第0話 始まりのアイドル
初投稿になります。
少しでも皆さんによんでいただけると嬉しいです。
「戸田山さんお疲れ様です」
「あぁ、うん、お疲れ」
「戸田山さんも早くあがってくださいよ。明日のプレゼン、戸田山さんうちらのチームのリーダーなんですから、今日くらいはゆっくり休んでくださいよ」
「はいはい、今日くらいはゆっくり休ませていただきますよ。じゃあ南さんも明日はよろしくね。お疲れ」
「はい!ではお疲れ様です」
そう言って彼女が帰り、事務所に残ったのはわたし一人になった。この広い空間に一人っきりというのも慣れてしまい、今さら何かを思うことなくなってしまった。
「さてさて、一応もう一度明日の資料チェックしときますか…」
資料に目を通していくと、いくつかまた訂正箇所が見つかった。
「あぁ、なんで日中気づかったのかしら…。はやく修正しなくちゃ…。」
そして、作業が終わる頃にはいつもと同じ時刻になっていた。
早く事務所を出ないと終電を逃してしまう。わたしは急いで資料を保存し、バックを掴み足早に事務所を出た。
駅の改札に着いた頃には電車の到着時刻になっていた。
急いで階段をおり、いつも通りギリギリなんとか電車に乗ることが出来た。
椅子に座りやっとゆっくりと出来たので、スマホをバックから取り出し、画面を開いた。
くだらないサイトやおもしろ動画を降りる駅まで時間みるのが一日のなかで唯一の至福の時間となっていた。一日の疲れをこの時間だけは少しだけ忘れることが出来る。
「次はこれを見ようかなっ」
開いた動画は結婚式会場でトラブルが起こった新郎新婦の映像だった。ウェディングケーキが倒れてきて新郎新婦がクリームまみれになってるものだ。
トラブルが起きたはずの二人の顔はとても幸せそうで、このクリームまみれでもお互いことを大声で笑っていた。
いつもだったら面白いとくすくす笑って、また次の動画見ようと思えるはずなのにさっきから何度もこの繰り返し再生している
面白い、面白いはずなのに…。
「なんでこんなに泣けてきちゃうの…」
毎日、会社と家を往復するだけの日々。同期のメンバーは自分以外は全員寿退社。
一人とり残されたくなく休みには必死にエステやジム、マナー講座、料理教室。ありとあらゆる自分磨きに勤しみ婚活に臨んでいた。だが、27歳にして未だに恋人が出来たこともない。
もうどうすればいいのかもわからない。
わたしはこの先ずっと仕事だけ生き甲斐にして一人で年老いていくのだろうか。そんな不安が常に心に押し寄せる。
変わりたい!こんな人生から抜け出したい!
そんな時だった。サイトの隅に小さな広告バナーがふと目に入った。
「アイドル募集中。年齢は不問。やる気のある方ならどなたでもご連絡ください?」