第10話 後悔
~注意~
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それでもOK!な方へ。どうぞお楽しみ下さい~(´∇`)
パチパチパチパチ…さらさら…と、焚き火の音と小川のせせらぎが心地よい夜。もうすぐ今回の目的地である国の近くまで来ていた。アタシの隣には庵ちゃんがすやすやと眠っていた。ずっと歩き続けているし、大人のアタシ達二人も少しきついと思ってる位だし、それと比べると、子供の体にとって負担も大きいと思うので、きっとくたくただろう。
「寝ないのか?」
「え、ううん。違う。ちょっと考え事をしてただけ。庵ちゃん、とっても疲れたんだろーなって。」
これから先、庵ちゃんにはもっと負担が掛かるだろう。旅の疲れもそうだが、祖先の因縁、禍国との戦いに巻き込まれた訳だ。きっと庵ちゃん…嫌、アタシ達にとってもきついものになるんじゃないかな、と思っている。
アタシは生前、ひとりの妹がいた。たった一人の姉妹。幼い頃から一緒に遊んだり、とても仲良しだった。
機動隊に所属すると決まった時、誰よりも喜んで、応援してくれたのが妹だった。
だから、妹に応えられるように日々のきつい訓練にも頑張って耐え、鍛えていった。
そんなある日、突如妹の通う学校に通う生徒から通報があった。不審が侵入し、立て籠っているとの事だった。しかも犯人は武器を持っており、既に教職員と生徒が何人か負傷している状態とのこと。
その後、学校から何人か脱出に成功した教職員と生徒が警察署に訴えて来て、事態は深刻な物と判断され、機動隊の出動要請がきた。
そしてアタシ達は学校へ向かった。アタシは「どうか、妹が無事でいてください」と祈りながら。
学校には救急車が何台も到着しており、周囲にはブルーシートでこれでもかというぐらい囲っていた。生徒が次々と学校から脱出してきたのだが、その中には、大なり小なり血を流している子が多かったけど騒ぎを聞きつけたのか、報道陣もわんさかいた。
刑事ドラマにあるような言葉を上司が拡声器を使って犯人に向かい、言った。すると犯人が「もうどうでもいいので入っちゃって下さい。俺のやりたい事はもう終わったんで。」
学校の中に入ると異質な空気が流れていた。ただしんと静かになっているだけじゃない。そんな感じだった。
犯人がいると思われる教室へ体制を崩さないように、走っていった。2年1組…2組…3組と他の教室を横目に。ちらりと教室を見ると血が点々と跡を残していた。
三階に上がって来てしまった。三階は主に三年生の教室がある。アタシの妹は三年生、そして4組の生徒だ。まだ4組の教室は見れてない。しかも出動前、上司から妹はまだ逃げていないようだと聞かされていた。どうか、どうか無事でいて!!
そしてとうとう4組の教室のプレートが目の前に来てしまった。教室のドアの前に立ったのだが、既に思わず「うっ」と言ってしまう程の血の強い臭いがした。ドアは鍵が閉まっていて、しかもドアにある小さな窓は黒いシートのようなもので覆われていた。前に並んだ人達が、ドンドンドンと乱暴に叩いた。その時、ガチャリと音がした。犯人の姿がそこにあった。そいつは服が血まみれだった。
「入ってよ。どうせ僕のやりたかったことは終わったんだし。」
と、言われた。そいつが後ろに下がると、アタシ達は一斉に教室に入った。
が、そこには信じられない光景が広がっていた。
信じたくない。なんなのこれ!?
教室のドアの窓が黒いシートで覆われていると思ったら、黒く変色した血だった。床には動くことはもうない。ただの肉塊となった、生徒だったものがいくつもあった。
腕や足などがなく、骨や筋肉が丸出しになったもの、弓道部の矢が何本も刺さっているもの、そして天井にはソーセージを吊るすかのように、わたが飾られていた。
かなりこの時点で気が引いていたのだが、あるものを目にして、もう終わりだと思った。
妹だった。
妹"だったもの"だった。
妹は口から血を流し、床に仰向けになっていた。お腹には大きな傷が出来ており、赤黒い血が制服と床を塗らしていた。
制服を見ると、不自然に白濁している所があった。まさか、と思い犯人の下半身を見ると、同じように白くなっていた。
その時、アタシの中には、様々な感情がわいた。
人をこれだけ殺したのに何故こいつは興奮したの?何で妹が巻き込まれてしまった?他のクラスメートも先生も良い子、良い人達ばっかなのにその子まで何で?どうして?ええ…何で?
信じられない。何で?どうして。
どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして
考えても分かりたくなかった。そう思った瞬間、アタシは髪の毛を強く引っ張られるかのような感覚に陥った。そして、床に引き付けられた。
気が付いた時には、病院のベッドの上にいた。あの後気絶し、ヘルメット着用していたのにも関わらず、強く頭を打ち付け、その反動でヘルメット内部でも強打。結果軽い脳震盪を起こしていたのだ。そしてお見舞いに来た同僚から、「犯人は誰でも良いから、多くの人を殺したかった。だから、人の多い高校を選んだ」と、動向を聞かされた。やっぱり、殺すならなんでも良かったんだ…妹や学校の人達が巻き込まれたのもしょうがない事だったのかな…
絶望の淵に立たされたアタシは、もう何を考えたら良いのか分からず、退院後、人気の無い場所で首にロープをかけた。
草の匂い。そして海が見える。生きている…?
「あの時、確かにアタシは…」
と思った時、自分の手を見た。そこにはピカピカ光る拳位のオレンジ色の玉があった。
「なにこれ…」
そう呟いた時、何処からか聞いたことのある声がした。
「…ちゃ…!…お姉ちゃん!」
え、まさか。
「栞、栞なのか!!」
そして声がどんどん近くなり、声の主が姿を現した。
「栞!!」
アタシ達はひしと抱き合った。目から自然と涙が出た。
「ごめん…ごめん栞!もっと…もっと早くしてれば…!」
そうしていると、後ろからまた声が聞こえてた。
「成る程…感動の再会か。」
振り向くと、小学生程の女の子が立っていた。




