第一章20 貴族都市フリーテ
お待たせしました!!
久しぶりに運動したせいで全身が悲鳴を上げてて執筆どころじゃなかった……許してクレメンス
魔女の集落を出て道なりに進み森を出た頃には日が暮れていた。森を抜けたので魔物に襲われる心配も少ないということから、森のすぐ近くでテントを張ることになった。こんな時代にもテントはあるようで、薄い布を伸ばして木々で支えるものだったが、ないよりかはましだった。そんなテントを張ってからすぐ近くで火をおこし軽く腹ごしらえをしてから、見張りを交代制で決めると明日も速いということで皆すぐに寝てしまった。というわけで、早速見張りになった俺は火を見つめながらぼーっと過ごしていた。そしてしばらくして……交代の時間が来た。
「お疲れ様、外の様子はどうだ?」
テントから出てきたのは銀髪が特徴的な少年、銀狼。
「とくには何も」
「そうか、そりゃよかった」
そう言って銀狼は火の前に座る俺の横に腰を下ろした。
俺も休憩しようと腰を浮かした時、ふと思い出したことがあった。
それは初めて銀狼と出会った時の事。
”そこでみてろ!!敵の動き、俺の動き、その全て!!いいか!!一度で全部叩き込め!!”
……あの時の言葉、いったいどういう意味で言ったのだろうか。
「…なぁ銀狼」
「ん?どうした?」
「初めて出会った時、銀狼の動きを叩き込めって言ってたけど……あれはどういう意味で言ったんだ?」
出会ってすぐに普通はそんな言葉はかけない。何か意図があるとしか考えられなかった。
だが、銀狼は俺の予想していた答えとは違うものを返してきた。
「なら逆に聞こうか、何故そう言ったと思う?」
「いや、だからその理由を……」
「答えを先に聞いても面白くは無いだろ?まずは自分で考えてみな」
銀狼はそう言うと、俺に早く寝るようにと促した。どうやらこれ以上話す気はないらしい。さっさと休憩しなと、おれをテントの方へと追いやった。そこまで話したくないのだろうか?それとも話せない理由があるのか?
………考えれば考えるほど謎だった。だからこそ知りたい。なぜそう言ったのかを。その言葉について状況などを考慮しながら横になって考えた。が、横になったことで襲い来る睡魔には勝つことが出来ず、俺はそのまま夢の中へと落ちていった。
もう寝ただろうか。
銀狼は全員の寝息が聞こえてきたのを確認してから、ポケットからあるものを取り出した。
「こちら銀狼。……今どこにいる?俺は転移に失敗して魔女の森だ」
ポケットから取り出したものに、テントにいる皆を起こさないように小声で話しかける。
するとそれからすぐに返事は返ってきた。
『連絡が遅いですよ!!失敗したんじゃないかって考えたくらいなんですから!!』
『そうですよ!!少しは反省してください!!先輩!!』
「わりぃわりぃ。連絡できそうな環境じゃなかったんだ」
それから聞こえてくるのは騒がしい声。聞きなれた人たちの声。
「そんで、今どこにいるんだ?」
『今ですか?フリーテって所です』
「なら都合がいい。数日したらそこにたどり着く。確か中心に噴水があっただろ?そこで合流しよう。街に入ったら伝える。それまでは適当に過ごしておいてくれ」
『了解です。師匠は今からどうするんですか?』
「……そうだな…」
その言葉を聞いて、一度テントの方を見る。
「ちょっとした観察、かな?」
銀狼はそう答えた。
俺が寝た後、交代の時間になっても俺たちが気持ちよさそうに寝てるからという理由で銀狼はずっと見張りを行っていてくれたらしく、さらに起きた時には朝食の準備までしてくれていた。誰もが無理してるのではないかと銀狼の体調を気にしたが本人曰く「いつも徹夜で仕事してるから大丈夫」とのことだった。それはそれでその環境にも問題があるような気がするけれど……ときっと誰もが思ったが、誰も口にはしなかった。
この前の戦いの事で銀狼に気を使われているということは明確な事実だ。きっと俺たちの為に無茶をしてしまっているのだろう。誰にでも休息というものは必要だ。彼にも少しは休んでもらわなければならない。そう何度も言ったのだが、銀狼は笑顔で大丈夫だと言って見せた。結局この後も俺たちは銀狼に頼りっきりになってしまった。夜の見張りから魔物の索敵、料理の準備やらなんやらと気が付けばほとんどの事をサポートしてくれていた。結果だけ言えば、それをフリーテの近くに来るまでずっと行ってくれた。
もう誰もが頭が上がらなかった。だがかなり無茶していたのが響いたのか、銀狼は街の中に入った途端その場で寝てしまった。
なんというか、色々と規格外過ぎて驚きが隠せなかった。そんな銀狼を背負いながら先程入ったフリーテを見渡した。この時代に入ってから初めて感じる活気、溢れる笑顔と笑い声。そのどれもが幸せを放っており、街を包み込んでいた。
「ここがフリーテって街なのか…。すごいな…」
街に入る前からも外壁は見えており、そこからかなりの大きさであることは大体予想ができていたが、中に入ってから、改めてその大きさと人口の多さに驚かされた。大通りは馬車が数台走っても平気なくらい広く、レンガのようなものできちんと整備されていた。さらに奥の方には大きな船も見えており、貿易や外交を行っていることも目に見えてわかった。それほどまでに大きく栄えている街なのだとすぐに理解できた。
「流石島一番の都市と言われるだけはあるね。こっちの方には初めて来たけど、凄い大きい」
葵もこちらには初めて来たようで、街の中に入ってからはずっと感嘆の声を漏らしていた。
「まぁそうよね。普通に驚くわよね。私も来たとき開いた口がふさがらなかったもの」
春香も葵の言葉にうんうんとうなずきながら、周囲を見渡していた。…そう言えば、春香はこの場所に付いた途端突然森に飛ばされたって言ってたな。ということは、春香もこの街についてはあまり知らないということなのだろう。なら、知っていそうなのは俺の背中で寝ている銀狼と、サーシャとジャルくらいだろう。
……と期待したいのだが……横目で2人の事を見ると、明らかに目を輝かせているというか、あ、これ絶対知らないやつだよなって思っちゃうっていうか……。
どうすりゃいいんだか……わからんなぁ。
まっすぐ進んで中央の噴水の所で途方に暮れながら、まぁ何とかなるかと思いながら、とりあえずは宿を探すことに決めた。そこからが問題だった。
街の広さをなめていたこともあり、まずこの場所がどこだかわからないということが何度も起こった。地図も売ってあったみたいなので、何とかやりくりして購入し広げてみたが、現在地がどこなのかわからないのでまず使えない。しかも読めない。うん、なんて書いてあるのかさっぱり分からん!!
「だああああああああ!!どうすりゃいいんだーーーーーーーー!!!!」
頭を抱えて空に叫んだが、帰ってくるのは周囲の痛々しい視線のみ。
あ、生きるの辛……そんなことを考えていた時だった。
「……ジャル…お坊ちゃま?」
メイドの格好をした女性がそう言いながらこちらにやってきた。




