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STAR SKY GUARDIANS  作者: 花海
第一章 残酷な世界 その世界へ一歩を踏み出して
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第一章15 一時撤退 (改行済み)

時間が欲しい!!


簡単な指示だけで動き出した春香は、俺と同時に地面を蹴ったはずなのに、俺よりも少しだけ早くてきにその拳をぶつけていた。


「……っ!!ガキばっか増えやがって……」


敵もこの状況と人数が苦しくなってきたようで、俺が振り下ろした刀をナイフで防ぎながらそうボヤいた。

おせる!!このまま行けば間違いなくおせる!!

先程まで見えていなかった勝利への活路が、少しだけ開き始めたように感じた。

そして実際この状況をおしているのは俺たちだ。

このまま順調にいけば、勝つこともできるだろう。

だが決して油断はしない。

一瞬の隙が反撃の機会を与えてしまう。

まだ敵が突然サーシャの背後に回った原因が解明出来ていない以上、注意は必要だ。


「ひろ!追撃お願い!!」


敵の攻撃を返し、更には相手の体制を崩す一手を加えていた春香。

こいついつの間にここまで強くなったんだよ、と思いながらもその掛け声に続くように、春香とポジションを入れ替るような形で、敵に向かって抜刀術を放つ。


「頭義流抜刀術!奥義!剛破斬!!」


納刀した状態で一度相手を殴り、敵に鞘を押し付けながら抜刀、そして一回転して抜刀した刀で相手を斬りつける技。

春香との攻撃も相まって、2撃目の太刀で敵の体勢が崩れた。


「サーシャ!!」


作り出したチャンス。

ものにするのなら今しかない。

今しかないんだ。

あいつならきっと攻撃してくれると信じて、サーシャの名前を呼んだ。

だが、サーシャの攻撃は繰り出されることはなかった。

代わりに聞こえてきたのは……葵の悲鳴だった。


「サーシャさん!!」


すぐに春香と背後を振り返る。

そこでは、先程まで対峙していた敵がサーシャの腹に手にもったナイフを突き刺していた。

サーシャの背後にはジャル。

おそらくかばったのだろう。

だが、あの一瞬で目も離していないのに、どうやってこいつは動いたんだ!?


「…全員動くなよ?俺はただそこの貴族のお坊ちゃんを殺せればいいだけなんだ。それ以外は何もする気はない。それがオーダーだからな」


何が起こったのか訳も分からない俺たちを置いて、敵はサーシャの腹に突き刺さったナイフを握ったまま俺たちに不敵な笑みを浮かべながら脅してきた。

どうせ全員殺す気ではあるんだろう。

だが、この状況、下手に動けばサーシャが死んでしまう。

先ほど乱入してきた春香や、敵の近くにいる葵は顔が強張ってしまっている。

おそらく今とっさに動けるのは俺だけだ。

形勢逆転かと思いきや一気に元に戻されてしまったどころか、さらに悪化してしまった状況。打破できるのは俺と……。

目の前でサーシャにかばわれて放心状態のジャル。

いまだに脳内で今何が起こっているのかの処理が追いついていないんだろう。

誰でもよくなることだ。

でも今狙われているのはジャルだ。

あいつには何としてでも動いてもらわないといけない。

気を引けと葵は言った。

策は知らないが、この状況からでも必ず打破できるはずだ。

なら信じて行動してみるしかない。

一歩足を前に踏み出した。

俺の行動を見た敵の顔が少しひきつる。


「…今の話聞いてたか?動けばこいつを殺すって言ってんだよ」


サーシャの腹に突き刺したナイフを握る手に力が入っている。

おそらく次はないだろう。

それでも俺はさらに一歩前に踏み出した。


「……っ!!」


敵と同時に俺はギアを使って動き出す。

敵はサーシャからナイフを引き抜き、すぐさまジャルを仕留めにかかった。

敵との距離は10mちょい。

だがそれくらいならギアで詰められる。

すぐに距離を詰めジャルの目の前に先回りし、そのナイフを刀ではじく、その瞬間、また敵は俺の目前から姿を消した。

気が付けばまたもや敵は急に俺の背後に、ジャルの目の前に移動していた。


「…邪魔なんだよ。クソガキがよぉ!!」


そのナイフが俺に背後から突きつけられようとした。

その時だった。

世界が止まった。


「何をトロトロしてるの?さっさと動きなさい」


「来るのがおっせえよ!!」


「あなたが昨日必要も無いのに私たちを呼び出したから、私達が出てくるのに時間がかかったのよ!!少しは時と場合を考えなさい!!」


そう厳しくはいうものの、風華の顔はいつもより優しかった。


「まぁ仲間をかばおうとしたことは褒めてあげるわ。さぁ攻撃を避けたら時がまた正しく動き始めるわ。慎重にね」


「分かってるよ」


「ならいいのだけれど」


そう言って、風華は俺の手に納まった。

刀をしまうと続いて水連も出てきたので、右手で水連を握る。

フゥーと息を吐いて落ち着いてから俺は動き出した。

瞬間、ナイフが空を斬る音が響く。


「なにっ!?」


突如目の前から消えた俺に、敵が困惑したような声を出した。

その隙に、ひとまずジャルとサーシャを連れて後方へと避難して、サーシャにはヒールをかけて、ナイフで刺された腹部の傷を治した。

そのあまりにも異様な光景に、2人とも驚いていた。


「……何よその回復力……」


つらそうな声を出しながら俺に尋ねるサーシャに笑顔で


「こういう体質なんだよ」


とだけ告げてから、その場を葵に任せ俺は再び前衛へと出直した。

すぐに前に戻ると、春香がなんとか1人でしのいでくれていた。

だが表情から、かなりきついという事が見てとれた。

そんな中敵は俺を再び視界に入れるやいなや、すぐさまこちらの方に襲いかかってきた。

その攻撃を風華で防ぎながら、水連を使い横から斬撃を叩き込む。

その攻撃を敵はバックステップで躱す。

そして躱しながら


「貴様が予言の黒の神器使いかあああああああああ!!!!!」


そう吠えながら、暗殺しに来たとは思えないほどの覇気を纏い、ナイフを空中に投げながらこちらに向かってきた。

見たことのない行動に、警戒心が高まる。


「風華!!攻撃来たら頼む!!」


「できるだけ自力で回避しなさい!!」


「いや手伝ってよ!?」


「魔力沢山使うからいや!!」


この場面でそんな残酷なこと言う!?

こんな緊迫した場面でも、かなりひどいことをいう風華、それでもそれなりには期待に応えるべく体を動かす。

水連は表には出てきはしないものの、右肩を動かすサポートを行ってくれているのか普段はあげることさえきつい右肩が少しだけ楽に動いた。

おかげで飛んできたナイフをスムーズに弾き返すことが出来た。

これで相手は武器がなくなったのかと思いきや、何と俺がはじき返した武器を、ご丁寧に回収してぶつかってきた。


「貴様さえ!!貴様さえ殺せれば!!貴族連合の勝利は確実なものになる!!」


先程までとは打って変わって、変に興奮している。

こういう状態の敵は変に厄介だ。

……もともと厄介だったのに、さらにめんどくさくなった。

敵の攻撃を何とか押し返したところで、葵が俺に一度使ったテレポートで俺や春香を葵自身の近くに引き寄せると……


「一度撤退するよ!!」


そうして俺たちが何かを発言する前に、葵は俺たち全員をテレポートを使い魔女の集落まで転移させた。


「……ごめん。あの状態からは、どうしても反撃する方法を思いつかなかった……」


転移してすぐに、葵は俺たちに謝罪した。

この言い方からすると、きっと反撃する方法は思いついていたはずだ。

だが、何かで狂わされた。おそらくは……


「…敵の突然の移動か?」


「うん。……魔法で転移するにしても最低限の詠唱時間がいるし、仕組みが全く分からなかった」


そうやって葵と二人で下を向いてうつむいていると


「今悩んでも仕方ないわよ。すぐにここに来るわ。まずは対策を立てましょう」


ジャルに背負われたサーシャが、普段よりもトーンを落として俺たちに提案した。

その提案に春香もうなずいた。


「それもそうね。再会を喜びたいところだけど、今はそれどころじゃないし……というか、なんでここにいるのかすら私も理解してないし……。それに、サーシャさんだっけ?…貴女にはいろいろと聞きたいこともあるしね」


「……珍しいな。普段のお前なら”正面から殴ってれば勝てる!!細かいことは気にしない!!”とか言いそうなのに」


「……私も少しは成長してるのよ」


顔は引きつってはいたから殴られるかとひやひやしたが、少し会わない間に春香はかなりの成長を遂げていた。

もしかしたら俺よりも強いのでは?


「よし、とりあえず時間もない。お婆さんやほかの人の知識も借りながら、何とか撃退しよう」


俺の言葉に全員がうなずくと、俺たちはまず知識を借りるべく一番いい案を思いつきそうだと思ったお婆さんの元へ急いだ。

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