第二部 第六章 二階堂家
糞親父が余計な事をしてくれてたせいで、ご先祖の古い話で濁すつもりが濁せなかった。
クニハタさんが言うには、突然に襲撃して来た二十メートル級のドラゴンのでかいのに、笑顔で走って行って急に抱き着いたらしい。
多分、親父は飲んで酔っ払ってたな。
んで、ドラゴンが五十メートル以上尾っぽで親父をぶっ飛ばしたのに、また笑顔で走って来て抱き着くって感じで全く効いてないし、何度もドラゴンを笑顔で撫で繰り回すので、ドラゴンが逆にビビって逃げてしまったらしい。
ドラゴンとか怪獣とか好きだもんな。
「そんな凄い話があったのに話さないってあるのかな? 」
「酔っぱらってたんだと思う」
「いや、トラックに跳ねられた後にすぐ起き上がってトイレに行って、そのまま笑顔で家に帰っちゃったんだろ。警察が調書を取らないとって来るまで、家族は誰も知らなかったらしいし」
由宇の疑問に俺と雄二が話す。
「良く、覚えてんな」
「いや、祖父が流石二階堂だって大喜びしていつも話すもんで……」
「先生、本当に二階堂オタクなんだな」
「ああ、結局、どんな武術で鍛錬しても、何もしなくてナチュラルに強い人に勝てない事があるからなって、よくしみじみと言うから、お前の祖父にでも負けたんじゃ無いの? 」
「え? 今度は祖父もかよ……」
「だって、財界の大物だったせいで暗殺されそうになった時も、こいつ死なないじゃんって相手が悲鳴上げてたって言ってたからな」
「はあああああ? 初耳だぞ? 」
「いや、祖父が言ってたからマジだろ。ドスを腹に刺されてるのに、相手に小首をかしげて、で? なに? とか答えたとか言ってた」
「嫌な話だなぁ」
俺が憂鬱になる。
「何で、凄い話じゃない」
「いや、そのせいで、俺が中学校の校舎の三階の窓ふきやった時に、下に落ちたんだけど、先生に二階堂君だから大丈夫でしょって微笑まれたのがトラウマになってんだよ」
「「いや無事だったじゃん」」
「やかましいわぁぁあああ! 」
「貴方は本物のようだな」
クニハタさんがうんうんと納得している。
「じゃあ、お母さんも……」
ヨシクニ君がぱああっとほほ笑んだ。
「いや、難しいだろうな」
「え? 」
クニハタさんの言葉に由宇が驚く。
「で、でも……」
ヨシクニ君が真っ青な顔だ。
「分かったわ。お姉ちゃんが行ってあげる」
由宇が勝手に約束した。
俺の横で雄二もあああって顔している。
その他人を振り回す性格を何とかしろよ。
本当に。




