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STAR SKY GUARDIANS  作者: 花海
第二章 幽閉心壊都市パチェリシカ 前編~暗夜に煌く雷閃~
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第二章21 制限時間の宣告は突然に

大変お待たせいたしました!!

……どのくらい寝ていたんだろうか。

窓から差し込む眩しい日の光で目を覚ます。

……温かい。

朝日をここまで堪能したのはいつぶりだろう。

そんなことを思いながら横になっていると、どこかからいい匂いが扉の向こうから漂ってきた。

向こうも少し騒がしい。

朝食でもできたのかと思い、身なりを整え昨日食事をした部屋まで向かった。


「ああああああああぁぁぁ!!」


「え?え?え!?」


そこでは膝から崩れ落ち両手を地面についた夜さんと、困惑した顔のセリナがオロオロと周囲を見回して助けを求めていた。

そして俺を見つけるやいなや、助けてくださいと言わんばかりに近寄ってきた。


「……セリナ。……何があったの?」


「あ、挨拶をしただけなんです!!それなのに夜さんが急にあんな反応をされて……」


「……そう…………」


昨日あれほど俺に対して、冷静に会話を続けた夜さんだぞ?

絶対まともな挨拶はしてない。

断言してもいい。


「……夜さん。……ちなみにどんな挨拶を?」


「……君は朝のあいさつで胸の大きさを比べる文化を知っているか?」


朝からとんでもねぇ話ぶっこんできたな。


「いや、知りませんけど……」


「だよね!これは私の常識がないわけではなく、彼女がおかしいだけだよね!?」


「そんなことない!一般人の常識だよって渡された本に書いてあったんだよ!?」


それは常識を教えた人選にミスがあったとしか言えない。

そもそも常識を学ぶ上で全く信用にならない○○のマナー本を手に取っている時点でいろいろと問題がある気がする。

そうしたものは普段生活していく中で身についていくものだから……。

それを知らないってことはつまり……。


「……セリナってその……もしかして、お嬢様だったりする?」


「それはそうでしょう?だってあのパチェリシカの学校だよ?良家の坊ちゃん嬢ちゃんが多いに決まっているじゃない」


つまり……昨日馬車に乗っていたのは、いいところの人たちだったわけか……。

全員……助けることはできなかったけれども。

胸がズキンと痛む。

昨日の事がフラッシュバックし脳内を駆け巡り、俺に囁く。

この結果はお前が無力なせいだ。

お前に力があれば、こうはならなかった。と。


「洋一君」


おそらく顔に出ていたのだろう。

何かを感じ取った夜さんが、俺の名前を呼んだ。


「君がどれほど昨日を振り返っても、死んだ人間は戻ってこない。それに状況を聞かせてもらったが、キマイラに襲われている中で君たち2人が生き残っただけでも奇跡に等しい。まずは、生きていることを喜ぶべきだ。……生きてる奴だけが、泣くことが出来るんだから」


「夜さん……」


「それに、君は眉間にしわを寄せ過ぎだ。もう少し羽目を外した方が良い。昨日の事を気にも留めていないこの阿保娘のようにね」


「き、気にしてますよ!ただ……、私はいつ死んでもおかしくないからこそ、輝きと醜さを覚えておきたいんです。そしたら、後悔なく死ねると思いますから」


「でもどうせなら、キラキラした思い出がたくさん欲しいでしょう?」


「もちろんです!」


「……洋一君も、そうは思わない?」


「……そうですね」


「よし、良い1日は朝食からだ!ノマス!」


「ええ。もうできていますよ。すぐにお持ちします」


夜さんに呼ばれるのを待っていたのかように、ノマスさんは全員分の朝食を大きなお盆にのせて運び、テーブルの上へと並べていった。

かなり前からできていたはずなのに、スープからはまだ湯気が上がっている。

きっと温め直してくれたんだろう。


「……ノマスさん。ありがとうございます」


「なにも気にすることはありません。それに……夜に包丁を握らせる方が怖いので」


「それもそうですね」


ノマスさんの返しにくすっと笑う。


「そんなに私のご飯が食べたかったのなら、ウヌチュラプスのおひたしを作ってあげようか」


「遠慮させていただきます」


ウヌなんとかってこの前の見た目がやばい食材じゃん。

絶対に食べたくない。

というかもう二度とお目にかかりたくない。

これ以上話題に出すと、夜さんが腕によりをかけて作りそうな勢いだったのでノマスさんと共に朝食を食べることを促して、ひとまずウヌなんとかの危機は去った。


そうして朝食も食べ終えて一度部屋に戻り、旅支度を整えて十字架を持ち羽をはやした何かの像がある部屋へと向かった。

夜と違い、彩られたステンドグラスに差し込んだ日の光が、地面に綺麗な影を落としより一層神秘的な雰囲気が生み出される。

そしてその彩に包まれるように、十字架と羽をはやした女性の像が顔を修道服のようなもので隠しながら天を仰いでいた。

綺麗というべきなのか、はたまた異質というべきなのか。

教会は四島でもたくさん見て来たから、その存在に俺は違和感を覚えていた。

だが、どこに違和感を感じているかは分からなかった。

ただ漠然と「気持ち悪い」と。

嫌悪感だけがこみ上げてくる。


「さて改めてだが、出発する前に確認しておこう。準備はいいかい?洋一君」


「……はい。大丈夫です」


「では改めて説明していこう。セリナさんには既に告げているが、君たちにはとある呪いが付与されている。分かりやすく言うと1週間以内に特定のポイントまで戻らなければ爆散するって代物だ」


いや、なんて?

しれっととんでもないことを言われたような気がするんだけど。


「夜さん!その話俺聞いてないんですけど!!」


「あぁ、朝食前に言おうとしたんだが、あまりにも洋一君の精神が不安定そうだったから、後でいっかって思っちゃって」


「それなら、昨夜言ってくれればいいじゃないですか!」


「この程度の事で昨日の時間を使うのはもったいないだろう?それに、機会は全員平等に与えた。与えたものを活用できるかは君たち次第だ」


「命がかかってることをこの程度で済ませていいんですか!?」


夜さんも夜さんでセリナさんの事言えないじゃないか。

じゃぁさっきの感動的な言葉も、それはそれってことで出た言葉なのか!?

命の価値軽くない!?


「ノマスさんも夜さんに何か言ってくださいよ!!人としてずれてますよって!!」


「ちょっと!?それはだいぶ傷つく言葉なんだけど!?ノマス!先輩として言い返してあげなさい!!」


「……お互い様だと思うんですがねぇ……。セリナ君はどう思います?」


「……ペピー、回答権をあげます!!」


面倒ごとに巻き込まれたくないからか、セリナは魔法陣を描きペピーを呼び出すと、ペピーで顔を隠し早く答えてよとペピーの尻尾をつねって答えを急かした。


「痛いっピ!!それと呼び出し方が乱雑すぎるし呼び出す理由もあほくさいっピ!!緊急時か食事の時だけにしてほしいっピよ」


「だって面倒じゃない!そもそもここにいる時点で全員ずれてる人じゃないの?」


「あー!今ライン超えた!!一番言っちゃいけないこと言った!!私激おこだからね!!ノマス!やっちゃって!!」


「何をどうやるんです……」


顔を真っ赤にして怒る夜さんと、呆れた顔でなだめるノマスさん。そして何も悪びれる様子もなく夜さんを見て笑うセリナにいい加減尻尾を話せっピと叫ぶペピー。

何というか……、このやり取りがどこか懐かしく感じてしまい、呪いの話の下りが本当に頭から抜けそうになった。

慌てて話を本題に戻し、夜さんに呪いについての詳細を問いただす。

昨夜は質問に対してあまり答えてくれなかったのに、この質問に関してはえらく簡単に口を開いた。


「それは術者の願いに応じて対象に祝福をかける第3の祝福。ただしその祝福が対象者にとって祝福であるとは限らないわ。それを祝福とみるか、厄災とみるか。……今回の術はあなたたちに取って災いの種となったようね」


「……ちなみに、この術式を解呪する手段とかは?」


「あるにはある。ただし……」


「……ただし?」


「解呪に使うことが出来る代物を、私は1人分しか持っていないんだ。そしてもうセリナさんに使った」


……は?

今なんて言った?

しれっととんでもないことを言われた気がしたんだが。


「君はパチェリシカに戻るから、要らないと思ってね!!」


「いるに決まってるでしょう!!?」


訂正。

やっぱり夜さんは、命を軽視しているとしか思えない。

次回の更新は作者の都合につき2月後半以降になります。

長い間お時間を頂きますが、お待ちいただけると幸いです。

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