表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/29

第十五話

面白いと思ったり続きが気になる!という方は評価をお願い致します。

 三番街の店『ルーエ』の食事は本当に旨かった。ラーナ親子に別れを告げると俺達は《タルタロス》への帰路に着いた。ティファも患者を無事治療できたようだ。


 それから3週間が経った。俺は二度の試合を経験し、どちらも誓約を発動することなく勝利できた。ランバルトの剣と盾の効果も大きいだろうが一番の要因は……


 「行くよトモヤ!はぁっ!」


 ――ズドンッ!!

 俺はダリエスの拳を盾で正面から受け止める。3週間前なら受け止められなかっただろう。

 いま俺はダリエスに稽古をつけてもらっている。

 2連勝できた理由はこれだ。ガーディアンと毎日戦っていれば、1000位台の相手なら優位に立てる。

 何より驚いたのが、ダリエスが赤軍に移籍した事だ。結構簡単な手続きで出来るらしいが、普通はやらない。

 みんな、元仲間と殺し合うのを避けたいからだ。その点ダリエスは青軍で友人と呼べる人間が居なかったから気楽だったのだろう。

 それ以外にもデメリットはあり、軍閥移籍後は移籍前のランク内で最低ランキングからスタートとなる。ダリエスの場合1000位のガーディアンだったため、ランクは1000位台だ。

 今のランキングは俺より下がり0ポイント、2143位になっている。ちなみに俺は3ポイント追加して1298位になった。

 また移籍後そのシーズン間は試合ができないらしい。本人曰く、『トモヤとこうして毎日模擬試合できるならそんなのデメリットに入らないよ!』とのことだ。


 そんなこんなで俺は濃密な3週間を過ごし、スキルもかなり向上した。

 

 トモヤ=アカバネ

 装備:ブロードソード、スモールシールド

 武技:円月斬り、散花、狼撃、シールドバッシュ

 常時発動型:視力向上2、筋力向上1、速度向上1、打撃耐性1

 誓約:生への執着1


 ちょっと遠いがルーエにもよく行っている。食事代が安くかなり旨いからな。決してラーナに癒やされたくて行ってる訳じゃないぞ。ティファの医者業務の付き添いでもあるんだ。

 誰とも分からないが言い訳をしていると……


 「よう、トモヤ!調子良さそうだな!」


 「トランゼン、どうした?」


 「いやなに、うちの期待の星を見に来ただけだ。お前さんが【アイアンフィスト】を籠絡してくれたおかげで、うちのグラディエーターがどんどん900ランクに上がっていってるんだわ」


 「後任がダリエスより弱かったってことか」


 「僕としては不本意なんだけどね、弱い人達が上に行くのは」


 「うちの奴らはそこまでひ弱じゃねえよ。ああ、そうそう、トモヤにちょっと注意して欲しいことがあってな」


 注意?なんだ?


 「最近青軍に新人が入ったんだ。【緋色の魔女】とかいうリングネームの女だ。厄介なことに炎の魔法を使う】


 「炎の魔法使いか、それがどうしたんだ?」


 「なんでも、成績の良いうちのグラディエーターを狙い撃ちしてるらしくてな、お前さんも最近好調だろ?もしかしたら向こうからオファーがあるかもしれんからよ」


 「確かに、俺は魔法と戦ったことが無いから対策は難しいな」


 「それもあるんだが、【緋色の魔女】は確実に相手を殺害してるんだよ。武器はレイピア、刺突を目的とした剣だ。その腕前も凄まじいんだが、魔法が厄介でな?下手な金属鎧なんて簡単に溶かしちまう。武器防具を溶かされそのままお陀仏って訳だな」


 ひえー、焼き殺されるのだけは勘弁だ。焼死は最も苦しい死に方の一つって聞いたことがある。


 「まあそれだけだ、気をつけろよ!敵情視察に試合を見るのも良いぞ!銀貨1枚から観戦できるからよ!」


 そう言ってトランゼンは去って行った。


 「トモヤ、一緒に【緋色の魔女】の試合、観戦してみる?ファイトマネーで十分払えるでしょ?」


 財布事情を考えれば……別に問題はないな。


 「そうだな、見に行くか。次の試合はいつなんだ?」


 俺達は試合予定掲示板を確認する。

 この3週間で何となく簡単な文字は読めるようになった。人間、結構簡単に適応できるものなんだな。まあ本とかは読めないけどさ。


 「次は……あ、ちょうど明日だね」


 「ならその試合を見ておくか。魔法ってのも気になるしな」


 「今日は訓練切り上げてご飯でも食べに行くかい?」


 「そうだな、夕飯時だしルーエにでも行くか」

 

 「トモヤ、本当にルーエが好きだよね?本当にルーエが好きなの?」


 なんで聞き直してきた?


 「当たり前だろ、あそこの飯は絶品だ」


 俺達はティファを呼んで下層三番街に向かうことにした。


 ――チリーン

 いつものドアを開けてルーエに入る。


 「あら、皆さん、いらっしゃいませ」


 「こんにちは、店長さん」


 ティファがお辞儀をする。

 そう言えば、ラーナの母さん、名前知らないな。まあ店長ってみんな呼ぶからそれで良いのだろう。


 「ごめんなさいね、今日はあの子、お使いに行ってて居ないんですよ」 


 「ああ、お気になさらず、飯を食いに来てるだけなんで」


 「トモヤさん、冷たいですよ?」


 「トモヤ……ほんとは会いたくて仕方ないのに素直になれないんだよね」


 ダリエスが哀れみの目でこちらを見てる。なんだよ。


 「トモヤさん、そうだったんですね!私応援します!」


 ティファさんが謎のガッツポーズをしている。


 「待て待て、俺にそう言う趣味はない。あいつはまだ子供だろ」


 「何でですか?ラーナちゃん、もう16で成人してますし、とっても可愛くていい子ですよ?確かに無邪気なところはありますが、それもとても可愛らしいじゃないですか」


 激しく同意する!ってそうじゃなくて……


 「いや、確かにそうだが、妹のような感じというか……」


 「うわあ、トモヤ、顔が赤くなってるよ、明らかに同様してるし、ださーい」


 うるさいぞお子様の癖に。

 

 ――チリーン

 店のドアが開く。

 

 「ただいまお母さん!あ!トモヤ!来てたんだね!」


 ここ何日かで彼女からはトモヤと呼び捨てで呼ばれるようになった。仲良くなれているなら何よりだ。

 100点の笑顔で赤髪の少女が俺たちのテーブルにやって来る。


 「みなさんもいらっしゃいませ!」


 ぺこりとお辞儀をする。


 「いつもうちに来てくれてありがとうございます!」


 「トモヤが毎日毎日、どうしても行きたいー!!って言うからね。僕もここの料理大好きだから良いんだけどさ」


 ダリエスがニヤニヤとこちらを見る。


 「んなこと言ってないだろ、アホか」


 ――ぐうううう

 誰の腹の虫だ?


 「あ、あははは……私もご一緒して良いですか?」


 「ああ、もちろんだ」


 「ありがとトモヤ!」


 ラーナは空いていた俺の隣に座る。その横顔はとても嬉しそうだ、腹が減っているんだろう。


 「嬉しそうだね、トモヤ。鼻の下が伸びてるよ」


 「そうですね、とっても嬉しそうです!」


 目の前の二人がこちらをニヤニヤと見ている。

 いい加減にしないと怒るぞ。

 確かにラーナは俺に懐いてくれているが、これは兄が出来た喜びみたいなもんだろ。


 そんなこんなでその日は過ぎていった。


 ――翌日


 「はああ、ここが観客席か。闘技場からしか見たことなかったけど、随分とでかいんだな」


 俺は、ティファ、ダリエスと共に《タルタロス》の観客席へと来ていた。

 青軍は【緋色の魔女】今日の偵察相手だ。

 対する赤軍は【ファットボーイ】、相撲取りのような体型をしたグラディエーターで最近負け無しらしい。武器は鎖のついた鉄球だ。如何にも超重量級って感じだな。


 『レディースアーンドジェントルメーン!!皆様、本日も《タルタロス》へようこそ!!今日は1000位台でも大注目の試合です!!赤軍【ファットボーイ】はこの試合後、ガーディアン戦を控えている期待の星!!対する青軍【緋色の魔女】!!言わずもがなの闘士狩り!!【緋色の魔女】に負けっぱなしの赤軍ですが、本日はその記録を塗り替える事ができるのでしょうか!?それでは参りましょう!!レーッツ!!ショー!!ターイム!!』


 鉄格子が跳ね上がる。

 赤軍側からは身長2メートル以上ある超巨漢がのそのそと現れる。その手にはバランスボールくらいの巨大な鉄球に鎖の付いた武器を所持している。

 反対側から現れたのは、対照的にかなり小柄なシンクのローブに見を包んだ闘士。仮面を付けており顔は見えない。

 この距離からだと針のようにしか見えない剣を所持している。あれが刺突剣レイピアだろう。


 ――パチンッ!ゴウッ!!

 【緋色の魔女】が指を鳴らすと、一瞬にして闘技場全体が炎に取り囲まれた。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ