのが見える。

 何かに踏み潰されたかのようにひしゃげたそれは、まるで巨大な怪物になぎ倒されたかのよう。


 これでは城塞都市へ向かうどころの話ではない。

 私は動力車の傍まで行くと、車体の残骸を撫ぜながら途方に暮れてしまう。


 ――直せるかしら? 誰が? どうやったら……。



「おいおい、危ねえな、怪我するぜ?」


 背後から声をかけられると同時に手を引っ張られた。

 私は驚きのあまり、思わずビクッと肩を震わせてしまう。

 心臓がドキドキする。……なぜかしら?


 ゆっくりと振り向き、声の主――ヴィリッグ・フェガロの顔を見た。


 ――綺麗、な顔をしているわ……。


 初めて見た時から感じてはいたけれど、それ以上に気になることが多かったから、実感が湧いていなかった。


 鍛え抜かれた体躯と綺麗な顔つき、悪魔を片付けた直後だというのに落ち着き払える底の見えない実力。


 ……そんな相手だもの。私が少しくらい見とれてしまうのは仕方のないこと。


「え、ええ……ありがとう」

 握られていた手をそっと放し、彼に背を向けながら呼吸を整える。


「車がこれだとなぁ……この近くに動力車を借りられそうな場所はありますかねぇ?」

 背後で馭者が彼に問いかけるのが聞こえる。

 私はその会話を聞き逃さないように耳を傾ける。

 修理できる場所を知っているのなら、そこへ案内してもらわなくては。


「一番近くて、歩いて一日はかかるぜ?」

 馭者の問いに少し困った様子で答える彼。

 ……一日。そんな長時間歩いた事はないのだけれど、歩けるかしら?

「嬢ちゃん達に歩くのは無理だろ」

 口に出していないのになぜ……。

 しかし、ここでもたもたしていたら父の追っ手につかまるかもしれない。

 ……茂みに隠れながらでも先へ進むべき? でも馭者とリリィにこれ以上の負荷は……。




「なかなか戻ってこないからどうしたのかと思えば……これはまた……」


 その声に振り向くと、そこには初老の男性が立っていた。

 品の良い佇まいと商人風の出で立ち。しかし、どこか上流階級の香りを漂わせている。忘れるはずもない、その顔。

 彼は――


 ――ダグラス公……!


 誰も彼もが信じられなかったあの日々の、たった一人の希望の光。彼がいなければ私はとうに……。

 懐かしくも苦しい記憶に胸が締めつけられる。

 しかし、今の彼は私を知らない。まだ私が彼に会う前の時間を生きている。


「魔物退治は終わりましたか?」

 ダグラス公がヴィリッグに声をかける。

 彼は、ヴィリッグが何か答えたのを頷きながら聞き終え、私とリリィの方へ体を向けた。


「事情はわかりました。皆様、もしよろしければ私の馬車に乗っていきませんか?」

「え? それは……」

 馭者やリリィのことを考えれば、この申し出は願ってもないことだ。

 でも、そこまでお世話になってしまっていいのだろうか?


 リリィと馭者の様子を確認しようと向けた視線に彼女が気づき、近づいてきた。いつも通りに無表情のまま。

 そして私にだけ聞こえるような小さな声で。

「ここは素直に甘えておきましょう。ここで時間を食うのは得策ではありません」

「……わかったわ」


 こんな決断ひとつ、自分の心ひとつではできないのだ。今の私は。



「――お気遣い感謝いたします。心よりお礼申し上げます」

「例には及びませんよ。困ったときはお互い様ですから」

 彼は笑いながら私の感謝の言葉を受け流した。

 そして視線をヴィリッグに向けると、軽い調子で言葉をかける。

「君もなかなかに頑張ったようだな。さすが協会の()()()()だな!」

「お褒めにあずかり、光栄です」

 実に礼儀正しい仕草で、ヴィリッグはダグラス公の言葉に礼を返す。その様子にダグラス公は満足げにうなずき、続けて私たちに向き直った。


「こんなところで立ち話もなんですし、早いところ出発してしまいましょう。用心棒がいると言っても夜の森が危険なことに変わりはありませんからね」










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