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STAR SKY GUARDIANS  作者: 花海
第二章 幽閉心壊都市パチェリシカ 前編~暗夜に煌く雷閃~
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第二章17 イレギュラー3 星を打ち落とす者

お待たせなのだよ!!

月光牙のあまりの輝きに、剣を突き出した当人である俺が一番驚いていた。

……ここまでの技だったのか。

今までの風魔法で模倣したものとは比べ物にならない威力。

これを英雄ラウルは使用していた。

……これほどのものを使用できなければ、打ち倒せない敵と対峙していた……。

実に恐ろしいことだ。


「流石、洋一君だ。もう少し立ち話でもしていたいところだが……やるべきことをしてからここを離れようか」


そう言いながらノマスさんは剣を納める、壊れた馬車に向かって少しの間祈りをささげると火を放った。

分かってはいたけれど、馬車の中にいた人達は助けられない。

それでも、見知らぬ誰かであったとしても、足掻いてみたかった。

悔しさと虚しさの中、救えなかった命に手を合わせる。

それに倣う形でセリナも手を合わせた。

……よし、こんなところに長くとどまっているわけにはいかない。

行こう。


「いやー疲れたっピ。久しぶりに頑張ったから後でまた美味しい料理が食べたいっピ。よろしく頼むっピ」


いつの間にか剣の姿から元のヒヨコもどきは、いつの間にか俺の頭の上に乗りん呑気なことをほざきだした。


「……お前には心ってもんがないのか?ヒヨコもどき」


「妖精だし仕方がないっピ」


「今晩はヒヨコもどきの丸焼きかな……」


所々違和感が残るけど、今は一刻も早くこの場所を離れた方が良い。

人が焼ける臭い、それに血の臭いでまた別の魔物を呼び寄せてしまう。

それが俺たち自身に付着してしまうと、面倒なことになる。

頭の上でヒヨコは丸焼きにだけはしないでくれとうるさかったが、ひとまず最低限の為すべきことを果たした俺とセリナはノマスさんについていくことになった。

日は沈み、木々はそれほど高くはないのに月の光すら届かないほどこの森は暗かった。


「着いたよ、洋一君」


長い間歩き、たどり着いた場所は……先程までの暗闇が嘘のように晴れた寂れた村。

そしてその先に、不気味なほどに綺麗な協会。


「……ノマスさん。ここは?」


「私よりも、彼女の方が詳しいでしょう。この森の中に唯一存在し、龍の災禍に巻き込まれた村と言えば――」


「――ネイサス村。でも、この村は……!」


「ええ。もうありません。ですので、()()()()()()。」


ノマスさんのその言葉と共に空が一変し、菱型模様で埋め尽くされる。

見覚えしかない形に、セリナの手を引いてノマスさんと距離を取った。

……この人は……本当にノマスさんか?

刀に手をかけ、いつでも抜けるように身構える。

……震えが止まらない。


「よい心がけです。私が何者か断定できなくなり、すぐに距離を取った。お人好しではなかったことに安堵しました」


剣が抜かれる。

輝きに満ちたその剣は、星空よりも輝き、夜空を埋め尽くしていく。


「輝きはいつしか果てるものだ。どんな星もいつかは闇に呑まれ、名を失う。それは自然の摂理だ。我々ごときで抗うことが出来ない、世界の意志だ」


輝きが増していく。

その光が最高点に到達した時、世界はまたとない輝きを放ち塗りつぶされ、そうして輝きが失われた時、そこにはあるはずのない景色が広がっていた。

先程まで夜だったのにもかかわらず太陽は昇り、時間を操作したかのようにも見えた。


「洋一君。またとない機会だ。()()()が何かくらいは対峙して学んでおくべきでしょう」


ノマスさんが抜き放った剣を構える。


「さぁ、手合わせです。あなたの実力を、私に示してください」


瞬間、ノマスさんが視界から消えた。

瞬時に背後と上空を警戒し、気配を探る。

だが、どこにもノマスさんの姿は見えない。


「地下から来るっピ!!」


未だ頭にしがみついていたペピーが、何かを感じ取ったようなのでその言葉の通りにセリナの手を取って無理矢理背後に飛ぶ。

刹那地面が割れ、ノマスさんが地面から飛び出してきた。


「回避できたことは褒めましょう。ですが、まだ君は眼に頼り過ぎている。感覚で戦闘を行っている。結果回避に専念し、カウンターを入れることも体制も整えることもできず……」


態勢が完全に崩れたこちらに、光り輝く剣からの追撃が振りかざされる。

この一撃は回避不可能。

かと言って中途半端に受け止めてしまえば、死ぬのは目に見えていた。

…………この瞬間だけでいい。

この一瞬だけでも、これを防ぐための力を…………!!


「……っ水連!!」


呼び出せるかもわからない水連の名前を呼ぶ。

その時だった。

胸につけていたアクセサリーが、突如として光を放った。

そうして、今までにないほど美しく輝く水連が目の前に出現する。

咄嗟に空いている右手でつかみ取り、すぐさまベールを展開した。

……上がるはずのない右肩が、肩より上に上がっていた。

痛みはなく、違和感もない。

それに、ノマスさんの攻撃を受け止めることがきつく感じなかった。

これなら、押し返せる!!

水連を強く、強く前に押し出してノマスさんの攻撃をはじき返す。

ノマスさんは信じられないものを見たかのような顔で、そして何か嬉しいものを見た時のように笑った。


「流石だ!!洋一君!!そうだ!!君はそうでなくては!!」


地面に剣を突き立てて、嬉しそうに笑うノマスさん。


「いいでしょう!その力に応え、我が真名のもと君に全力をぶつけよう!!」


ノマスさんが剣を地面に突き立てる。

突如その剣を中心に魔法陣が展開し、ノマスさんの姿が変化していく。

衣から、鎧へ……。

剣を再び抜き放った時、

そこには今まで対峙したことがない絶対が、

正義の象徴が本性を現し、


「我が名は!龍を守護せしかつての円卓の騎士!ガラハッド!!」


ノマスさんは……、ガラハッドは剣の切っ先をゆっくりと俺に向けた。


「さぁ……君の力を見せてくれ!!」


星は巡る。

定めは巡る。

誰にも止められないその力に、それでも抗うしかない。

内から湧き出る不思議な力。

それが何かを確かめるために。


「……行きますっ!!」


俺は一歩を踏み出した。

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