第二章2 夜は更けて、そして……
キャラクター紹介
パティ
一言で言い表すのならば金髪ロングのじゃろり幼女。完全に作者の好みをぶち込んだキャラクターである。
活発で向こう見ずなところがあり、幾度となく危険行為を繰り返すが、それをサブスが舵をとって何とかしていた。
いずれまた、再会するその時まで、彼女のこうかいは続く……。
サブス
海賊とは名ばかりの非常にまじめな男性。
パティが団長ではあるのだが、現に指揮を執っているは彼。
その真面目かつ正確な指揮のおかげもあり、海賊としてのチームワーク力は一級品。
いずれまた、再会するその時まで、彼のこうかいは続く……。
たどり着いたノードラーでは遠目からみてわかってはいたものの、どの家にも灯りは灯っておらず、街はところどころ寂れていた。
それに、人の気配を何一つとして感じなかい。
……まるで忘れられた廃墟の様だった。
それにしても……。
「この状況は一体……」
「……私がフリーテに旅立つ時と雰囲気が全然違う……」
「……これは……」
ノードラーからフリーテへ船で来た2人でさえも、目の前の光景の事が読み込めていないようだ。
……いったい何があったんだろう。
それを知るのは、夜と呼ばれたドラゴンナイツ騎士団の隊長と……おそらくはノマスさんだけだろう。
だが、こんな状況であるのにもかかわらず、夜さんに至っては春香たちが帰ってきてよほど嬉しいのかニコニコしているし、ノマスさんもわずかながらフリーテにいた時よりも、笑顔なような気がした。
そんな違和感ばかりの2人の背中を追ってたどり着いたのは、ボロボロになった大きな建物。
詳しくそれがどういった建物なのかは暗くてよく分からなかったが、何かしら大掛かりな建物であるという事だけは理解することが出来た。
そんな外側ということもあって、中身もそれ相応に古びており、朽ち果てた机、椅子、本棚。
「……ま、くつろげないとは思うけど適当に座ってくれ」
へにゃりとした笑みを残し、夜さんは右側の奥にある古い扉の方へ姿を消した。
残されたのは、俺たち6人と、ノマスさん。
「……友恵、まずはキーをベッドへ運びなさい。あの部屋は無事だから」
「…………」
その言葉に友恵は返事を返さなかった。
いや、きっと誰もその言葉に返答できるはずがない。
だってこの様だ。
俺はこの街の過去を知る由もないが、少なくともこんな廃れ、風化してはいなかっただろう。
それが少し街から外に出て帰ってきてみればこの様。
それに、フリーテでノマスさんは俺たちに襲い掛かってきた。
……そして姿を消した。
一つ一つの言葉に疑いを持ってかからなければならない。
そんな俺たちの、警戒心、疑いの眼差しが伝わったのだろう。
「……さすがに、ここまで警戒されるとは……。確かに、これは苦労しますね」
苦笑いをしながらそう言って、地面に腰かけた。
「……警戒するなって言う方が無理よ。ノマスさん」
「それもそうですね。……少しは周囲が見えるようになりましたね、春香」
「……馬鹿にしないで」
春香は警戒心を隠すどころかむしろあらわにして、籠手を装備するとノマスさんに向かって戦闘態勢をとった。
「それをして、何になるんです?あなた達の利益につながりますか?」
「少なくとも、身の安全は保障できるわ」
「なるほど……。なら少し、本気で手合わせするといたしましょう」
その言葉が放たれた刹那、ノマスさんに周囲の魔力が一斉に集い、光となって具現化した。
それは流星の如く。
それは人生の如く。
それは時間の如く。
人では止めることのできない無数の塊となって、俺たちに向かって刹那の輝きとなって降り注ぐ。
「っ!退避——————!!!!」
一つ一つに大きな力を感じさせるそれは、予想以上に力をもって俺たちをねじ伏せようとしてきた。
まるで意思を持つかのように。
それを持ち前の瞬発力と、個性のギアを使いながら回避し動けないであろうリナをとっさに回収して、爆発と共に建物の外に飛び出す。
さっきの一撃で、先程まで建物として最低限機能していたドラゴンナイツ騎士団本部は、その半分以上を失うことになった。
そして、ノマスに一番近かった春香は、攻撃を避けきることが出来ず、身体ですべて受けとめてしまったようで、人としての形は残していたものの、もはや動き出すことはできないほどずさんにやられていた。
「威勢よく相手に挑むのも悪いことではありませんが……力量すら計れぬ兵は、何をしても無能で、すぐに命を落とします。敵を知り、状況を把握し、自軍を理解し、風を読み……初めて戦とはうまくいくのです。感情に任せてはいけませんよ?」
圧倒的な力量差。
それを見せられてからのノマスさんの言葉。
納得せざるを得ない実力に、誰も言葉が出てこない。
「……さて、これでも……春香のほかに、私に挑もうと考える愚か者はいますか?」
そんな力を見せてなお、ノマスさんは俺たちに向かって普段と変わらない笑顔を見せてくる。
それがあまりにも狂気じみていて、恐怖を感じずにはいられなかった。
「本当はこんなことにはならないはずなんですけどね……。まぁいいでしょう。見た目は派手ですけど、死ぬほどじゃありませんから」
「さてさて~、お茶をもってきたよ~……って、えぇ?」
そして全く収拾がついていない場に、のほほんとした雰囲気でお菓子とお茶をトレイで持ってきた夜さんが現場を見て困惑し、どういういきさつでこうなったのか説明する羽目になった。
それを聞いた夜さんは、「私と似てるなぁ、この馬鹿弟子は」と言いながら半壊した建物の中でも比較的使えそうな椅子を運び並べその上に寝かせると、何かを唱え春香の傷を一瞬で治すと持ってきたトレイを地面に置くと
「さて、それじゃぁ……少し話をしようかな」
まぁ座りなさい、と言われ持ってきたお茶とお菓子を一人リラックスしながら食べ、夜さんの言葉を聞いても相変わらず距離をとっている俺たちをみて大きくため息をつくと
「……ノマス。君は何をやっているんだ?」
ジトーとその視線をノマスさんに向けた。
「まぁまぁ、落ち着いてください、夜。ささ、ここは一服お茶でも飲んで」
「それもそうね。それじゃぁ一服……って!出来るわけないでしょ!!」
「ははは、相変わらずノリがいいですね」
「今このノリをする時じゃないですよね!!」
「……それもそうですね。私達には時間がない」
ノマスさんのまじめな言葉を聞いて、夜さんの顔が少し引き締まったように見えた。
そして、
「改めて、話を聞いてもらいたい。洋一君。特に君は、私たちの事情を知っておいてもらいたい」
いつものおっとりとした声ではなく、引き締まった声でノマスさんが俺たちに声をかけた。
そんなこんなで、少し距離を置いてだがノマスさんと夜さんの話を聞くことになった。
まずは俺たちがもっとも聞きたかった、ノマスさんがなぜ暴走したのかについて尋ねた。
そしてその問いにノマスさんはこう答えた。
分からない、と。
「……分からない?」
「あぁ、分からないんだ。それ以前に暴走していたという事実も私は先程知ったよ」
「……ん?」
どういうことだ?
なんか話がかみ合ってないんだが……。
「あの……今知ったってどういう……」
「ん?あぁ、そう言えば説明していなかったね。君たちの元にいたノマス、もとい私は泥をこねて作ったガラクタだ。故に私は君たちの知るノマスではないが、君たちが知るノマスだと認識してもらって構わない」
「えっと……!?」
何が一体どういうことなのかな?
まったくもって、何がどうなってその言葉が出て来たのかの理解が追いつかない。
「分かりやすく言いなさいよ。分身体だって」
「そうですね。そちらの方が理解しやすいかもしれませんね」
「……なるほど?」
「あ、駄目ですね。ひろ君頭回ってないです。それに……」
葵は視線を動かしながら
「リナちゃんが眠たそうです」
少し笑みをこぼしながら、葵に寄り掛かってきていたリナの身体を支えていた。
「……話はまた明日、ですね。今日は長旅でお疲れでしょうし、ゆっくりと休んでください。寝室はまだ残ってるはずですし、そちらへ案内しましょう。洋一君、春香を運んでください」
「は、はい」
そうして一度俺たちは話を打ち切り、ノマスさんに案内された部屋へと向かった。
少々狭いですがと言いながら部屋の扉を開けたノマスさん。
その言葉の通り部屋には小さなベッドが3つしかなく、とても全員がベッドの上で横になって眠るなんてことは出来なかった。
「では私はこれで。また明日顔を出します」
そう言って、ノマスさんは夜さんの方へと戻っていった。
とりあえず春香をベッドに寝かせ、リナも春香と同じベッドで寝かせる。
友恵もキーをベッドに寝かせると、限界が来ていたのかベッドに寄っかかってそのまま眠ってしまった。
……さて、最後のベッド、どうするか……。
「葵、寝ていいぞ」
「いや、ひろ君こそ休んでないでしょ?」
「それはお互い様だ。レディファーストってことでベッドで寝てくれ」
「……そう言うのなら……でも、疲れてるならちゃんと言ってね、時間で変わるから」
「おう、気遣いありがとな」
「……それじゃ、お休み」
「ん、お休み」
そう言って俺は皆とは少し離れたところで、座って目を瞑る。
久しぶりの大移動に体がかなり疲弊していたのか、すぐに睡魔が襲ってきた。
そうして俺はゆっくりと夢の中へと落ちていった。
風を感じた。
瞼をあげると、そこには洋一が持っていた武器から出ていた緑色の女が私の目の前に立って私を見下ろしていた。
その女性は私が目を覚ましたことに気が付くと、ゆっくりと扉の方へと移動し音も立てずに扉を開けると外に出ていった。
……どこへ行くつもりだろうか。
神器とやらなのなら、基本は主人と行動を共にするものなのではないだろうか?
……怪しい。
……後をつけるか。
少し警戒しながら、周りを起こさぬよう静かに扉を開け怪しい行動をとる緑色の女の後を追う。
その女は、浮いた体を少しずつ前進させながらドラゴンナイツ騎士団本部を抜け、ノードラーのかつての中心部、女神像のある噴水まで来ると足を止めた。
……誰かと待ち合わせか?
その時私の背後で足音が2つ聞こえた。
咄嗟に、ほぼ廃墟となった建物の中に飛び入り身を潜め、隙間からその様子をうかがう。
「や、待たせたね」
「いいえ、私も先程来たばかりです」
「……久しぶりだね、風華」
「……貴女もです。夜様。……………よく、ご無事で」
「前置きはいいわ。……これが最後の作戦会議……でしょ?仲間だもの、堅苦しいのはなしよ。そうは思わない?……友恵?」
…………っ!!!!
どうやらばれていたようだ。
気配は限りなく遮断していたと思うけど、それでも団長の目はごまかしきることが出来なかった。
このまま白を切るか?
……いや、無意味ね。
隠れていた場所から、静かに外に出る。
そこにいたのは、風華と呼ばれた神器の精霊、そして……。
見た事のない恰好で、とても美しい金色の羽衣のようなものに身を包んだ団長の姿がそこにはあった。
その見慣れない姿に、張り詰めていた感情が途切れる。
「……団長、その恰好は……?それに、その人?を知っているんですか?」
「この格好?ま、気になるわよね。でも気にしなくていいわ。そして、後の返答はイエスよ。だって……」
その時の、夜さんの顔は忘れられないほど眩しい笑顔だった。
「私は神器使いの人達と共に旅をした英雄の一人だからね」
衝撃的なセリフと共に世界が変化していく。
先程までの夜の寂れた街から一変し、目の前に広がるのは日の光が照らしだす小さな庭と教会。
「さて、何が起こっているのか分からなくていい。今それを知る必要はない。ただこれだけは知っておきなさい」
状況が全く持って読み込めていない私。
でもおそらくそれを承知のうえで、あの人は確かに私にこういった。
「あなたが今回の守護者の一人よ、友恵」
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復讐編がアンロックされました




