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第十四話

面白いと思ったら評価お願い致します。

 俺とラーナはランバルトの店を後にし、三番街に向かっていた。


 「ここが五番街か……」


 「うん、荒くれ者がいっぱいいるの。私、いつもは十番街の方から遠回りするんだけど、遅くなっちゃうからね。トモヤさんも早くティファ先生に会いたいでしょ?」


 「そうだな、頼むよ」


 全体的に家がボロい、同じ下層街でも貧富の差があるってことなんだな……

 スラム街とまではいかないが、暗い雰囲気だ。アングラな空気に一般人の俺は腰が引けてしまう。


 「おいおい、そこの兄さん、いい剣持ってるじゃねえか、俺のなまくらと交換しちゃくれないかい?」


 脇道から男が3人出てきた。やっぱりだよ、そうなるとは思ってた……走るか?

 ――ザッ

 後ろにも2人、挟まれた。おいおい、完全に挟み撃ちじゃないか。

 一対五なんて漫画の主人公でもなきゃ勝てないだろ。

 結局は数が力だ。一対一のコロシアムで何回戦おうが、大勢に囲まれれば袋叩きに合う。

 仕方がない、少しでも人数の少ない後側に突っ込んでラーナと走り抜け……


 「う、ウィンドカッター!!」


 ――シュバッ!

 え?


 「あ、あぎゃああああ!」

 「俺の腕があああ!!」


 突如赤髪の少女から放たれた真空の刃が、正面の男2人の腕と腹を切り裂く。

 とにかくチャンスだ!


 「走れ!ラーナ!」


 俺は新品のブロードソードを引き抜き、正面に居る無傷の男に向け突っ込む。

 急な出来事に男は呆然としていたが、俺の動きを見てナイフを取り出した。

 奴にまともな防御力は無い、それなら全力で叩き込む!


 ――ビュンッ!キン!バキッ!ザシュッ!

 男は咄嗟にナイフで受け止めるが、それは土台無理な話だった。

 剣の重みに任せて軽々とナイフを砕くと、男の左肩口から真新しい刃が入り込む。


 「あ、あぁあぁ……」


 激痛の余り声も出せないようだ。

 わざわざとどめを刺す必要もないので、その場をラーナと走り去った。

 しばらく走って後ろを見るが、3人の男を瞬時に屠った俺達を追ってくるような輩は居なかった。


 「はぁっはぁっ、ラーナッ、お前魔法がっ、使えんのか!?」


 「う、うんっ、ちょっとだけ、ね!凄いっ、でしょっ!?」


 息も絶え絶えになりながら少女はピースサインを作る。

 俺は深呼吸で息を整える。


 「すぅぅぅぅ……はぁぁぁ……ああ、確かにすごい、俺の護衛なんていらなかったんじゃないか?」


 少女も俺を見て同様に深呼吸をした。


 「そんなことないよ、私一人なら魔法の後やられてたと思う」


 「どうしてだ?もう二、三発放てば全滅させられんだろ?」


 「魔法って確かに強力だけど、物凄く疲れるんだよ?ティファ先生みたいに魔力量が多いなら連続で使えるだろうけどさ……私には出来ないよ」


 ティファは魔力量が多いのか……

 すぐ治したがるしそんなもんなのかと思ってたが、どうやらMPみたいな要素があって連続使用するにはそれなりに魔力が強くなきゃいけないらしい。


 「それにしても、風の魔法か、すごいな!」


 「かっこいい!?」


 「ああ、かっこいいな!」


 「そっか~!えへへ……」


 少女はにんまりと笑う。やはり子供っぽい、まあ俺は子供好きだし癒されるが……


 「お母さんには内緒ね!私が魔法使うのはダメ!って言うから」


 「そうなのか、まあ助けてもらったしな。約束するよ、ラーナの母さんには言わないさ」


 息を切らせて走ったからか、暗い路地のような雰囲気はうすまり、既に四番街の入り口辺りまでたどり着いていた。

 それにしてもランバルトのブロードソード、半端なく切れた。人を斬る感触って好きじゃなかったが、斬れ過ぎて気持ちいい位だった。あの肉や骨に引っ掛かる感じがしないだけでも高い買い物をした価値はあったと言うものだ。


 他愛もない話をしながら三番街に着いた頃には、既に辺り一面夕焼け空だった。

 三番街に着いてすぐ、お目当ての家が見つかった。俺の腹が早く何か寄越せと主張してくるが、取り敢えずは二人と合流しなければなるまい。


 「ラーナ、先に行っててくれ。俺はティファ達に会ってから行く。二人もお前の家に連れていって良いか?」


 「うん、もちろん!お母さんも喜ぶよ!じゃあ先に行って準備してるから!また後でね~……」


 手を振りながら自分の家らしき店に駆けていく。

 妹……いや、娘か?もし居たらこんな気分なんだろうか……心が洗われるみたいだ……

 それにしても、最近出会うのは、おっさんか、美少女だけだな。片寄りすぎだろ異世界生活。


 俺は案内してもらった治療院に向かうことにした。石造りのそんなに大きくない建物だ。どちらかと言うと病院より教会に近い感じがする。

 ――ギギギッ

 俺は木製の大きな扉を開け中に入る。


 「ティファー?ダリエスー?居るかー?遅くなったけど到着したぞー……」


 居ないのか?


 「あー、はいはい、お客さんっすか?治療っすね。回復魔法1回で銅貨10枚、2回で18枚となってるっす。本日はどこを怪我されたんすか?」


 〜っす口調の女性が現れた。ティファより少し年上か?メガネに茶色い三つ編みのそばかす顔をした少女だ。


 「あ、いや俺は患者じゃない、ティファの連れだ」


 「え?先生の?ああ、噂のトモヤさんっすか。始めましてあたし、アルミナって言うっす。よろしくっすよ」


 「ああ、よろしく」


 なんで〜っす口調なんだ?と突っ込みたくなるが面倒なので止める。

 

 「それにしても治療費、本当に安いんだな。王国魔術医師の500分の1か」


 円に換算して1000円、保険適用の手術でもそんな安くない。安い歯医者レベルだ。


 「まあそうっすね、本来なら回復魔法にはかなりの魔力が必要っすから、治療出来る回数を考えるともっと取るべきなんすけど、ティファ先生は魔力が膨大っすからね。それに本人もこれでやりたいって言ってますし」


 「そうか、やっぱりティファって凄いのか?」

 

 「凄いなんてもんじゃないっすよ!回復魔法の優劣は消費魔力、修復力、修復速度で決まるっす。先生は低燃費高出力のスーパー魔術医師っすよ!致命傷だって一発で治すんすから!王国魔術医師なんてクソ喰らえっす!まあサイモン氏はティファ先生と同格っすけど……」


 その二人からしか回復魔法を受けたことが無いから凄さがわからんが、つまり回復魔法は万能って訳じゃないんだな。


 「ところで二人は?」


 「ああ、先生とダリエスくんはお隣の『ルーエ』ってお店で食事してるっすよ!」


 なんだよ、こっちに来る必要もなかったのか。

 まあ回復魔法についての情報は得られたからいいか。


 ――チリーン

 ベルを鳴らして隣の店、ルーエに入る。


 「いらっしゃいませ!好きなところに座ってくださいね」


 声をかけてきたのはすごい美人で優しそうなお姉さん、赤髪から察するにラーナの姉さんってとこか?

 俺は奥に目をやる。テーブル席で談笑する3人を見つける。


 「おい、ラーナ……呼びに来てくれても良いんじゃないか?」


 「あ、トモヤさん、おかえりー……あむ」


 何か旨そうな肉を食ってやがる。

 ――ぐうううう

 くそ、昼から何も食ってないのに!


 「トモヤ、遅かったじゃないか、流石に待ちくたびれたよ」


 「お前もお前だダリエス!治療院の場所くらい言ってけ!」


 「知ってると思うじゃないか、少なくとも僕よりティファさんと長い付き合いなんだから」


 まあ、確かに……会って数日だけどな。


 「トモヤさん、すみませんでした。私、ルクセールさんのお酒に中てられちゃったみたいで……」


 「いや、豪快に飲み干してましたよお嬢さん」


 「すみません……」


 ティファが顔に手を当て恥ずかしそうに俯く。


 「あなたがトモヤさんですね?うちのラーナがお世話になりました」


 後ろから声をかけられる、さっきの赤髪お姉さんだ。


 「あ、どうも、ラーナのお姉さんですよね?こちらこそ案内して頂いて助かりました」


 「やだお姉さんだなんて!そんな煽てなくてもご飯はサービスしますよ」


 赤髪お姉さんがにこりと微笑む。

 ってお姉さんじゃない?母親なのか!?

 どう見ても20代、俺と同じか下手すると少し下に見えるのに……


 「ラーナのお母さん、ですか?おいくつで?」


 「レディに歳は聞かないものですよ」


 決して強くはないが、冷えきった声で牽制される。


 「あ、はい。じ、じゃあ俺も何か適当に頂いて良いですか?」


 「はい、もちろんです!」


 にこりと笑った笑顔に、今度は冷たさは無かった。

 俺はその、実家のような居心地のよさに、異世界に来て初めての安寧を感じたのだった。

第七話辺りでお金についての話がありましたが、色々間違えすぎていたので訂正しました。


銅貨1枚は100円くらい

銅貨100枚で銀貨1枚

まだ出てきてないですが金貨1枚は銀貨10枚です。

治療費は銀貨50枚で50万円くらいです。

下層街の生活費半年分くらいになります。


恥ずかし過ぎる算数の間違いをお詫び申し上げます。

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