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STAR SKY GUARDIANS  作者: 花海
第二章 幽閉心壊都市パチェリシカ 前編~暗夜に煌く雷閃~
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第二章19 ありえざる再会と邂逅

夜ということもあり灯りもついていない教会の中はしんと静まり返っていた。

唯一の光はステンドグラスからの月灯りくらいで、その月灯りは俺らではなく十字架を持ち羽をはやした何かに当てられていた。


「この奥です。行きましょう」


ノマスさんが先導し教会の中を進む。

十字架の横を抜けてわきにあった扉をくぐると、何十人も座って食事ができるような木製の古びたテーブルの部屋にたどり着いた。


「おっ、きたね~。もう少しで準備が終わるから、適当に座っておいてくれないかい?ノマス、準備を手伝ってくれ」


「承知しました。洋一君、セリナさん、ペピー君。席について待っていてくれ。すぐに準備してくる」


そうして夜さんが消えて行った奥の部屋の方にノマスさんも続いていった。

言われた通り席に着くが、先程薬を盛られて睡魔に負けた身としては、余計に警戒してしまう。

そんな俺の警戒とは裏腹にセリナとペピーはようやく御飯にありつけると、目をキラキラさせて席に座った。

……いいのかこんなふわふわした雰囲気で。

気は抜かないようにしておこう。

万が一があった時、今度こそ対処ができない。

だが、そんな俺の心配とは裏腹に、夜さんたちはすぐに御飯を用意して俺たちの前に並べると、セリナとペピーは何のためらいもなく手を付けた。


「ひろさんは食べないんですか?」


礼儀正しく一口一口、しっかりと噛みしめるように食事をするセリナ。


「かなり動いた後だからな。胃に食べ物入れると戻しそうで」


それは残念。こんなにおいしいのに……。と言いながら食事をどんどん口へ運んでいくセリナとペピー。

……ここは少し様子を見よう。

それから食事に手を付けても問題ないはずだ。


「しかし大変だっただろう洋一君。目が覚めれば知らない森の中、何も分からない状況でよくここまで生き延びたものだ」


やはり私の目に狂いはなかったと言わんばかりに頷く夜さん。

……確かに大変だった。

何を求められているのか理解できないまま、ここまで来た。

何故キマイラに襲われたのか。他に乗っていた人たちは何者であったのか。セリナの言う声とは何か。ペピーとは何者か。そして……ノマスさんが言った、守護者とは何だ。

それに、夜さんたちそっくりな人たちがいることも、まだ何も説明を受けていない。

まずはこれらの謎を一つずつ解明、理解して、現状を把握しなければならない。


「夜さん。食事前に少しだけ確認したいことが……」


とりあえず何か聞こうと質問を投げかけようとしたとき、夜さんの口元に静かに人差し指がたてられた。

その直後、持っていたナイフとフォークをカランと落としセリナが椅子から転げ落ちた。

ペピーも同様に机上で寝ており、おそらくセリナも寝ているであろうと考えられた。

と、言う事はやはり食事に睡眠薬のようなものが盛られていたことは間違いなさそうだ。


「まず先に断っておこう。私では君が求めている答えを出すことはできない。すべてに回答することは歴史に改編につながるからね。先見の目を持つことを願ったことは大変喜ばしいことだが、あいにく力の使い方を教えることはできない。……おっと、まずはセリナ君を寝室に運ぼうか」


ノマス、と夜さんが一声かけるとノマスさんはセリナの元まで行って担ぎ上げ、部屋のさらに奥の方へ消えてしまった。


「安心していい。殺すようなことはしない。ただ、不意に彼女が起きてきて話を聞かれるのが面倒くさいというだけだ。リスクはなるべく避けていきたいからね」


そう言う夜さんの顔は今まで見た事がないほど真剣で、俺ではなく何かもっと先を見ているような、背筋がぞっとするような、そんな気がした。

いや、それよりもだ。


「……先見の目が欲しいと願ったのは神器を獲得したいと泉の前で願った時に俺が言った言葉だ」


その時俺の周りにはライとラフィナの二人だけだった。

つまり、夜さんがこのことについて知っているのはおかしいことになる。


「なに、知っていることが不思議だって?では問いかけよう。なぜ私はそのことについて知っていたと思う?」


……なぜ知っていたのかだって?

考えられることは2つ。

あの時、俺たちしかいないと思われていた湖のそばに夜さんたちもいた可能性。

もう一つは、誰かから伝え聞いた可能性。

だが、どちらとも現実的に不可能に近い。

夜さんたちはこの時期ドラゴンナイツを指揮しているはずで、飛ぶことが出来たとしてもノードラーからコラ村まではかなりの飛距離がある。

それにあの時のコラ村は内部へ入ることはできても、外部へ抜けることは不可能だった。

となると……、一番考えられそうなのは……。


「ノマスさんの泥人形を介して俺を監視し、常に見張っていた」


「その根拠は?」


「あの時、コラ村は外部から介入したとしても外部脱出が不可能な状況にあった。ただ、夜さんたちはノードラーに残り遠隔操作でノマスさんの泥人形を操作していた。……これの操作上限が1体であるとは考えにくい」


「では仮にノマスが複数の泥人形を作りだし操作することが出来たとして、ピンポイントでコラ村へ人形を配置した理由は?」


そう、そこだ。

なぜ、ピンポイントに俺の動向をたどることが出来ているのか。

これについて、俺はまだ何も理解していない。


「……この謎解きは、宿題にしておこうか。()()に迫るものだからね」


「真相に……?」


意味深に言葉を濁した夜さんは、俺を見つめながらどこか遠くを見ていた。

まだ見ぬ先の景色か、他の何かなのか俺には分からない。

ただ一つ言えることがあるとすれば、間違いなく夜さんたちは、俺たちが知らない()()を知っている。

それは、現状を簡単にひっくり返すことが出来るものかもしれない。

なら、俺がこの問答で行うことは、俺の疑問をぶつけることではない。

全てをひっくり返す可能性のある回答と知見を、夜さんから引き出して見せることだ。

姿勢を整え、夜さんを改めて見据える。

その目は確かに何かを見ていた。

それは未来か、はたまたありえざる選択か。


「さぁ、始めようか。最終ステージへたどり着くための、最初で最後の問答を」


「……っ。よろしくお願いします」


聞き出してやろうじゃないか。

夜さんが隠している真相ってやつを。

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