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第四十話




本日は快晴。雲ひとつなく、気温も程好い。…寝る前にくしゃみが止まらなかったのは何だったんだろう。誰かに噂話でもされてたのかな…




「おはよう、皆……今日はシアレスに付きっきりになるから、お外で遊んできてもいいし、自由にしてて。…でも奴隷商が彷徨いてるから、知らない人、怪しい人には注意するように」




着替えながら主にクォーツ達に言えば6羽は少し囀ずった後、全員が今日は残るようで思い思いに部屋で寛ぎ出した

相変わらずクォーツとクーアは私の後を着いてきたいようで…何故かジュエライトの背に乗っている。ジュエライトととも仲良くなれたのはいいことだけれどね


朝食にはまだ少し早い。早めに降りてもいいけど、見ていたらお腹が空いてしまいそうなので却下


フロウとデューは睨みあってるので放置。一応魔物、魔獣同士は元からある程度の意思疎通が出来るらしいけど……なんで彼処は仲が悪いのだろうか。……いや、仲が悪いと言うより、根本が似すぎてて合わないとか?…ありえそう




「キュゥン」



「なぁに、お腹すいた?もう少し待ってて、まだ朝ごはんには早いよ」



「キュゥ」




ベットに座ってフロウ達を眺めていたらジュエライトに袖を引かれた。はみはみするもんだからお腹が空いたのかと思ったら…どうやら違うようで、膝に置いていた手に頭を押し付けてきた


そして角の間に手が乗ったことに満足そうに鳴き、体全体を押し付けてくる。…撫でて欲しかったのか


自分も自分も、と羽ばたいて膝に乗ってきた二羽も反対の手で交互に撫でてやり、朝からもふもふとふわふわを堪能した。…他の子達も此方見てたけど、定員オーバーだから後でね。特にフロウ、後ろからのし掛かって来たら重いから勘弁して




「レン、起きておるか?」



「起きてるぅ、入って大丈夫だよ」



「朝からすまんな……よくもまぁ、お主は契約が浅いのにそうも従魔を従えられるものよな」




ノックをして入ってきた神父様


…そんな呆れた眼をしないでほしい。仲良しなのはいいことだと思う。…いや他に基準がないから分からないけど、少なくともクォーツ達に関しては私が加護持ちなのが影響してるからだと思う。…今日ノーチェに聞いてみようかな




「神父様がさ、若い頃に出会った従魔術師の人達って私みたいじゃなかった?」



「ふむ…然程多くであったわけではないが……お主の様に相棒と呼び、家族同様に扱うのが六割、繁殖させ商売とするものが二割、スライム等単体では弱くとも肉壁として使役するものが二割、といったところか」



「……なんか、やだね。後者二つ」



「従魔術師の在り方は個々によって異なるからな。元々一般的な魔術師と比べれば少なく、契約出来る種族も違ってくる。それに繁殖させ商売とするのは…地域によっては家畜が居らんからな。その代替だろう。それこそ貴族間では調教した魔獣を連絡要員に飼うこともある。レン、視野を広くもちなさい。必ず物事には理由がある


それに他の魔術適性がなかったり、スライムしか契約出来なかった以上、どう頑張っても数に余りがある魔獣、魔物を味方の盾にするという戦法に出るしかあるまいよ」



「はぁい……でも、そもそも冒険者とかにならなきゃいいだけじゃないの?」



「そうなんだが……従魔術師というだけで、他の者らより圧倒的に厚遇だった時代があったからな。勿論異議を唱えた者らも多かったが…生きるのに精一杯であったならその在り方も納得するしかない」



「…そっか」




理解は出来るが、好きな在り方では少なくともない

戦術面において、確かにタンクは後衛側にとっては必要不可欠と言っても過言ではないし、私とて今は自分で動き回れるが魔術師として立ち回るなら壁となってくれる人が必要だ


集中せずとも初級くらいならなんなく打てるが、中級、そして上級…広範囲の魔術なんかは詠唱破棄が出来ないのでどうやっても隙が出来てしまう。それに私やシアレスの結界は制御なしで常時張ることが出来るが、他の魔術師は違う

攻撃なら攻撃、防御なら防御とどちらかにしか割り切れない。…私達の結界の制御がいらないのは、やはり転生者という恩恵だと思う。勝手に魔力を消費されるが常時張る、なんて芸当普通の魔術師はまず不可能。アルトゥールでさえ無理だと言っていた…シアレスの世界の結界も、コントロールが必要と言っていたし…結界については追々研究していこうと思う。私とシアレスの結界も絶妙に効果が違うし。多分転生者を守るための措置的な部分だとは思うんだよね




「そういえば神父様はどうしてここに?」



「うむ…今日の予定を確認しにな。シアレスはやはり疲労が溜まってたんだろう、声を掛けはしたが寝息が返ってきただけだった。よって私としては今日明日はのんびり過ごさせようかと思うのだが…どうだ」



「んー……ん、そうしよっか。何よりも先に休息は必要だよね。昨日お風呂でゆっくり話したんだけどさ…普通の扱いなんてされてなかったよ、やっぱり


私はあの子を護ると決めたから、正直侍女達も徹底的に叩き直したいくらい。…それくらい、あの子はずっと一人で頑張ってきた」




元気なように見えて、声掛けにすら気付かぬほど疲れきってたらしい。隣の部屋から物音がしない辺り、未だ夢の中なのだろう。…あとで様子を見に行こう

どこか嬉しそうに笑う神父様の手に頭を押し付け、シアレスは今日明日はお休みと頭の中に入れておく。…そういえば昨日、ジュエライトの事で誰か来るって言ってなかったっけ




「神父様、ジュエライトはどうするの?」



「あぁ。今日城から遣いがくる。…誰が来るかはお楽しみ、と陛下が仰ってたが…嫌な予感しかせん。だがまぁ、基本的には私が立ち会おう。お前さんの保護者は私だからな」



「奴隷商も気になるし…森を荒されるのも嫌だし……クォーツ達に探すの手伝ってもらう?もう首を突っ込んじゃった以上、探すのくらい今さらでしょ」



「全く……駄目だ。これ以上は要請があるまでは勝手に動くでない。国と国とが関わる大事に発展する可能性がある以上、これは決まり事だ。…陛下も、申し訳ないと言っていたぞ


レン、とにかくシアレスの事にだけ今は注意してなさい。私の娘として与えられた最初の仕事だ」



「うわ、その言い方ずる…」




神父様の義娘


ヴォルカーノ・アレフリア公爵の義娘、レン・アレフリアとして


貴族専門のギルドに所属するまでは私は神父様の家名を名乗る。そうである以上、私の肩には神父様が、神父様の御先祖が築き上げてきたプライドや責任がずしんと乗っかっている

王家から賜った名誉ある仕事を投げ出すなんて愚行は勿論できない




「そう不貞腐れるでない。ナオ王太子殿下のことだけでなく、お前さん自身の評価が高いからこそ陛下は命令されたのだ


あの方は身内を可愛がるのと仕事を任せるのではちゃんと区別が出来る御方だ。…お前さんを他国に渡したくないという表れだ」



「???ナオが居るからどこにも行かないよ?」



「まぁ…そうであろうとは思うが……」




仕事として国外に出るのは致し方ないとして、それ以外でこの国から出るつもりは今のところはない。ナオの居る場所こそが私の居場所であり、帰る場所なのだから


勿論シアレスの所に遊びに行ったりはしたいけどね




「いや、いい。…それより朝食にしようか」



「うんっ、お腹すいた。今日は何?」



「お前さんが好きなオムレツがあるぞ」



「やった、神父様のオムレツふわふわで好きぃ」




立ち上がった神父様に倣って部屋を後にする。勿論後ろに皆を引き連れて。…ブレーメンの音楽隊みたいな気分である。実際何かを話してるのか囀りや鳴き声が聞こえる


ジュエライトも馴染んだのは本当に良かった。これで不安に過ごすことはないだろうし…あとはなるべく教会から離れすぎないように気を使うだけだ

もしかしたら教会にやってくるかもしれないが、そしたら返り討ちにするだけなので正直のこのことやって来てくれた方が嬉しい




「フォゥ」



「ん、大丈夫。その時は君の力を借りるからね」



「……物騒なことでも考えておったな、レン…」



「えへ、ないしょ」




私の思考はどうにもフロウに流れやすい。けどフロウの性格も私に似たり寄ったりなところがあるので、止めるどころか自分を使え、とばかりにすり寄ってくる。…まぁ、神父様にもバレたりするんだけどね。顔に出やすいらしいし

呆れたようにため息を吐く神父様。それも何時も通りのことなので誤魔化して先を急かす。廊下の先で寝惚けた状態で出てきたらしいアヴィリオを視界に入れ、てってけ近付いて起こす




「おはよ、アヴィリオ」



「あぁ……はよ、…」



「寝惚けたままで出てくるなと何時も言っておるだろう……レンに害悪だ」



「人を何だと思ってんだアンタ…」



「……着崩して出てくるのが悪いんじゃない?せめて着替えてから出てきたら。」




アヴィリオは寝起きが頗るよろしくない。機嫌が悪いとかじゃなくて、色気的な問題で


はだけた服に寝起き特有の掠れて低い声。とろんと少し垂れた眼は神父様にいかがわしい認定をされるほど。ナオと一緒に居た時も遭遇した事がありナオにガン見されてた


恋愛的に好き云々はないけど好みだよねって話をして固い握手を交わしたのは懐かしい。元々一緒の沼にドボンする仲…というか私が引きずり込むんだけどね。好みと癖は別問題。これ大事


ちなみにリムネルの寝起きは美しい。冬の朝くらいしか寝起きが悪いことはない。その寝起きの悪さも少し布団から出たがらないくらいなので全然可愛いものである。私なんて20分くらい冬は攻防戦してる。……だって出たくないもん




「あ”ー…眠ぃ……昨日魔力使いすぎた…」



「へぇ、なんか珍しいね。アヴィリオが魔力使いすぎるなんて相当じゃない?何してたの?魔術開発?」



「……ちょっとな。リムネルの奴も多分今日は寝起き悪いぞ」




あ、これは教えてくれないやつだ


アヴィリオの目許が和らいだ時は、私にどうしても秘密にしたいものがある時だ。妹を宥めるお兄ちゃんのような、そんな眼差し。そんな時は駄々を捏ねても揺すっても絶対に教えてくれないので早々に諦めた方が賢い


そして更にそういうときはリムネルも一枚噛んでる




「ふぅん……そっか。じゃあ今日は皆お休みの日にする?シアレスも休ませるつもりだったし、私も魔力万全じゃないし」



「そうだな…」




今にも廊下で寝そうな程、アヴィリオは眠そうにしている。…もしかして魔力ほぼ無い状態なんだろうか


それでも、「顔、洗ってくる…」とふらふら洗面所へ消えていった。…うーん、ここまで疲労してるアヴィリオを見るのは初めてだ。本当に何があったんだろう?




「神父様、神父様はアヴィリオ達が何してるのか知ってる?」



「…さてな」



「あ、それ知ってるときの顔だ。…仲間はずれ良くないよ、狡い」




膨れて見せれば、喉を鳴らすように笑う神父様

大人組が仲間はずれにするということは大体私に関わる何か


疎外感が無いわけではないけど、必ず事後報告はしてくれるのでそれまで待っていよう




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