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第二部 第八章 悪夢

「君のお母さんを攫ってしまってすまない」


 ハンサムゴブリンの一人がヨシクニ君に深く謝った。


「え? 」


 ヨシクニ君も唖然としている。


 俺達はさらに困惑した。


 恐らく、彼らのリーダーなのだろう。


 眩しい位に歯がキラリと光る。


 まるで、アイドルのようだ。


 ひょっとすると、長い年月の間、エルフのような美人の女性から産まれ続ける事で容姿に変化が現れたのかもしれない。


 そして、この性格もそれから来てるのだろうか?


「俺達にはメスがいない。だから、こうやって、お願いして来てもらうしか無くて……」


 ハンサムゴブリンのリーダーが済まなさそうに言った。


「は? お願いして来てもらった? 」


 由宇が驚いてる。


「いや、攫ったくせに! 」


 ヨシクニ君が抗うように叫んだ。


「いや、私から来たの」


 ヨシクニ君のお母さんが゛決定的な事を言う。


「えええ? 」


 雄二もドン引き。


「な、何で? 」


「だって、あの家に居たんじゃ、朝から晩まで畑仕事と家事でボロボロになるまで働かせられてたのに、ここに来たら、ほら、美味しい食事も綺麗な服も着放題なのよ。しかも夜には、こんなハンサムな人達がかわるがわる、うふふ……」


 いや、うふふじゃねーだろ。


 子供にきつすぎるだろ。


「そんな、じゃあ、お母さんはもう帰らないって言うの? 」


 ヨシクニ君が悲痛な叫びを出す。


「当たり前じゃない」


 ヨシクニ君のお母さんが断言した。


「ホストに入れあげて帰ってこない母親って感じね」


 由宇が囁いた。


「「いや、言うなよっ! 」」


 俺と雄二が叫ぶ。


 本当に余計な事を言うからなぁ。


「分かったろう。奴等に攫われたら、もう、戻って来ないんだ」


 クニハタさんが悲しそうにクニヒト君を諭す。


「いやだよ。母さん。何で……」


 ヨシクニ君が泣き出す。


「すまない。俺達としても子孫を増やすためにはしょうがないんだ。君に申し訳ないから、一人我々の仲間が増えたら、お母さんに帰って貰うから」


 ハンサムゴブリンのリーダーが済まなさそうに答えた。


「いやっ! 私、五人は最低でも産まないと帰らないからっ! 」


 ヨシクニ君のお母さんがきっぱり否定した。


 ヨシクニ君が凄いショックを受けている。


 ハンサムコブリンさんも困っている。


「つまり、年食って老後が不安になるとホストに入れあげてた母親が帰ってくると……」


 由宇が後ろで囁いた。


 ホストとかの意味は分からないけど、クシハタさんとヨシクニさんが何となく意味が分かって微妙にビクッとしている。


「いや、だから、それは言ったら駄目だろう」


「どうして、すぐに思った事を囁くの? 」


 俺と雄二が突っ込んだ。


 そういう所が俺達の恋愛対象にならない理由だ。


 半グレだろうがヤクザだろうが、平気で囁くので喧嘩になって、俺達が仕方なく撃退して、ますます怖がられると言う結果だ。


 由宇が余計な事を言ったせいでさらに重い空気が流れていた。

 

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