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第二十六話




それは本当に偶然の産物としか言いようがないものだった


数ヵ月前のある日。その日はリムネルと座学の日のこと




「アタシ達の様に自前で結界を張れない人はね、宝石に魔術が付与された魔石ってものを身に付けているのよ。…ほら、このネックレス。練習に使うから好きにしていいわ」




そういってリムネルの手から渡されたのは小さなルビーの様な紅い石が輝くネックレス

宝石のサイズとしては親指の第一間接程までで、小さいながらに台座や装飾がお洒落で可愛い




「込める魔術の例としては結界に治癒、解毒や簡易な攻撃かしら?あとは魔力貯蔵としてもいいわね。勿論それ以外にも欲しいと思ったのをオーダーで入れてもらうのよ。貴族の装飾品の中には必ず解毒と結界の魔石があるの」



「へぇ……大変だね、貴族って」



「着飾ることにも意味があるのよ。自衛も必須なの」




魔術が付与された装飾品は付与されてない同じものと比べると倍くらい値段が違うらしい


込められた魔術の強さによって勿論変わるし、誰もが出来る訳じゃない。魔導具の開発はどの国も力を注いで研究してるそう




「試しにやってごらんなさい。アタシも出来るけど…こればかりは感覚なのよ


少し下で神父様と話してくるから出来上がったら…まぁ、出来上がらなくても諦めたら降りてきて頂戴。今日のおやつはケーキよ!」



「やる気でるぅ~。ベト達も引き連れていくね!」




ぱちぱちと拍手しながら見送り、名前を呼んだからか、なぁに?という顔で近付いてきたベトに何でもないといって撫でる


ベトとフロウは仲がいい


互いに毛繕いしてる時もあれば、寄り添って寝ているときは間に挟まりたくてウズウズする


ベトは立ち上がると私よりも大きい。勿論座っていても。……大きいくまさんに抱き締められるって貴重すぎてそのまま寝た。大変ふかふか、ほわほわでした。ほんのり蜂蜜のいい匂い


そのまま足許で丸まってしまったベト。フロウもベトと寝てたクッションから此方まで来て同じ様に伏せてしまう。……足許ぽかぽか幸せ




「じゃ、なかった……えーっと、付与ね…」




まず、前提として込める魔術が使える事。…まぁ、そりゃ使えないのに結界込めろは無理だよねぇ


とりあえず結界を込めよう。私が張れる一番強固な結界を、…とりあえず標的を絞って注ぐイメージ


すると宝石に吸収されたのが分かった。…これで正解かな?意外と簡単だな。何がそんなに難しいんだろう


魔力をほんの少し通すと…ちゃんと発動できるし…よし、次


解毒も使えるので込める。効果は微弱な麻痺効果がある薬草の端を噛んで確かめた。舌のピリピリがなくなったので問題ない。これ、スロットを埋めてくような感じで楽しいな。…というかこれ幾つ込められるんだろう?とりあえず三つくらいにしとこう


もう一つは……うーん、何にしよう。結界は物理にも魔術にも耐えれるのを込めたし、治癒はちょっと苦手だ

でもここに攻撃の魔術を埋め込むのはなんかバランス悪いし……遠隔で会話できるのなんてどうだろう?


でも二つないとちゃんと作動するか分からないし……やっぱり治癒にしとこう。いい練習になる


治癒も無事吸収され、ちゃんと発動できるのも確認した。よくよく見ると宝石が不思議な輝きを帯びている。きっと魔術が込められた宝石ですよ、という証なのだろう。……いや知らないけど。あとこれ以上詰め込んだらまずいかなぁとも思ったのでストップ。こういう直感大事。手の中で爆発なんて起きたら過保護達に怒られるし


っていうかわりと簡単に出来た。まぁ、ゲームの装備強化みたいだなぁとか思ってやったからすぐだったのかもしれないし……魔術は思い込みの具現だと思ってる

例えば、私は水鉄砲っていう玩具と拳銃という武器を知ってるから、指先から集めた水を弾丸のように射出出来るが……アルトゥールは知らないので難しいし見たことないといっていた。私が説明下手なのかもしれないけど……いや、アヴィリオは出来たからアルトゥールが頭でっかちなだけだ、きっと


ただ魔術師は己で魔術を研究するものだし、不自然ではないと言われたので今後も前世の知識をベースにした魔術は開発していきたい所存。目指せ、自由飛行。浮くこと自体は難しくないらしいからあとはコントロール次第




「二人ともおいで、降りよっか」




とりあえず出来上がったのでリムネルに見せに行こう。10分くらいしか経ってないけど

二人のもふもふに挟まれながら階段を降り、ケーキを作りながら話してるリムネルに近寄る。神父様も珈琲を飲んでるし、一緒に食べるのかな




「リムネル、出来た」



「あら、ほんと?貴女やっぱり多才よね。結構出来る人少ないのよ?」




スポンジを型から抜いた所で声を掛け、見て見て、とネックレスを渡す


神父様も興味を抱いたのか寛いでいたソファから立ち上がって此方へとやって来た。うちはキッチンとリビングに遮る壁がない。食卓とは別で窓際には寛ぐスペース用のソファもあるし……あのソファ、びっくりするくらい柔らかいんだよねぇ




「こんな風に宝石の表面に魔力が洩れるのはね、上質な魔術が込められた証なのよ。初回で出来るなんて凄いわ!…何を込めたの?」



「とりあえず結界と解毒と治癒~、治癒は苦手なんだけどいい練習になったと思う」



「……え?」



「まずかった?とりあえず貴族だったら必要そうだなぁって思ったんだけど……治癒は攻撃魔術にした方が良かったかな?でもそれだとバランス悪いかなって思って。どうせなら攻撃は攻撃でまとめたいよね」




ひく、と口許が変になったリムネル


治癒のレベルが低いのは皆知ってるし、やっぱり治癒は他の人に込めてもらうべきだったか。反省




「……ふーっ………ちょっと待って。貴女、これに三つ込めたの?」



「え?うん。何となくこれ以上詰め込めないかなぁって思ったんだけど……もしかして五つぐらいいける?なら攻撃魔術もちょっと入れたい」



「ふ、っ……ふは……!!」



「…??」




何故か神父様が肩を震わせて笑いだした。珍しいくらいツボに入ってる


逆にリムネルは額を抑え…再び深呼吸。なんだなんだ




「……あのね、レン。アタシが言い忘れてたんでしょうけど……普通は込められる魔術は一つなのよ。物凄く熟練者とか相性がよくてようやく複数」



「……え”」




「寧ろどうやって込めたのよ。魔術を新しく込めようとすると普通はほとんど上書きされるわ。特有のスキルとか込め方しないがりね…えぇ。それがこの世界の常識ですもの」



「………やらかした」



「あぁ。しかもとてつもないものをな?誰しもが欲する技術だろう……流石というべきか。お前さん時折やらかすのは…あれか。天然というやつか?」




チート系主人公にありがちな“自分、何かしちゃいました?”を素でやってしまった。冷や汗が止まんない


というかこの技術気付いてよ他の転生者…!!!当たり前にしといてよ!複数込められるのくらい!!!

とりあえずケーキは食べようという話になったが……なんか、味が曖昧だった

午後からはリムネルの一般常識講座に始まり、改めて作り直した……が


やはり複数込められ、今後必要なとき以外作らないのを約束した。…何故って市場がヤバいことになるからね!変な貴族に目をつけられるのも勿論嫌だし


後日アルトゥールやアヴィリオにも話したら物凄く生易しい目をされた。……わざとじゃないんだって




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