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STAR SKY GUARDIANS  作者: 花海
第二章 幽閉心壊都市パチェリシカ 前編~暗夜に煌く雷閃~
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第二章4 いざ、パチェリシカへ1

大変お待たせしました。

息抜き回なのにかなり苦労……、時間がたくさん欲しいこの頃です

朝、夜明けとともに目が覚めた。

港街かつ建物の倒壊、それに人気のなさもあいまって、どちらかというと寒さの方で目を覚ました。


「やぁ、よく眠れたかい?」


目覚めてすぐに俺に声をかけて来たのは、夜部屋の前で別れたはずのノマスさんだった。

どうやら状況を見るに、俺たちがゆっくりできるように安全を確保してくれていたみたいだ。


「……おかげさまで」


安眠が出来た、と言えば嘘になるが、少なくともここ数日の間の事を考えれば、一番ゆっくりとリラックスしながら眠ることが出来たのではないだろうか。

……フリーテでも俺たちに色々と気を使って頂いていたこともあるし、この人にも頭が上がらない。


「ならよかった。朝食はこちらで準備している。食べたくなったら出ておいで」


そう言い残してノマスさんは静かに扉を開き、大きな音をたてないようにそのままその場を後にした。

再び訪れる静寂。

周りを見渡すと、友恵以外の人間は未だぐっすりと眠っていた。

……彼女はいったいどこに行ったのだろうか?

少し辺りを探してみよう。

それに、このままこの部屋にいると誰か起こしてしまいそうだし……。

あまり長居すると、変に殴られそうな気もする。

とりあえず外に出よう。

しずかに部屋の扉を開き、外へ出る。

昨日のノマスさんの攻撃によって吹き飛んだ外壁。

朝の冷え込んだ冷気が身体に勢いよく当たる。

……いや、やけに寒いなここ!?

海風ってのもあるんだろうけど、にしても寒すぎる。

……早く火がありそうな表に行こう。

速足で冷える体をさすりながら、入り口があったであろう方へと進んで行く。

建物を抜け、表に出た時、目の前に広がっていた光景は……想像を絶していた。




「これ突っ込んでも大丈夫だよね」


「ちょ!団長!!それ違う!!食材じゃない!!」


「え?もう入れちゃったよ」


「え!?」


「なんか液体の色が緑色に変色したけど大丈夫だよね!!」


「絶対大丈夫じゃないですって!!」


「えーーーー?」



「………………」


………………………………………………。

………………………………………………。

………………………………………………。


「理解と思考が追いつかないって顔しているね、洋一君」


「……まぁ、そうですけど。ってかノマスさん。先行ってるって言ったのにどうしてここに残ってるんです?」


「……あれの試食を……してみたいか?」


「いやです」


「即答だな……」


「……似たようなものを食べて来てますから……」


苦々しい顔をして返事をしたところ、同じくノマスさんも苦々しい顔をしながら頷いた。


「そう言えば春香も料理が壊滅的だったな。騎士団員が何人死にかけた事やら……」


死にかけたんだ……。

俺と葵と3人で暮らしていた時でさえあの腕前だ。

……ノマスさんの言い方からして、おそらく尖った方に成長したんだろうな……。

……尚更旅路の飯は俺が作らなきゃいけないな。



「ちょっと友恵!これ試食してみ」


「殺す気ですか!!?!?団長が食べてください!!」


「私は嫌だよ!……体に悪そうだし」


「ならまずは、その手に持ってる見た事のない何かを下ろしてください!!」


「えー?これ美味しいよ?ウヌチュラプス」


「本当に何なんですか!!!?!?それ!!?!?!?!?!?」



遠目でもわかる。

何だあれ。

言葉に形容しがたい、というかしたくない。


「ぬるぬるとした感触に軟骨のような噛み応え、皮膚はどんな衝撃も糧とする。……捕まえ成長させるのは決して簡単なことではないんだ」


「いや、いらないです。その情報」


「……君なら美味しく」


「やらないです」


「ふむ……そうか、それは少し残念だ」


「というか、あれ飼育してたんですか!?」


「もちろんそうだが?」


「そんなさも当然だろってくらいの速さで返事をしないでください!!」


「いやぁ、返事の速さだけは取り柄なんだ」


「……ほめてないですからね?」


「……そうなのかい!?」


………………あぁ。

フリーテにいた頃のノマスさんは少しかっこいいな、あんなふうになれたらいいなと思っていたのに……。

想像とだいぶ違う。

いや、ユニークなところもあっていいんだ。

いいんだけど……。

なんかこれじゃない感が……。

それともこれが俗にいう先入観とかいうやつなのか……?

接してみないと案外分からないものだ。


「……まずは、あれ、止めましょうか。朝飯が亡くなる」


「確かに、それもそうだ。あのままでは、さらに何をしでかすか分からない」


「なら、あのへんなのだした時点で止めに行きましょうね!!?」


「あはははは!!」


笑い事じゃないんだよなぁ!!

とりあえずこの朝の時間で分かったことは一つだけ。

夜さんとノマスさんの食文化は俺たちと違う事。

……ホントどうでもいいなこの情報!!

今後なにも役に立ちそうにない情報を、明後日の方向に投げ捨て摩訶不思議な料理を作っている夜さんを止めに行った。

結果、

朝飯は天に召されることになった。








「それで何で私たちはあんなのを相手にしなきゃいけないのよおおおお!!」


そうしてなんやかんやあって、眠っていた残りのメンツも起こし、朝飯収集メンバーとして選ばれたのが、俺と葵と春香の3人。

街を出てすぐそばに草食の魔物が何匹かいるからそれで腹ごしらえをしようということになり、この付近を知っている春香の指示の元、魔物を狩った。

食料は十二分に集まった、だが問題は……。


「バーカ!バーカ!」


「アーホー!アーホー!」


食料を運ぶための足が、よりにもよって現地調達であったこと。

しかも鳴き声に中々癖がある。

それにダチョウかってくらいサイズが大きい。

あの大きさなら人最高3人くらいまで乗れるんじゃないか?

後は顔だな、うん。

あのピゲーってなく海外の黄色い鳥に似てるの、じわじわくるな。

……改めて、何だあの魔物。


「んーとね、名前は……馬鹿面鳥と阿保面鳥……だって」


「鳴き声まんまか」


「まんまだね」


「バーカ!バーカ!」


「アーホー!アーホー!」


「殺す!!絶対殺す!!」


そしてギャンギャン騒いでいる当の本人、春香は馬鹿面鳥と阿保面鳥に囲まれ、周囲をグルグルと回られながら罵声にしか聞こえない鳴き声を浴びせ続けられていた。

……あれが一番有効な手段だってわかってるんだろうなぁ。

せこい思考だが、生きていくための知識としてみればなかなか賢い。

案外エサとかで釣れば、なついてくれるかもしれない。

……まぁ……なついたところでってのはあるけどね……?

そこには目を向けないようにしよう。

さて、とりあえずはいろいろと試してみようかな?


「ああああああああ!!!!回るな!!止まれ!!殴れないでしょ!!?」


そうこう考えている間にも、春香は中心でぐるぐると囲まれながら拳を振り回している。

……殺意を向けてくる人間の言うことを、普通聞くはずはないんだがな……。

リーダー格としての冷静さを、遥か彼方へと投げ捨てたようにしか見えない春香の行動に呆れながらも、春香に合流し時間をかけながらなんとか3人でこの鳥どもをなつかせることが出来た。

残ったものは、疲労感と疲労感と疲労感。

思考がまとまらないほどの疲労。


「バーカ!バーカ!」


「アーホー!アーホー!」


仕留めた魔物を引っ張ってもらっているついでに背中に乗り街へ戻ったのはいいものの、捕まえてなつかせるまでにかかった時間の事を考えると、こいつらが発言するたびに苛立ちが蓄積したまった疲労に突き刺さる。


「……こいつら手羽先にしていいかな?」


「ひろ君。その気持ちは分からなくはないけど、もう夜さんたちが視界に入ったからしゃっきりしよう?」


元はと言えば夜さんのせいだろと言いたいところではあったが、言ってもどうせ何も解決しない。

……なんで俺の周りには料理が出来ない女性が多いんだ…………。

だがどんなに他人の料理の腕について悩んでも、本人が練習しなければ上達はしない。

こんな悩み持つだけ無駄なのだ。

……………………はぁ。

教えて伝えるって……大変なんだなぁ。


「……何してんの?早く飯作ってよ」


「それ飯作る人に言う態度じゃねぇからなぁ!?」


待ちに戻って早々苛立ちを隠せない春香、なぜかまだまだ体力のある葵、飯を召したにもかかわらず元気な夜さん、試食係になりたくないからと夜さんを止めなかったノマスさん、まだ眠そうな顔のリナ。

そして、昨日まではふさぎ込んでいたのにすっかり晴れた顔になった友恵。

だが今その顔は、夜さんへの苛立ちで満ちている。

……俺この空気の中で料理するの……?

嫌なんだけど。

誰か代わってよ!!とそんなわがままもいうことはできず、重たくなった瞼を無理矢理開きため息をつきながらとってきた魔物を捌き始めた。







…………観測した地点はこのあたり、か。


「ガラハッド、マナを使用した残留痕を探しなさい。あなたなら探知できるでしょう?」


「……君は人使いが荒い。私はレーダーなるものではない。私が人の事を言えたことではないが、もう少しコミュニケーションをとる努力をした方が良い」


「悪かったわね!!口が悪くて!!」


「そうは言っていない。機嫌を損ねたのなら謝罪しよう」


「……ぁあもう!!いいから早く探して!!」


口が悪いのは私の昔からの癖だ。

そのせいでよく色々な人に勘違いされて……。

…………………………。

私の周りには、あいつらしかいなかった。

あいつらしか、私に寄ってこなかった。

でも、あいつらと一緒に居たから皆と出会うことが出来た。

……笑いあうことが出来た。

それで幸せだった。

心の底から馬鹿みたいに笑うことが出来る、皆といたあの時が幸せだった。

……だから、取り返す。

この世界を……。

例え、何億という人が死に絶えようとも。

私は、私が取り戻したいものの為に戦う。

それが、今の私が前へと進む理由。


「……見つかったよ。南西方面にマナを使用した領域が展開された跡がある」


「なら行きましょう。これ以上ドッペルゲンガーの好きにはさせない」


「了解した。では向かおうとしよう。準備はいいかい?()


「……もちろんよ。早く案内して、ガラハッド」


「……はぁ、まったく。我が主は少し前の会話も覚えていないときた」


「嫌みを言う時間がもったいないのよ。気付かれたら逃げられる。それと……嫌みを言うのならせめて顔くらい変えなさい。機械じみてて気持ち悪い」


「……そこも善処しましょう」


無表情のままの私の相棒は、そう言ってただ頷くだけだった。

他の子はまだ表情豊かなのに、どうしてこいつはこうなのか。

……はぁ。

こんなこと、考えている暇なんてないのに。


「ほら、行くわよ。何度もいうけど時間が惜しいわ」


呆れ、ため息をつく私を見てもガラハッドは顔色一つ変えずに私の前に出る。


「では、連れていくとしよう。君の元に」


「……えぇ、連れて行って頂戴」


少し不機嫌になりながらも、私は確実な一歩を踏み出していた。

これは略奪の為の戦いだ。

私のエゴの為だけに行われる殺戮だ。

沢山の人が死のうがそんなことはどうでもいい。

私は、私自身の為に世界を塗り替える。

この魔力溢れる世界に、暴虐の限りを尽くして見せる。

全てを取り戻すために。

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