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【ハルモニア誕生日記念】ダズンローズディ  作者: 薄氷恋


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2/2

ダズンローズデイ・リベンジ

一年後の12月12日を想定しております。

以前に犯した過ちを今度こそ……。


ハルモニアは禊ぎを終えて、暖炉の前に立った。

裸体である。

誕生日であると同時に戴冠した日でもある今日……12月12日は、いつも冷水で身を清めた後、暖炉の前で暖めてあった儀式服を着る。

何せハルモニアは火の精霊だ。

水には弱い。


暖まった服を着て、一息ついた。


今度は、俺がやる。


テーブルの上に置いてあった紅色の薔薇の花束を手に、ハルモニアは火の灯った暖炉へ入る。


火精の使う『道』、灼熱の炎の中へ。


彼が姿を消すと同時に日付が変わる鐘が鳴り響いた。


◆◆◆


ラゼリードはその頃、暖炉の前の揺り椅子で、あまり上手いとも云えない刺繍をしていた。

なんとなく眠れなかったのである。


今日は、ハルモニアの誕生日。

以前に贈った12輪の黄色の薔薇が、憎らしい。

黄色の薔薇の花言葉は『君のみぞ知る』。

だが本当は黄色の薔薇には他にも花言葉はあったのだ。

それも『別れましょう』などのマイナスの意味で。

そんなつもりじゃなかった。

ただ、愛を示したかった。

直接受け取ってもらえなかった薔薇。

今でも、悔しい。


目を閉じると思い出す、複雑そうな顔をした水精の側近の女性。

確か名は──オルレイシア。

彼女がハルモニアのお手付きになっていないか、嫉妬した。

今もしている。


勝手な話だ。

自分がハルモニアに出会った頃は、ヨルデンという男性の侍従が居た。

だからお互い様なのだけれど、心は上手く処理をしてくれない。


ふう、と溜息を吐き、刺繍糸を縛って鋏で切断し、針を置いた直後──。


暖炉から炎が炸裂した。


ラゼリードは手にしていた刺繍枠に挟まれた布が顔に張り付き、一瞬視界を奪われる。


耳に届くのは日付が変わる鐘の音。

刺繍布を顔から剥がした彼女の前に、ハルモニアが立っていた。


「モ、モニ?」


「いい夜だな、ラゼリード」


「何しに……」


来たの、と問う前に差し出された紅色の薔薇の花束。

花の数を目で追って、驚く。

12輪……。


「知ってるか? この薔薇の花言葉」


「な、なに?」


動揺しっぱなしのラゼリードに対し、ハルモニアは唇で笑ってみせる。


「『死ぬほど恋焦がれています』だ」


ラゼリードの頬に朱が差した。


「貰っていいの?」


「勿論だ、お前の為の花束だからな」


ラゼリードは潔斎後のハルモニアに触れないように、慎重に花束を受け取る。


「わたくし、貴方を愛しているかもしれないわ」


口をついて出た言葉は甘く、ハルモニアを酔わせた。

彼の頬にも朱が上る。


「今日は、お預けだ」


「何が?」


「口付け」


ラゼリードの顔全体が暖炉の炎の所為ではなく赤くなる。


「もう、貴方ってひとは……」


「だから、今日はもう帰る。次に会った時には接吻してくれ」


「人前では嫌よ!」


12月の12日。

想いを寄せる相手に、12輪の薔薇を。


汚名返上これにて完了。




END

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