第二章10 新たな仲間と共に
大変お待たせしました!!
連載再開です!!
でもこれからまた忙しくなるので、更新頻度はまちまちになるかもです
それは許して……
「……うめぇ!!……うめぇ!!」
「これが……家庭の味……!?」
「千里のゲテモノよりおいしい!!」
「……あ?今なんて言った?」
翌朝、目の前で繰り広げられるのは、朝食を口に美味しそうにほおばりながら胃の中にするすると落とし込んでいく昨夜の4人組の姿。
昨夜から介抱し怪我などを治療しながら持ち物などを見ていったが、まず何よりも栄養失調の時に出る体の斑点が出ているものが2人。手はたくさん豆がつぶれて血まみれ、挙句睡眠不足なのか目の下にクマが全員に出来ている。
どうみてもこういった旅の初心者で、無謀にも熟練者の手を借りずにここまで来たんだろうと安易に予想することが出来た。
逆にこの状態で俺たちと巡り合ったのが奇跡だと言える。
これで俺たちが山賊の類だったら、こいつらきっと死んでるか身を売り飛ばされてるんじゃないかとすら思える。
そのレベルで心配になる連中だ。
というか、まず助けてもらったってだけでここまで信用するものか?
普通なら飯に薬でも入れられてないかとか気にするはずなんだけど……。
そうして再び、4人組に目を通す。
何かしらもめてはいるものの、食べるという行為をやめる気配は一切ない。
人を疑うという言葉すら知らなさそうなくらい、美味しそうに腹に流し込んでいっている。
食べてくれるのは嬉しいけれど、なんだかなぁという複雑な感情が衝突し合い頭の中が混乱しそうになる。
……まぁ、何はともあれだ。
死ぬようなことがなくて本当に良かった。
うん。
……人が飢えで野垂れ死ぬのを見るのは、もう二度とごめんだからね。
さてと……それじゃぁまずは…………。
4人組から一度目を離し、先程からものすごく痛い視線を送ってきている方々へと向き直る。
「えっと……ひろ君?これはどういう状況なの?」
「知らない人がいっぱい……」
「私に至っては何がどうなったのか覚えてないから、そこから説明して」
とりあえず昨夜、どういうことがあったのかをかいつまんで説明。
春香には、馬鹿面鳥にしてやられたエピソードを嘘偽りなく話した。
「……殺す。あの馬鹿鳥は今ここで殺す!朝食問題はそうすれば解決するでしょ!?」
そう言って馬鹿面鳥に向かって走りだそうとした春香を、俺と葵で何とか引き留める。
カッとなるといつもこうなるんだから、春香からは目が離せない。
こんな行動をとるのに夜さんやノマスさんが、どうして春香を集団の隊長として扱っていたのか。
これが分からない。
現に困っていたようだったし。
何か思惑があったにしても、それが何なのかまでは俺は分からなかった。
……またいつか、きっとどこかで再会できたときにその理由を聞いてみよう。
今はこんなことよりも、旅の支度を整えることが大事だ。
そうして残っていた材料で何とか残りの人数分の朝食を作り上げて、移動しながら自己紹介を行うことになった。
片手剣を持ち、集団のリーダー的な存在の透。
強気な魔法使いで、メンバーをいつも引っ掻き回す千里。
ずっとおどおどしていて、自己主張をせず誰かの後ろに隠れている射手、翔斗。
その大きな図体ででかい斧を振り回す、何事も大ざっぱな林太。
と話を聞いてみると、何とも個性的な4人の集まりだった。
どうして4人でこんなところにいたのか尋ねると、どうやらパチェリシカへ向かうためにはるばる東洋という場所からやってきたようだった。
東洋という言葉は、ここに来て初めて出会ったラフィナやサーシャからよく聞いていた。
東洋とはいったいどういった場所なのか詳しく知らなかったこともあり、改めて透たちに東洋とはどういった場所なのかを事細かく尋ねた。
まず初めに東洋は現在ギルド連合と貴族連合の戦争の舞台の一つであり、現在進行形で戦争が続いているとのことだった。
「どういった理由で戦争が始まったんだ?」
「あー、あれはギルド連合が貴族連合に奇襲を仕掛けたことから始まったんだよ。ギルド連合の自業自得だし、早く諦めてくれればいいのに……」
ギルド連合から仕掛けた?
サーシャたちから聞いていたギルド連合のイメージとずいぶん違う。
それとも、内部でそれぞれ派閥があるのか……。
どちらにせよ、詳しい事情は首を突っ込んでみないと分からないな。
できれば、関わり合いたくはないけど。
「戦争以外で他に何か面白そうな話はないか?」
「戦争以外でか?それならやっぱり不死鳥伝説だな!」
「「「不死鳥伝説?」」」
俺と葵と春香の3人が、聞きなれない単語に首をかしげる。
そんな俺たちをみて、もしかして知らないの?と他全員から驚きの目を向けられた。
「あのウィルダム旅行記にも登場する伝説の狩人、ウィルカ・マーリアが使役した最強の召喚獣だぞ!本当に知らないのか!?」
馬鹿な俺でも知ってるぜと言わんばかりに、林太が信じられないという目でこちらを見る。
でもそんな名前は1000年後の俺たちの時代で一切聞いたことがないし、何ならそもそも召喚獣を使役している人間も限られた人数しかいない。
だがそんな事よりも、俺は狩人の名前の方が気になった。
「マーリアって、貴族マーリアのマーリア?」
「そうだよ」
狩人の名前について尋ねると、翔斗が少し食い気味に話しに入ってきた。
「もともと貴族マーリアってのはその身分を利用して横暴な政治をする人が多かったんだけど、200年前のこの人は自ら貴族の身分を捨てただけでなく、ウィルダム旅行記での旅が終わった後もたびたびフリーテに戻っては民衆の為にできることをし続けた、それはもう貴族の中でも珍しく民衆の立場に立って物事を考えることが出来る素晴らしい人だったんだよ!!さらに彼女が使う槍はまた特殊で、中途半端な間合いにいれば、気づけば体に風穴があいていたって言う話だよ!!」
ぐいっぐいっと話が進むたびに、顔を近づけながら俺に接近してくる翔斗。
話を聞いてる限り、伝記とかが好きみたいだな。
……熱中し過ぎると我を忘れるみたいだけど。
このままだとさらに詳しく話を聞かされそうなので、どうにか話題をそらしたい。
「そ、そう言えば、4人ともこれからどこに向かうんだ?俺たちは今からパチェリシカへ向かおうと思っているんだけど……」
「え!?あんたらもパチェリシカに行くのか!?俺たちも行くんだよ!!」
林太はそう言いながら、自身のポーチの中から小さな封筒を取り出した。
それは、俺たちがウィッカからもらった騎士・魔道学園ドルーナへの招待状と非常に似た、いや、それそのものだった。
「実は俺たち推薦状をもらっててな!これから始まる入学試験に挑戦することになったんだ!!」
そうニカッと曇りなく笑う透の笑顔が、あまりにも眩しくて。
真っ直ぐすぎるその情熱が、少し羨ましくなった。
「洋一たちはどうしてパチェリシカへ向かうんだ?」
「俺たちはこの子、リナをパチェリシカまで送るってのと、俺たちもその入学試験への推薦状?的なのもらったから向かってるんだ」
「じゃぁ仲間だな!!」
ニコニコと満面の笑みで透が俺の手を取る。
「改めてよろしく頼む!洋一!一緒にここにいるみんなで受かろうな!」
透たちから向けられるその真っ直ぐな瞳。
……よくこんな純粋な心で旅を続けてきて、今まで誰にも騙されなかったなと改めて不思議に思う。
でも、少なくとも。
悪い人たちではないのは確かだ。
「こちらこそ、知らないことの方が多いからよろしく頼む。受かれるように一緒に頑張ろうな!」
だから、今は前だけを見ていよう。
これから向かう先が、たとえどんなに先の見えない暗黒だとしても。
せめて、今だけは、前を。




