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STAR SKY GUARDIANS  作者: 花海
第一章 残酷な世界 その世界へ一歩を踏み出して
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第一章40 フリーテ編 2人の思い出

情けない姿をさらしてしまった。まさかあんな形で気を失うことになるなんて……。

背が低いことがこんな結末を導いてしまうとは思っていなかった。反省しないと。


「お姉ちゃん…大丈夫?」


「サーシャさん大丈夫ですか?」


「……えぇ、大丈夫」


いつのまにベッドの上に運ばれていた。おそらく気を失った私をこいつが運んできてんだろう。なんでこうつんけんしている私にここまで優しくできるのか、この男は大概不思議なものだ。

……それにしても、どうしてリナちゃんまでこの部屋にいるんだろう?


「だらっしゃああああああ!!!」


「あああああああああああああああ!!!」


「……………………」


……なるほどね。声で大体察しはついた。洋一あたりがリナちゃんの目に毒だからとか適当な理由を付けてこっちに避難させたんでしょう。というよりも、あの子はいったい何をしでかしたのやら……。


「とりあえず静かになるのを待ちましょうか」


面倒ごとに巻き込まれるのだけは避けたいからね。

身体をベッドからお越しリナちゃんと話したり、ジャルにお礼を言いながら部屋が静かになるのを待った。

そして部屋が静かになったタイミングで部屋の外に出て食堂広場に行くと、基地の扉が地面に倒れていた。……なぜ誰も扉を直そうとしてないのかは不思議だけれども、それよりも……。

先程まで私たちが食事をしていたテーブルで、洋一、葵、春香、友恵、キーちゃんの5人で何かを話していた。


「何を話しているの?」


声をかけると5人ともすぐにこちらへと視線を移した。


「おっ、無事目覚めたみたいだな。どうだ、体調とかは悪くないか?」


声をかけてすぐに洋一は私の体調の心配をしてくれた。

人にやさしいということはとてもいいことだけれども、あまり優しすぎるというのもいけない。それはそれで、いつか必ず洋一には克服してもらわなければならない。

特に問題はないと返事をしながら、そのテーブルにいるメンツの顔を改めて見渡す。

洋一以外の誰もが、私を見てなぜかにやにやとしていた。

……いったい何なんだ。何かそんな変なことでもしただろうか?


「……な、なに?なんでそんな変なまなざしを私に向けるの?」


「イヤーベツニナンデモナイデスヨー」


「ソウデスヨーサーシャさん。ナンニモヤマシイコトナンテナイデスヨー」


……そんな棒読みの言葉のどこに信頼を置けばいいのだろうか。

怪しい……。何かしようとしてる?はたまた何か隠してる?


「ねーねー!サーシャおねえちゃん!!」


そうやって怪しい行動をとっている面子に睨みを利かしていると、純粋な眼差しのキーちゃんが近寄ってきて、純粋無垢な声を発しながら私の手を取った。

……可愛い。


「一緒におかいものいこーよー!」


そんなキーちゃんの無邪気な笑顔とその可愛らしい姿に、私は良いように流されて……



気が付けばフリーテの市に荷物持ちと置き去りにされていた。


「……」


「……あの……サーシャさん?」


「どうして!こうなるのよーーーー!!!!」


普通知り合いとはぐれた場合、相手の魔力の色を覚えておけば、探し出して合流することが出来る。

……出来るんだけど、私には魔力が微塵もないからそうして探すことが出来ない。

荷物持ちにそれを頼んでもいいんだろうけど、それはそれで何か負けた気がして、それを私のプライドが許さなかった。


「……どうしましょうか?」


私のイライラしている様子を見てか、オズオズと私の表情を窺うように尋ねてくる荷物持ち。


「どうしようもこうしようもないわ!あいつらを探すわよ!!」


かくして私たち2人はこの街のどこかにいるであろう洋一たちを探し始めたのだった。

だが2、3時間探し回った結果、なぜかその姿を確認することはできなかった。

最後に絶対いるであろうと訪れたドラゴンナイツ騎士団にはやはりその姿はなく、あったものと言えばおそらく洋一たちが残したであろうメモだけだった。

しかもそこには………


”2人でデート楽しんできてね~”


とフワッフワの文字で書かれており、メモのそばには洋一たちが稼いだであろうお金がいくばくか入っていた。

……なによそれ……。

結果だけを言えば、この数時間は無駄な時間を過ごしてしまった。

それなら……もっと別の事をすればよかった……って、違う!そうじゃない!

何でこんな変なことを考えているのかが、今の私にはさっぱりわからない。

人と群れて生活することは嫌いだったはずなのに……。

それなのに……今は少しだけ……ほんの少しだけ、……楽しいと感じてしまう。

この気持ちがいったいどこから来るのか、私にはそれが理解できないでいる。

これが、私が知らなかったものだろうか。

……私がなくしてしまったものなのだろうか。


「……あの……サーシャさん……もし……良かったらですけど……」


「……なに?」


「……行きたい場所があるのでついてきてくれませんか?……僕一人だと、あそこに行く勇気がないので……」


いつもなら「勝手に一人でいけばいいじゃない」と冷たく突っぱねていただろう。私には関係ない、その一点張り。それが当たり前だった。どんなにまってと叫んでも、私の元には誰も残ってくれなかった。

だから私から拒絶した。群れるという人の本質を否定した。だからこそ今の私だ。誰よりも人に接しているのに、その誰よりも遠い位置にいる。そんな私に歩み寄ってくれた数少ない人たち。

……たまにはその話を聞いてみるというのもいいのではないか。

ふとそんな気になった。


「いいわよ。どうせ、あいつら出てこないんだし、この際適当にぶらつきましょう」


その私の返事が予想外だったのか、荷物持ちのジャルは目を丸くして私の事を見ていた。


「……なによ」


「え……いや、まさか来てくれるとは思ってなくて……」


私ってもしかしてもしかしなくても自分で思ってるよりも信頼されてない?

そんな現実に少し腹を立て、ジャルにとりあえず蹴りを一回入れてすっきりしてから、蹴られた場所をおさえるジャルを無理やり引っ張り、行きたがっていた場所へ案内をさせた。



「ちょっと!いい雰囲気じゃない!?」


「いけ!押し倒せ!」


「……よく、そんな…………熱中できるな」


「「「するでしょ!?」」」


「です!」


「すみません……私、何が起きてるのかわからないです」


少し遠く離れた場所から静観(?)する俺たち、もとい女性陣はジャルとサーシャのなんかこうまどろっこしいこの状況を見て楽しんでいた。いや、女性陣の中で一人だけ楽しめてない人もいたな……。


「リナちゃんごめんね。急に巻き込んで」


ジャルにサーシャと共に連れて行ってもらっていたこともあって、初めは状況を理解できていなかったリナちゃん。移動しながら話をして状況を理解してもらい、何とか今に至っている。


「いえ、こんなに楽しいのは久しぶりなので……」


首を横に振りながらそう答えたリナちゃんの瞳には、なぜか陰りがあった。

特に、ジャルとサーシャを眺めている時の、何か大切なものを見守るようなその目は、過去の自分達を連想させた。


「……きつかったら言ってね?」


「……はい。その時は」


「ちょっと!置いてくよひろ!!」


「急いでひろ君!サーシャさんたち見失っちゃう!!」


「さっさと後を追うわよ!!」


「追う!」


………………。

少しは空気というものを読んでもらいたいものだ。


「行こうか」


「はい」


サーシャとジャルの2人を追いかけ先を行く4人を、見失わないように急かされるまま合流し、サーシャとジャルの静観を続けた。



ジャルに案内されてたどり着いた場所。

そこはフリーテを出て少し進んだところにある少し大きめの花畑だった。

と言っても、大きくても膝くらいのものしかない、本当に小さな花。

白、ピンク、赤、青。目立つのはこの4種類の色。

そのうち赤と白の花を3本ずつ摘むと、花畑のさらに奥へと歩みを進めた。

花畑をさらに進んだ奥の方には、黒く燃え尽きたような何かの木と、焦げてしまったがためかその周囲には何もなく、ただ木の下に何かしらが建てられていた。

あれは……お墓だろうか。

そして燃え尽きた木の前には、どこかで見た事のある人物が立っていた。

その人物に、ジャルは歩みを止めることなく近づいていく。


「なぜ来たのだ……」


背中が語る。浮かび上がるのは炎帝の証。共鳴するようにジャルの背中にも表れ、目の色が変わる。


「……我が生涯の中での唯一の汚点。最愛の妻を殺した……憎むべき息子よ」


言葉と共に向けられた殺意と古傷の入った槍。そこから発せられる憎しみ、怒り、悲しみ。

一つ一つが重く、のしかかる。


「…………」


矛先を向けられたジャル。それでも彼は動じなかった。いや、私から見れば足は少し震えていたし、肩も強張っていた。

でも、逃げなかった。ただまっすぐ、自分の父親を見つめて。


「……変わろうと思ったんです」


震える声で、今まで聞いた中で一番決意ある声をまっすぐにぶつける。


「何も変わってはいない。お前が人を殺したという事実、それから逃げたという事。……何も変わってはいない。変わる?闘技場で醜態をさらした、お前のどの口でそれを言うか」


だがその声は届かない。淡々と述べられる事実が、ジャルの胸に突き刺さる。


「ロクな訓練もせず、戦いから逃げて、逃げて、逃げて……今まで生き残った。……生き残ってしまった。お前が前に出れば生きていた者もいるかもしれない。家族に会えた者もいたかもしれない。お前はその可能性を全てつぶしてここにいる。……生きていて申し訳ないとは思わないのか?こんな未熟で、何の役にも立たない、そんな人間が生きていて申し訳ないとは思わないのか?」


……違う。これは何か違う。説教でも何でもない。こんなの……こんなのは……。


「……八つ当たりじゃない」


口を出すまいとは思っていたけれど、こうもジャルについて好き勝手言ってくれるのだけは気にくわない。

確かに、男としてかっこいい行動をしているのかと言われれば違う、敵に立ち向かおうとしているかと言われれば違う。

情けない行動をとっているのは確か。

それでも……。


「……生きたいって思うことの何が悪いのよ!」


どんな人でも必ず持っているだろう生きたいという願い。それを否定することは間違ってる。

間違っているからこそ言わなければならない。


「息子に死ねって言ってるあんたの方がよっぽどの悪よ!!」


相手がどんな人なのか、そんなことは構わない。

ただそこに間違いがあるのなら、その言葉が、選択が間違っているのなら。

……後悔しているからこそ言わないといけない。

選択を誤ってはいけないって。

それではTwitterでも言ってましたようにこの物語の読解のヒントを。

皆さんはこの物語のあらすじに違和感をもったことはありませんか?

よくよく見てください。英雄の話なんてどこに書いてます?

”者”はいても英雄なんていませんよ?

じゃぁこのあらすじは何のためのものなのか。

それを考えるのもまた一興というものです。

まぁそれに第一話のあとがきで言っているように……

この世界は不完全で歪んでいます。

そこを頭において考えてみてください!

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