第二部 第五章 ブランド
「お前達、ひょっとして異界から来たものか? 」
親父さんの方が訝し気な顔で俺達を見た。
やはり、こちらは俺達からしたら異界なんだ。
「異界? まさか、英雄の二階堂さんなのかい? 」
子供が急に目をキラキラさせてきた。
雄二と由宇が驚いた顔で、俺と子供を交互に見た。
「違います」
俺が微笑んで答える。
「何言ってんだ。二階堂達也」
「そうだよ。二階堂達也」
雄二と由宇が大声で叫んだ。
「ちょっ! 」
俺がマジでキレそうになる。
状況も分かんないのに余計なことするなやぁ!
「お父さん、この人二階堂さんだ」
子供が大喜びで親父に話す。
「ま、待って、多分、その英雄の二階堂とは違うから……」
俺がしどろもどろで答えた。
曽祖父が不死身とかのせいで碌な事がない。
「いやいや、本当に二階堂って一族の人なのかい? 」
親父さんが具体的に聞いてきた。
そこまで具体的に知ってんのか。
「ええ、二階堂家の御曹司です」
由宇が微笑んだ。
「代々、長男は不死身で、彼は長男です」
雄二まで詳しく説明しやがる。
「待て待て、勝手に全部言うなやぁ! 」
俺が怒鳴る。
「驚いた。初めて会ったよ」
親父さんが急に友好的になった。
「お父さん、この人達なら助けてくれるよ」
子供のキラキラとした期待溢れる目が辛い。
勘弁して欲しい。
「いや、貴方方の二階堂のと言うのは多分古い人でして……」
「いや、二十回くらい前の夏にも来てたぞ? 」
親父さんが信じられないことを言った。
「え? 」
「二十半ばくらいだったかな? 」
親父さんが詳しく説明してくれる。
「えええ? 」
うちの親父だ。
間違いない。
あああああああああ、何の話もしてくれてない!
何、してくれてんねん!
「お前の親父さんだな。間違いないわ」
雄二が断言した。
「いろいろと豪快な人だもんね」
由宇も納得している。
「勘弁して欲しい」
「あーあー。私はクニハタと申します」
エルフ顔の親父さん…クニハタが日本風の名前を言った。
「僕はヨシクニです」
子供がヨシクニと名乗った。
「俺は御剣雄二です」
「私は三島由宇です」
雄二と由宇が名乗った。
俺は黙っていた。
言いたくないからだ。
「ほらっ! 」
由宇がつつく。
「くくくくくく、二階堂達也です」
俺泣きそう。
どれだけ、ブランドの名前なんだろう。
二階堂って聞いた途端、二人がぱあああって輝いた顔をした。




