序章4 光の先へ (改行済み)
キャラクター紹介3
新橋 春香14歳 中3 女
洋一の幼馴染である少女。幼い時の洋一の事を覚えていて、こちらに戻ってきたときにすぐに仲良くなった子。ただ、暴力に頼るところがありたびたびストレス発散という名義で拳が飛んでくる。意外と精神面が不安定なところがあり、2年前の戦争で家族を失った時1人自殺しようとしていたところを洋一に止められている。現在は訳あって洋一と葵と暮らしている。
平田 宗次15歳 中3 男
よく腰が抜けることの多い引っ込み思案な少年。いじめられていたところを洋一に助けられ、そこから仲良くなった。あまり発言したりはしないが、常にみんなの事を見ていて最善の行動をとろうとしてくれる。が、戦闘ではビビるのですぐにてんぱることが多い。
坂本 鉄15歳 中3 男
クラスで委員長をしている少年。正義感が強く過去の龍馬とはひどく相性が悪かったが、今ではすっかり仲良しに。軍に入ることができるほど学校では強い方で、一度だけ洋一からも勝利をもぎ取ったこともある。洋一自身も鉄とチームを組むことが多く、二人の連携技なども存在するほど仲がいい。
内中 龍馬14歳 中3 男
クラスの問題児。たびたび何かしらの問題を起こし迷惑をかけて来たが、実はその理由が過去の記憶がないから精神的に不安定になるのだと分かり、話したりしているうちに次第に仲良くなった少年。アイドルやアニメ、そしてこれらには似つかない遺跡について興味を示しており、今回のように許可も取らずにたびたび山に忍び込んでは、勝手に遺跡を捜したりしている。
それは一瞬の出来事だった。
鎌が俺の首を目掛けて振り下ろされ、それを奇跡的に襲ってきた相手を横切るような形で、前転で回避して避けることができた。
だがそのせいで、皆と距離が出来てしまった。
「宗次!!」
「わわわ、分かってるよ!…シールド!!」
強さが未知数。
それでいて何をしてくるのか分からない。
身長を超えるほどの大きな鎌を持ち、その長い髪を揺らしながら汚い笑みを浮かべていた。
「……さすがラウル!!弱くても、それなりの反射神経はあるみたいですね〜!!なら、これは……どうかな!!」
そいつは手に持った鎌を大きく振りかぶると、宗次のシールドに向かって勢いよく振り下ろした。
宗次のシールドは2トントラックがぶつかってもヒビすら入らない強力なものだ。
弾かれて体勢を崩した瞬間、間合いに入るべき。
そう判断した俺は、その時を待った。
だが、俺の予想に反して、宗次のシールドは風船を割るかのように弾け飛び、その衝撃でシールドを張っていた宗次が尻もちをついてしまった。
「まずは……1人目っ!!」
動けない宗次に向かって、鎌が振り下ろされる。
俺の場所からだと敵の攻撃を受け止めることが出来ない。
「宗次!!動け!!」
叫ぶ。
だが、恐怖のあまり、宗次はその場から動けない。
その中で、唯一動いた者がいた。
そいつは、自身の拳を握りしめ、宗次に迫り来る刃を受け止めるのではなく、側面を殴ることで刃の位置をずらした。
おかげで宗次には当たらず、その刃は地面へと振り下ろされた。
「ボーッとしてんじゃないわよ!!」
そいつは、春香はそのまま腰を抜かした宗次の首根っこを掴むと、後方の葵のいる方へとぶん投げた。
「ひろ!鉄!どうするの!?こっからは何も考えてないわよ!」
春香からヘルプがかかる。
何も考えずに突っ込んで言ったあたり、アイツらしいなと思う。
だが、今回はそれに助けられた。
なら、こっからどうにかしてでも勝たねばならない。
「俺と春香で前に出る!鉄は魔法で援護を頼む!宗次は支援を!葵は外に連絡を!!」
言葉を発しながら敵の懐に潜り込み、刀を下から上に引き抜く。
敵はそれを軽々と避け、俺たちと1度距離をとった。
「1人も3人も同じこと……。その首をはねるだけ……」
不敵な笑みを浮かべながら言葉を発する敵は、ただただ恐怖の対象でしかなかった。
「行くぞ!春香!」
「任せなさい!」
2人して前方の敵に走り出す。
過去に数回だけ組んだことのある俺と春香の幼なじみ凸凹コンビ。
春香が大抵適当に戦いだすので、合わせるこちらが大変なのだが……
「せりゃ!」
春香が敵の鎌を目掛けて拳を突き出した。
春香の拳が鎌の側面を綺麗に捉え、相手の体勢を崩すのと同時に武器にヒビを入れることに成功する。
春香のちっこい見た目からは信じられないが、かなり強めの重攻撃を繰り出すことができる。
武器を殴れば、大抵のものは真っ二つに折ることもできる。
だが、見た目が小さいので、よく初戦闘の相手には馬鹿にされがちだ。
だから、こいつが殴りつけてきた時は、誰もが初めは受け止めて反撃すればいいと考える。
……それが大きな命取りになる。
「追撃!」
敵の体勢を崩した春香が叫ぶ。
すかさず間合いに飛び込み刀を振るが、相手は水草のように俺の刀を避け、それと同時に反撃も行ってきた。
下から上に、左から右に。
敵は慣れた動作で仕掛けてくる。
こちらから攻めたはずなのにそれを一瞬で形勢を変えられ、気がつけば敵が有利な状況を作り出されていた。
ただただ必死に攻撃を防ぎ後ろへと下がる。
隙という言葉が存在しないような戦い方に、俺は戦闘を開始してすぐに勝つことができないと判断した。
今まで戦った相手の中で一番俺の想像を超えてきた敵。
下手に手を出せば殺される。だが、背中を見せても殺される。
今はただ救援が来るまでの間、どうにかして耐えきるしかない。
だが……どうする。
こちらの攻撃は簡単に凌がれる。
最初の春香の一撃でひるんでくれたのは、おそらく敵が驚いたからだ。
あの状況下でいっぱいいっぱいだった俺達がそんなことはしないだろうと、高を括っていたからだ。
……なら、馬鹿にされている今を使っていくしかない。
これからどうやって攻め込もうか、それを考えようとした時だった。
「ひろ君!外との連絡ができない!通信がつながらないよ!」
葵から信じられない報告が入った。
それを聞いて、敵は俺達を馬鹿にするかのように笑いだした。
「連絡がつかない?あはははははっ!当たり前じゃないですか!だってここは、私の領域下なのですから!!」
領域、それは現在の人間では使うことが出来ない未知の力。
文献や遺跡にそれらの情報はあり、存在は公になっているのだが、見たことがないのでどう言ったものなのかまでは理解していない。
一説では空間の支配、空間の優位性、等を作り出すものだと話されているが……どうやら、その考えでいいようだ。
たがこの考えが成立するということは、今まさに、敵の優位な状況を作り出されているという事。
外部との遮断以外にも何かあると考えていた方がいい。
「ひろ!!どうすんのよ!?このままじゃ全員お陀仏よ!?」
「んなこた理解してる!!」
「どうする、ひろ!」
前方にいる3人で敵を見据えながら、声を荒らげる。
こっちもこっちでいっぱいいっぱいなのに頼るんじゃねえよ!と言いたいところだが、それはこいつらも同じだ。
……どうする……どう出ればいい!?
「………それにしても……つまらないですねぇ。あの時のあなたは、私をもっと楽しませてくれたのに……」
俺らとの戦いに飽きてきたのか、目の前に立つ敵はそんなことを言いながら適当に鎌を肩に置いていた。
今が話を聞きだすいい機会かもしれない。
焦る2人を少し後ろに下げ、俺は敵との対話を試みた。
「なぁ、あんたは誰だ。何が目的で俺たちを襲ったんだ?それに……なんで俺を1000年も前の英雄の名前で呼ぶんだ?」
襲われたときから様々な疑問があった。
なぜ俺やほかの皆、それに関係のない調査隊の人たちを襲ったのか。
そして……なぜラウルと呼ぶのか。
その疑問をぶつけてみた。
「誰か、なんてどうでもいいじゃないですか!私は人を殺すのが!その断末魔を聞くのが楽しいだけ!あなたの、ラウルの死ぬときの断末魔が聞きたいだけなのです!」
俺が質問をしてしまったせいで、敵にまた火をつけてしまったらしく、敵は鎌を持ち直すと俺たちに詰め寄ってきた。
その時、俺の目の前に2人のフードをかぶった何者かが降り立った。
その顔を俺は先程見たことがあった。
敵はそいつらが俺らの目の前に降り立つと、俺たちの方に向かってきていたその足を止めた。
「……なぁんだ。骨のある奴がいるじゃないですか!!」
そいつは目の前の人たちを見て笑っていた。
こんな人を殺すことに飢えている人間を見るのは……初めてだ。
「無事ですか?」
目の前に降り立った1人から話しかけられた。
そいつは、先程の公園で俺に詰め寄ってきた少年だった。
「周囲はひろかずさんたちでは勝てないような魔物で囲まれています。今は遺跡の中に避難しておいてください。あの敵は、僕たちが何とかするので」
少年がそう言うと、もう1人の少女も明るい声で答えた。
「そうそう!かず兄は今は逃げることを優先して!大丈夫!あいつは……一度倒したことがあるから」
見知らぬ誰か。
でも俺の事を知っている彼らはそう言うと自分の獲物を取り出して構えてた。
少年の方は背丈よりも大きな大弓、少女の方は2本の短刀に鎖のついたものだった。
「さぁ行ってください!今は生きることを優先して!」
「………すまん!助かる!」
ここにいても何もできないと判断した俺は、一言お礼を述べてから全員で遺跡の中へと走った。
そしてその遺跡に全員が入ってしまった直後、今までそこになかったはずなのに、遺跡に扉が現れて俺たちが入ってきた入り口をふさいだ。
「まさか、殺した人間が目の前に現れるなんて思ってもいませんでしたよ。殺人鬼さん」
「…それは、こちらのセリフでもあるのよ、1000年前の英雄のお仲間さん」
「そう言えばそうだけど、貴方も一応世界を救った側の人間じゃない。……どうして、そんなことをするようになったの?」
「………この力を見ても、そんなことが言えますか?」
直後、前方の敵から闇の魔力があふれ出した。
それは、確かに倒したはずの、先程まで対峙していた奴の魔力とほぼ同等のものだった。
「全ては、あの方の為に!!」
鎌を構えなおした敵が地面を蹴った。
「来ます!前衛お願いします!」
少年は弓を引き、いつでも撃てるように構える。
「まっかせて!何としても護り抜くよ!」
少女は走りだす。守りたい人のために。守ってもらったあの人に恩返しをするために。
突然現れた壁に入り口を塞がれてしまったので、出ることができなくなった俺たちは、進むしかなかったのでそのまま足を進めた。
たしか動かない機械の所の天井が開いていたはずだ。
そこからなら外部との連絡や脱出もできるかもしれない。
そんな一縷の希望の為にそこを目指して、俺たちは無言で歩いていた。
「……あの人たち、大丈夫かな?」
葵がそんなことをつぶやいた。
「……無事なことを祈るしかないな」
鉄がそうこたえる。
「だね、少なくとも私たちよりも……もしかしたら、ひろよりも強いかもしれない」
春香が俺の方を見ながらそう言った。
その通りだと思う。
あの人たちは、俺よりも強い。
そしてなぜか俺の事を知っている。
分からない。
彼らに合ったことは一度もない。
それなのに名前で、カズ兄という愛称で呼ばれてる。
それに……
「……敵が、俺の事をラウルと呼んだ意味が分からない」
ラウル、それは1000年前に世界を救った英雄の名前。
彼とともに戦ったそのメンバーの半数以上が子供で編成され、そのほとんどが神に選ばれた神器という武器を使い、闇に支配されるしかなかった世界に光をもたらした存在。
だが、その英雄は最後の戦いの後に仲間たちと共に姿を消してしまっている。
彼が死んだのか、それともその後生きていたのか。
その文献は残っていない。
「……謎だらけだな」
「ほんと、謎だらけだよ」
この遺跡にしたって、助けてくれた彼らや、襲い掛かってきた敵についても、考えれば考えるほど疑問と謎しか出てこない。
でも、今はもうあの場所には戻れない。
先に進むしかない。
その後無言で歩き続けてようやく動かない機械のもとにたどり着いた時、俺たちは目の前の光景に目を疑った。
さび付いて、もう絶対に動かないと思っていた謎の機械が作動していた。
謎のディスプレイなもののようなものが宙に映し出され、上の方では魔法陣のような何かが上空の穴だと思っていた場所でくるくると回っていた。
「少し調べてくる。みんなはここで待ってて」
全員に入ってきた入り口付近で待機するように指示を出して、俺は慎重に動いている謎の機械に近づいた。
そして、その機械に触れてみて何か問題がないか探していると、何かが反応してゴウンゴウンと大きな音を出しながら動き出した。
おかしいと思ったみんなが俺の方に寄ってくる。
”ニンショウカンリョウ。コレヨリテキゴウシャ、オヨビソノジュンテキゴウシャニヨルテストヲカイシシマス”
機械が突然言葉を発しそして………俺たちは光に包まれた。
文章能力のなさを思い知らされる日々……もっと頑張ります。