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STAR SKY GUARDIANS  作者: 花海
第二章 幽閉心壊都市パチェリシカ 前編~暗夜に煌く雷閃~
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第2章28 死の宣告 残り5日 過去と屈辱

再会した宗次は、かつての弱々しい面影はなく、たくましさと凛々しさを兼ね備えた立派な青年へと成長していた。

それどころか、年齢も自分より成長しているようなそんな気さえした。


「宗次、お前今何歳になったんだ?」


「もうすぐ17になるよ。ひろはあれから2年も経ったのに、全然姿も変わってないね。てっちゃんとは大違いだ」


17!?春香でさえ6ヶ月のズレだったのに、どうして2年ものズレが生じているんだ?

そして、だ。


「鉄ちゃんにも会ったのか!?」


「3ヶ月くらい前だけどね。今はレデューって街で小隊長を任されてるんだって。歳も……確か、今年で25歳って言ってた気がするよ」


25歳!?

もうわけがわからない

宗次といい鉄ちゃんといい、俺や葵、春香との時間に大きな差が出すぎている。

一体何がここまでの時間の差を生んだんだ?


「あー、感動の再会のところ申し訳ない。たしかに君たちの再会の意図もあったんだが、今回彼をここに招いたのには理由があるんだ」


役者は揃った。彼女を連れてきてくれ。

ナタリーさんは指を鳴らすと、どこからか使者が現れてその言伝を受け取ったのちに、またすぐに姿を消した。


「……理由、ですか?」


「そうだ。ちなみにジョーカー。君は今現在の社会情勢について覚えているかな?」


「まぁ……軽くなら」


サーシャから聞いていた貴族連合による体制のもとで政治が行われている国が多いこと。ギルド連合は貴族連合に追いやられ、現在危機に瀕していること。

わかっているのはせいぜいこれくらいなものだ。


「自体は君が思っているよりも深刻なものだ。簡単に説明しよう。基礎的なことから始めようか。この世界は大きく3つの大陸に分かれている」


そうしてナタリーさんは用意されていたテーブルに世界地図を広げて、指を刺しながら説明をし出した。


「今私たちがいる大陸が、世界で最も大きい大陸、ストロフ。大地の三分の二を占めていて、多くの種族、魔物がこの大地で暮らしている。貴族連合が現在支配している大陸の一つだ。もう一つはウェケア大陸。都市フリーテがあった場所も貴族連合の支配している大陸だ」


「……不利な状況にあると聞いてはいましたが、大陸の三分の二がすでに貴族連合の支配下で、今その相手陣営のど真ん中で陣を構えているってことになるんですか?」


「まぁそうなるね」


そんな軽い返事で済ましていいのかこの状況……。


「そして現在我々ギルド連合が主として活動しているのが、レデュー王国管轄区の大地である、ルイン大陸。こんな危機的状況だというのに、レデュー王国の王様はギルド連合に戦争をふっかけてくる。そんな変わり者が統治する大地だよ」


「四方八方敵だらけじゃないですか」


「だから言っただろう?状況は君が思っているよりも深刻だって。200年前のように流行病で味方が死なないだけまだマシではあるんだが……状況は一向に好転しない」


流行病なんてのもあったのか……。

それもそうだ。

俺たちが生きていた時よりも1000年も前の世界なんだ。

医療技術にしろなんにしろ、技術が発展しているわけではないだろう。


「それにしてもですが、ギルド連合がここまで追い詰められている理由はなんでしょうか?前聞いた話だと、残り10ギルドほどしか残っていないのは覚えていますけど……」


「なに、簡単な話だ。ギルドは集団だが組織ではない。統率の取れない我々にとって組織として反逆の準備を進めていた貴族連合にしてやられたというわけだ」


「こちらの落ち度でしかないじゃないですか……」


「それもそうだが……。この事態を()()()()に任せていたのが、私たち大人の大きな間違いだったんだ」


彼女たち……?

それは一体誰のことなんだろうか。

彼女たちについて話を聞こうとして、口を開きかけたその時、部屋の扉が開いて腰には立派な刀を携えた和服の女性が室内に入ってきた。


「私個人を呼び出しとは何事でしょうか、ナタリー。宗次も呼び出していると聞きましたが、まさか、私のギルドの右腕を引き抜こうとか、そんな話ではないですよね?」


「やぁ彩花(さいか)。君に紹介したいと思う人がたまたま来てくれたからね。第4席の手に陥落した東国を取り返すためには、東国を少しでも知っている若者の力を借りた方がいいだろう?」


彩花と呼ばれた女性は、凛とした声とは裏腹に、油断ならないこの状況に気を張り詰めているからか、少しばかし目の下にクマがあった。

きっと寝る暇も惜しんで活動しているのだろう。

それだけで、ナタリーさんの言葉に嘘はあまり含まれていないと推測することができた。


「あなたが言っていた、じょーかーとかいうやつですか?私には意味も詳しくはわかりませんでしたが、きっと奥の手のようなものなのでしょう?それで、その方はどちらに……」


そうして彼女の視線がこちらに向けられる。

困惑と、少々の期待が込められた視線。


それが、一瞬で侮蔑と憎しみの視線へと変化し、気が付けば刀を手にして咄嗟に引き抜き身構えていた。

刹那にして身構えていた刀から火花が散り、座席ごと吹き飛ばされる。


「彩花!?何をしているんだ!?」


ナタリーさんにとっても彼女のとった行動は予想外だったらしく、驚きを隠せないでいた。

同様に、宗次も困惑しているようで「彩花さん!?どうしたんですか!?」とオドオドしていた。

にしても、突然どうしてあんな目線を向けられた後、吹き飛ばされなきゃならんのだ。

一言申さないとやってられないと思い、口を開こうとするが……。

その前に、殺気と共に刀が俺の首元めがけて振りかぶられていた。


「10年前の雪辱!ここで晴らさずして、いつ晴らそうか!!」


「何のっ!!話だよっ!!」


咄嗟に刀ではじき返すものの、相手の刀の軌道を変えるのに精いっぱいで、剣先が頬をかすめる。

熟練の相手であることに間違いはない。


「喧嘩はよそでしてくれ!!」


ナタリーさんの怒鳴り声が聞こえると同時に、気が付けば俺と彩花と呼ばれたその人は建物の外に移動していた。

おそらくフリーテで使用したナタリーさんの個性だろうけど……。


「なんで俺まで外に出したんだよ!ナタリーさん!!」


だが文句を言っても、当の本人は視界の中にはいない。

目の前にはあふれ出る殺気を抑えられない、黒髪と蝶を基調とした落ち着いた袴を身に着けた女性。

彩花と呼ばれたその人は、何故かしら俺へ殺意を向ける。

誰と重ねているかは分からないが、今は勘違いであることを伝えるしかない。


「俺を誰と重ねているかは知らないけど!ひとまず落ち着いて、俺の話を聞いてくれよ!!」


「その必要はないわ。10年前の貴方が、そう言ったもの」


だからその10年前のやつが誰なんだよ!!

状況は読み込めないが、向けられた刃を無抵抗で受けるほど馬鹿ではない。

……生き残るためにも、やるしかない。

疲れた体に鞭を打ち、刀を構える。

それに応じるように、相手も刀を納め鋭い眼光をこちらに向けた。

まさか……抜刀術使いか!?


北十字の白鳥(輝けるアルビレオ)ギルドリーダー、彩花。……あの時の屈辱、晴らさせていただきます!!」

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