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STAR SKY GUARDIANS  作者: 花海
第一章 残酷な世界 その世界へ一歩を踏み出して
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第一章17 銀狼

実際のところ、本編とプロトタイプどちらの方が面白いんでしょうかね?


今でも覚えているのは当時の恐怖の記憶。

圧倒的パワー、固すぎる装甲、隙の無い動き。

人間が相手にするのは早すぎると当時でさえ思った。

だが、目の前にいる奴は今まで感じていた強さという概念をぶち壊した。

感じるのは恐怖、圧倒的な力の差。

なぜ姿を視認するまでにその存在に気が付けなかったのかと考えるほどその力は異様だった。

思考が停止する。体は本能的に危険を知らせてはいる。だが思うように動かない。

それは動きを止めた葵や春香も同じようだった。

そんな俺たちを、目の前にいるグレゴリアスのような魔物は見下ろしていた。

まるで、小さなアリを見下ろしているかのようなその目からは生気は何も感じられなかった。

そして………その拳は動かない俺たちに、振り下ろされた。

その一瞬で3人が死んだと思った。だがその拳は俺たちに落ちてくることはなかった。

代わりに聞こえてきたのは、甲高い金属音。固いもの同士がぶつかった時に出る嫌な音。

いつの間にその人物はそこにいたのだろうか。

そこには霧の中ででも反射するほどに綺麗な銀の長髪を持つ、獣耳をの少年が俺たちの目の前で、その拳を受け止めていた。


「何ボケッとしてんだ!!とっとと後ろに下がれ!!」


その拳を受け止めた銀髪の少年は、こちらを振り返ることなく俺たちに怒鳴るようにそう言い放った。

だがその言葉にはどこにも棘がなく、怒鳴ったというよりかはむしろ背中を押されたというような感じだった。そのおかげもあってか、ゆっくり先程まで動かなかった身体は、いうことを聞くようになっていた。

すぐさま距離を取り、敵の様子、そして出方をうかがう。

この行動が正しいものなのかは今はさておき、これからどう行動するべきか考えなくてはならない。

だが考えすぎてもいけない。体は常に動かし続けなければならない。だがそれよりもだ。


「あんたは逃げなくていいのか!?」


俺たちに来るはずだった攻撃を受けてめてくれた少年に声をかける。

俺たちを逃がすために無理に飛び出してきたのだとしたらとても危険だ。あの人もどうにかして逃がさなくてはならない。

だが俺の言葉への返事は、想像していたものと違った。


「そこでみてろ!!敵の動き、俺の動き、その全て!!いいか!!一度で全部叩き込め!!」


突然現れて何を言うのかと思えば、かなり突飛すぎる発言。

俺の動きを見て覚えろ?今そんなことしてる場合じゃないだろ!!

だが俺が次に何かを言う前に、少年は動いていた。

少年の手に握られた銀色に輝く見たこともないその剣は、流星のように光を残しながらまだ薄く霧の残るこの集落を駆けていく。

その姿を言葉で表すのなら一閃、まさに一筋の光だった。

その場にいた誰もが、その人物を追うことはできなかった。追うことができたのは彼の光のみ。だが、それでも彼がどのように動いたのか明白にわかった。

まずは、受け止めていた敵の攻撃を上にはじき返し、瞬時に距離を取った。その後雷鳴のように動きながら魔物に接近し、敵の右側に潜り込むと地面を蹴り上げてその右腕を斬りおとした。


「------------------ッッッ!!!!!???」


地面が揺れたと勘違いするほど大きな声で魔物が吠える。

間違いなくあの魔物は強敵だ。そのはずなのだ。

だが、それを上回る人物が目の前にいる。

あの最恐の魔物グレゴリアスであろう魔物を、あそこまで圧倒する人が目の前にいる。

その状況に誰もが困惑し、そして見入っていた。突然現れた謎の少年は、ものの数秒でそこにいた全員の視線を見事集めて見せた。それは敵味方関係なかった。


「面白そうなやつがいるじゃねえか!!」


少年の上に俺たちが先ほど逃げてきた敵が現れ、少年の頭上からナイフを投げた。魔物との戦いだけに集中しているかと思いきや、彼は魔物の方を見ながらそのナイフには一瞥もくれずに叩き落とした。まるで初めからその場所に飛んでくると知っていたかのような動きに、俺たちは、特にナイフを投げた本人は驚きを隠せないでいた。


「……まだまだ詰めが甘いな。そんなことで暗殺者を名乗っているのか?」


少年は、強襲してきた敵に向かって兄のように振舞いながら、話しかけた。

その言葉に敵も変な反応をしたが、その手に握られた剣を見て敵の顔色が変わった。


「……嘘だ……あんたは……あんたは10年前に殺したはずだ!!」


明らかに敵は困惑していた。言葉通りの意味ならおそらく一度は殺した人なのかもしれない。そんな人が10年ぶりに生きて目の前に現れたら、どんな人でも困惑するだろう。

そんな中、少年は魔物の方を警戒しながら優しい目つきで、敵を見ていた。


「……その記憶は本当に正しいものなのか、はたまた偽りなのか、それとも10年前そのものがすべて偽りだったのか……教えてやってもいいが、あいにくあまり干渉し過ぎるとゆがみが発生するんでな。お前に教えてやれることは何もない、かい


「俺をその名前で呼ぶなああああああ!!!!」


地震の名前を呼ばれたことが不快だったのか敵は一気に距離を詰、ナイフを拾い上げると少年の喉元にそのナイフを突き出した。


「興奮しているときにこそ周囲が見えなくなる。そう教わったじゃないか」


少年はたやすくその攻撃をはじき落とし、敵を一度斬りつけると、すぐさま魔物の方に振り返り、すぐにもう片方の腕、さらには両足を一瞬のうちに斬りおとした。

そしてそのまま動けなくなった魔物の心臓を、核をその手にしていた剣で貫いた。

魔物は声を上げることなく、そのまま消滅した。

後に残ったのは静寂。

それもただ静かなだけの静寂ではない。

緊張に包まれた静寂である。

そんな中ただ一人、少年だけが動いていた。

少年は快と呼んでいた敵へ近づいていくと、その剣を敵の喉元へ向けた。

快と呼ばれた敵の目は、睨むように少年を見上げていた。


「あんたが継いだんだな……その剣…」


「ああ、人殺しの道具としてな」


そうして少年はその剣を突き出した。

敵の喉元にではなく、敵の背後に、正確に言えば敵の影の方に突き出した。

その攻撃を敵は避けた。いや、違う。避けたのは影だ。人と同じ動きしかしないはずの影がその攻撃を避けたのだ。

敵は直ぐに本当の姿を現した。先程まで人の姿を形成していたものは黒く染まり、影として地面に溶け込んだ。そして影だったものは、人の姿を現した。

いや、正しくは人ではなかった。耳は獣の、特に犬のような形で頭の上にあり、人にはついていないはずの尻尾がついていた。


「その方がやっぱりお前らしいよ」


その言葉を聞いた敵は、銀髪少年のことをきっと睨みながら


「………次は……あんたを殺す」


そう言い残して姿を消した。

改めて静寂。今度はピリピリとした物はなく、穏やかな静寂が訪れた。

そんな静寂を初めにぶち壊したのは、静寂を作り出した少年自身だった。


「いやー、先にこれ言うの忘れてたわ、怪我とかない?」


背中に剣をしまいながら俺たちの方を見て笑いかけるその少年。

何もかもが俺たちと違い、全てを手に入れてしまったのではないかと思ってしまった。


「おっと、自己紹介がまだやったな。俺は銀狼ぎんろう。よろしく!」


先程の戦い方からは考えられないような満面の笑みで少年は俺たちに手を差し出した。

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