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STAR SKY GUARDIANS  作者: 花海
第二章 幽閉心壊都市パチェリシカ 前編~暗夜に煌く雷閃~
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第二章1 深淵に進む前に

おじいちゃんがこの前私に絵本を買ってきてくれたの!しかも、私が憧れているニッポンの!!

桃から生まれた男の子が悪者を倒すなんて素敵なお話ね!

いつか、ニッポンに行ってみたいわ。

……皆と一緒に。2012 4月28日 ■■■■■■

少しばかりの船旅を終えたどり着いたのは、静寂故に波の音が際立つ浜辺。

ストロフ大陸、ノードラー近辺南東、無人の砂浜。

周囲には人はおろか、生物の気配さえ感じられない。

何か勾配があるわけでもなく、砂浜を少し歩けばすぐに潮風に当たられて腐った木の柵と、ひび割れたレンガのようなもので作られた道のようなものがある。

日もまだ高い位置にある。

少なくとも、日が暮れるまでには街にたどり着きたい。


「ここで大丈夫かい?」


「なにからなにまで本当に助かります。サブスさん」


わざわざ俺たちの為に船どころか、浜辺に小舟まで出してもらって、服も濡れることなく浜辺へとたどり着くことが出来た。


「なに、気にすることはない。それに助けた相手を、何よりあの子に友達の様に接してくれた君たちを、悪く扱う気はない。安心したまえ」


その優しさと気前の良さ。

誰しもが持つことのできない輝き。

今はそんな心遣いが本当にありがたかった。

海賊だから長く滞在するわけにはいかない、すぐにここを発つよ。

俺たち全員を浜辺に下ろし終わった後、サブスさんはそう言い残して船へと戻っていった。

浜辺から船が遠ざかっていく。

パティが


「またなのじゃーーー!!」


と明るく大きな声を張り上げながら、その姿が見えなくなるまで手を振っていた。

そんな姿を見ていたら、きっとどこかでまた出会いそうな気がしてならなかった。


「それじゃ、早速で悪いけど急ぐわよ。キーちゃんは未だ目を覚まさない。キーを抱える友恵の体力も戦闘が続けばそう長くはもたない。2人の為にも最短ルートかつ安全な道を進むわ。ついてきて」


パティたちの姿が見えなくなってすぐに、春香は俺たち全員を急かすような物言いで先を行き始めた。

確かに春香の言葉は現状の理にかなっている。

このまま立ち止まっていても、何も良いことはない。

なら春香の意見をのんだ方がよさそうだ。


「速足でいくのはいいがペース配分は考えろよ?リナのことも、何より船旅後だってことを頭に入れとけよ。お前、結構周りが見えなくなりやすいんだから」


「……うっさい。とりあえず行くわよ」


少し不機嫌そうな物言いで、少し嫌そうな表所をこちらに向けた春香。

どうやら俺の発現が的を得ていたようだ。

……周りが見えなくなるのは、昔からの悪い癖だな、本当に。


「ひろ君、立ち止まっていたら置いていかれるよ」


「おう、すぐ行く」


先頭に春香、次に葵、リナ、友恵とキー、そして俺の順番で出来るだけ戦闘が起こらないように魔物を避け続け、ノードラーが視界に入るころには日はすっかり沈んでしまっていた。

ここから目的地にたどり着くだけでも、後30分ほどは時間を必要としそうだ。

それまでに魔物と接触がなければいいが……。

街の近くにまで来たということもあり、周囲には身を隠す場所もなく、レンガのようなもので敷き詰められた道が街のほうまで続いている。

だが、街の方には灯りがあまり灯されていない。

ノードラーでは夜に明かりをつけない風習でもあるのだろうか?

それとも、住民はもう寝てしまったのか?

……それにしては早すぎるような気がするが。

何か違和感のようなものを抱えながらも、春香の後をついていく。

その時、先頭を歩く春香の足が止まった。


「……皆、止まって」


春香の後ろを歩く葵から、静止するようにジェスチャーと小声で伝えられる。

身を隠せる場所もないため、出来るだけ姿勢を低くして、状況を確認する。

月光りに反射して夜道に浮かぶ多くのエメラルド。

細かく集まった塊がいくつもあることから、おそらくはスパイダーではないかと思うが、あんな目のスパイダーは見た事がない。

下手に戦いを挑めば、間違いなく全滅するだろう。

特に友恵とキー、そしてリナは、戦力として計算することはできない。

かと言って俺と葵と春香の3人で魔物にかかりきりになってしまうと、友恵たちを守れなくなってしまう。

だが、ここに立ち止まていてもいずれ何かしらの魔物に襲われてしまう。

大胆で、なおかつ誰も見つからない。

そんな作戦が求められる。

……何か気を引けそうな物でもあればどうにか対処できそうだが……。


「ファイアーボールで地面を燃やして、魔物の気を引くか?」


「それだと火が消えた時、見つかったら対処できない。それに、燃えそうなほど草もそんなに生えてない」


「……風魔法で……って、この面子誰も風魔法使えないのか」


「友恵は風魔法使えるけど、キーちゃん抱えてもらってるから頼るわけにはいかない」


「なら春香が代わりに抱えてやればいいじゃねぇか」


「……私がよくても、あの子が駄目なのよ」


……つまり、友恵の内心的な問題か。

そればかりは俺の魔法でも癒すことはできない。


「…………」


ここに来るまで友恵は全く喋っていない。

ずっとキーを抱えたまま、あの洞窟にいた時から言葉を発していない。

友恵にとってキーが何かしら大切な存在であるというのはわかる。

が、明らかに異常なほど固執しすぎなようにも見える。

……そこまで固執する理由はなんだ?

だが今はそんなこと聞く余裕もない。

というか、そもそも考えている暇がない。

まずはこの状況をどうにかして切り抜けないと。

だが動くに動けない。

……動けないのだ。

……ここにサーシャやジャルがいてくれれば、もしかしたら何か変わったかもしれないな。


「はて、誰かを呼んだことに代わりわないが、どうやら私ではなかったようだね」


知らない声がすぐ近くで聞こえた。

反射で刀を抜き、声のする方に向かって斬りかかる。

だがそれはいともたやすく防がれて、簡単にあしらわれた。


「誰だっ!」


突然の襲来に、空気が一気に張り詰める。

だというのに、俺たちの近くにいたその人たちはそうではなかった。


「わぉ、なんだい。聞いていた話と違うじゃないか。なぁノマス。彼が君の言っていたヒーロー君かい?」


「えぇ、イエ。彼がそうですよ。事実、フリーテでの活躍は素晴らしいものでしたから」


俺たちが緊張しきっているのをよそに、ラフな姿勢で話しかけてくる。

そして、そのうちの1人は、見た事がある人物だった。


「ノ、ノマス……さん?」


俺たちの目の前で突然暴走し、奇行へと走ったノマスさんがそこにいた。


「なぜこうなったのか、どうしてここにいるのか。その説明はまた後でしましょう。夜、彼らをお願いします」


「あぁ任されたとも。……道は任せたぞ、相棒」


「えぇ、任されましたとも」


短い言葉を夜と呼ばれた彼女に向けて残すと、ノマスさんの姿が一瞬にしてそこから消え去った。


「さて……もう少しスムーズに出会うと思ったのだが……さては、話していないな?春香、友恵」


「……団長…………」


「ああ、団長だとも。ドラゴンナイツ騎士団の、君たちのね」


そう言葉をかけるその人の表情は、辺りが暗くなり始めていたこともあって見えなかった。

そしてその人物の言葉は、心からまた再会できてよかったと安堵するようにも聞き取れた。

見た感じ背丈は小さい。

サーシャと同じくらいか……?


「そして君がヒロカズ……春香にとってのヒーローか。話は聞いているよ」


「っ!!ちょっと!団長!!」


「ん?あぁ、これは秘匿事項だったな。すまないすまない」


「~~~~~~~~~~っ!!!!」


……今隠密行動の真っ最中だったよな。

さっきまでの緊張どこに行ったし。


「ん?もうそんなに緊張しなくても大丈夫だよ。何せあのノマスだ。すぐに戻ってくるさ」


「そうですとも。それが従者としての務めですから」


…………えっ。

すぐに消えたと思ったノマスさんの姿が、短い会話を交わしたのちに、またすぐそこにあった。


「嘘……」


葵から信じられないものでも見たかのような声が漏れたので、葵が見ている方向を確認すると、先程までいたはずのスパイダーの大群が、嘘のように消え失せていた。


「さて、障害もなくなったことだし、ひとまず腰を下ろすためにも街へ行こうじゃないか。そうしよう、いやそうしてくれ。なにせ、外にはあまり顔を出さない方が良いからね」


「……はぁ…………」


外には顔を出したくない?何か目立ちたくないことでもあるのか?

いや、まぁ他にも突っ込みたいところは山ほどあるんだが、まずは何から突っ込めばいいのかが分からない。


「そう怪訝そうな顔をしなくとも、悪いようにはしないさ。私は君の味方だよ、ヒーロー」


「……味方と言われましても……」


今の状況が全く持って飲み込めない。

本当にこの人の言葉を信用していいのか?

本当にこの人についていっていいのか?

春香の危惧した可能性に、どうしても思考が偏ってしまう。

だが、なぜか、本当によくは分からないのだけれど……


”……大丈夫だよ”


信じてもいいような気がした。


「まぁまぁ、全員疲れただろう!ひとまずは本部へと戻ろうじゃないか!!話はそれからだね!!」


夜と呼ばれたその人はこの中で誰よりも元気な声を出すと、先導して先程ノマスさんが一瞬で片づけたスパイダーのいた方の道へと進みだした。


「……殿は務めましょう。洋一君、詳しい話はまた後程。まずは、キーを休ませてあげましょう。それに、あなた方全員も休息が必要です。ここまで、気を張りっぱなしだったでしょう?」


ノマスさんからの優しい言葉。

……久しぶりに、またゆっくり休んでもいいのだと、そう言われた気がした。


「では、お言葉に甘えさせてもらいます」


「そうするといいさ。さぁ行きましょう。長居していたらまた魔物に囲まれてしまいます」


ノマスさんに背中を押されて、俺たち全員は夜さんを筆頭に、暗く灯りのともっていない街の方へと向かった。

大変お待たせいたしました!!

現在(9月末現在)序章の書き直しを行っております!

しばらくしたら、タイトル事中身をもっと鮮明にしていこうと思っているので、よかったらまた読んでやってください!!

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