第一章49 金髪美少女って何ですか(嘲笑)
お待たせしました。ようやく少しの息抜き回。
こういった優しい世界の書き方を忘れてしまっているので少しずつ慣らしていきます
電撃のように流れた激痛で目を覚ます。
指一本動かせない中で、瞼を何とか開く。
見慣れない天井。ランプのようなもので照らされた少し暗い部屋。
これ以上の情報は分からない。
ただ言えることとして、俺は何とかあの場から生還することが出来たようだった。
……てっきり死んだものだと思っていたが、不思議な運があるものだ。
この豪運を、もっと周囲の大切な人たちにも配ってあげられたらいいのに……。
まぁいい。今は助かったことを喜ぶべきだ。
それで、ここはどこだ?葵や春香たちは近くにいるのか?
身体を動かそうにもところどころまだ痛みが残っておりろくに動かすことが出来ないから、周囲の状況を把握することができない。
風華や水連を呼び出そうにも、魔力がすっからかんで呼び出すことすらできない。
……変な奴にここまで運ばれていないことをただただ願うだけだ。
そんなネガティブな考えが頭をよぎった時、コツコツコツと軽やかなリズムの足音がこちらの方へ近づいてきた。
「ふんふふっふふーん、そろそろ目が覚めたかの~?」
そう言ってひょっこりと俺の視界に入ったのは、部屋の暗さで顔こそはっきりとは見えなかったが、何かしらの帽子をかぶった子どもの様だった。
「おっ、目が覚めたの。おはようなのじゃ!声は出せるか?」
「……なんとか……」
「……ほぉ!体中傷だらけ、皮膚は火傷を負っていたというのに、声帯が無事とは大した運を持っておるの!!お前凄い奴じゃな!!」
まるで子どもがはしゃいでいる時のような声で、本当に今まで見た事がないものを見ているかのように俺に興味を示した。
……話し方からしても、ひとまず悪い人間に捕まったというわけではないらしい。
「ここは……?」
「ん?ここか?ここはチャペル海の名もなき孤島じゃぞ?」
……聞いたこともない場所だ。
それに……孤島?
なら、何かしらの方法でフリーテは抜け出せたのか。
だとしたら……最悪また全員が離れ離れに……。
「……あぁ、お主の連れがいるかって事か?安心してよいぞ!別室できちんと治療して今は生活できるくらいには回復しておる。お主だけ怪我があまりにもひどかったのでな、魔力が特別濃いこの場所で治療を進めておったというわけじゃ。儂に感謝するがよいぞ!!」
「は、はぁ……」
「それでどうじゃ?そろそろ体は動かせそうか?ある程度傷は治ってきたと思うんじゃが……」
「いや、まだ痛みが……」
「外見が綺麗じゃし大丈夫じゃよな!?」
「ん!?」
あれ!?もしかしてこの子話が通じないタイプ!?
頭がそうだと理解しきる前に、その子にヒョイッと体を軽々と持ち上げられ明るい方へと俺を連れだしていく。
何とかしようと抵抗したが、そもそもまだ体が痛いのでロクな抵抗もできずそのままなすがままにされた。
パッと視界が明るくなる、それと共に海独特の塩の匂いが鼻をつく。
目の前に広がるのは白い砂浜とどこまでも続く青い海、青い空。
かつて四島を離れる時に見た時のような清々しい景色。
「皆の者ー!!ようやく最後の一人が目を覚ましたぞ!!」
少女が大きな声を張り上げると、ちらほらと男性たちと葵、春香、リナの姿が俺の視界に入ってきた。
そして俺の姿を見てなのか、葵たちはすぐに俺の方に走り寄ってきた。
「もう怪我は大丈夫なの?」
「流石寝坊助、寝るときはとことん寝るわね」
「節々痛いけど、回復すりゃぁ何とかなる。それと春香、お前人の事言えないだろ」
「昔の私とは違いますぅー」
「あれ?でも今日寝坊してたようn」
「葵ちゃんは少し黙ってて!!」
この時代に来る前にいつも見ていた俺たちの家で行われていたようなやり取り。それを見てようやく、安堵感が沸き上がってきて力が抜けた。
この様子なら、おそらく全員無事に脱出できたんだろう。
全員で生きて出れれば奇跡に等しいと風華や水連に言われた場所、都市フリーテ。
その最後はあまりにも想像を絶するものだった。
召喚士殺しに始まり、闘技場、ルークさんとの対峙、ノマスさんの裏切り、そして謎の魔物との遭遇。
今まで体験したことがない短時間での衝撃な出来事の数々。
もう二度とこんな事態に巻き込まれるのはごめんだ。
……だから、俺は軍に席を置くとき回復に徹したんだけどな。
これもきっと運命ってやつだろう。
どうやら俺は中々いろいろな意味で豪運の持ち主らしい。
これが、今後未来へ戻る手がかりを見つける障害にならなければよいことを祈りながら、今はただただ目の前にあるかつての日常に近い光景に笑わずにはいられなかった。
その後、葵に簡単に治療してもらってある程度動き回れるようになってからこの島にいるのが俺を除いて、葵、春香、リナ、友恵、キーの5人だけだと知った。
ジャルは?と聞いたが葵たちや、俺の事を運んできた少女も俺たち以外知らないらしく、ただただ無事に脱出できたことだけを願う形になった。
だが、きっとあいつなら大丈夫だろう。
「そんでもって……君の名前は?」
「ん?ワシか?」
軽々しく持ち上げられて運ばれた身としては、一体どんな怪力を持つ子どもだろうかと想像していたが、見た目は思っていたよりも華奢で、頭にはくたびれた黒い海賊帽、身丈に合わないぶかぶかの黒いコート、そして極めつけに人の目を引くほどに長い金の髪と輝くような金の瞳。
どこかのお姫様じゃないかと疑うほどに顔も整っている。
この子はいったい何者なんだ?
「ワシは海の超絶美少女海賊!!パティちゃんじゃ!」
「…………はぁ……」
駄目だ、この子のテンションにはついて行けそうにない。
そう思った洋一だった。




