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STAR SKY GUARDIANS  作者: 花海
第一章 残酷な世界 その世界へ一歩を踏み出して
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第一章3 不思議な声と霧の中に現れたもの(改行済み)

ラフィナ

洋一が見知らぬ土地で出会った少女。洋一の言葉が少しわかるようで、短い言葉でだったら通訳もできる。優しい子で、兄とは違い誰からも愛されている。が、そのやさしさに漬け込む人間は多い。風魔法と回復魔法を使うことができ、かなり強力な風魔法で洋一をサポートする。


ライ

ラフィナの兄貴。鍛冶屋を営んでおり、生活費をそれで稼いでいる。不愛想だが根はやさしい。のちに洋一たちの武器の全てを作ることになるということは、彼自身も洋一もまだ知らない。

ラフィナと協力して、なんとか魔物を全て退けることができた。

だがその頃には、すっかり日が暮れてしまっていた。

夜遅くまで戦闘が続かなかったことを幸運に思いながら、とりあえず村人達が村の中央に集まっているようだったので、ラフィナと共にその場所へと足を進めた。

だが、ラフィナは体力的に限界が近かったということもあり、足元がおぼつかなかった。

この歳であんな激しい戦闘を行うことは基本ない。

……普通だったら。疲れるのも当然だろう。

頑張ったんだから休んだほうが良いというと、ラフィナは言葉を返す元気もないようで、ふらふらと自宅の方へと帰っていった。

家に入ったところまでを確認し、言語は通じないが何かしら得るものがあるだろうと思い、俺はそのまま一人で人が集まっている場所へと向かった。

そこには、ラフィナの兄のライや、村長と言われていたおじさん、他の村人たちがキャンプファイヤーのように中心にともされた火を囲むように集まって、座って何かを話しているようだった。

そして、俺がその場に到着すると、ライ以外が立ち上がりそのまま各々の家へと帰っていった。

……何の集まりだったんだ?

言葉が分からないから、何を言っていたのかわからない。

でも……唯一残っているライを見る。

その顔は険しかった。

……何かを言われたのは間違いない。

それも、多分俺関係で。

ライは、他の村人が立ち去った後になっても、下を向いていた。

ここは声をかけるべきだろうか?

そう悩んでいると、ライは腰を上げこちらの存在に気付いた。


「……なんだ、いたのか……」


言葉もラフィナが言ってくれたように日本語で話しかけてきてくれている。

意外と根はやさしい奴なのかもしれない。


「集まってたからな。何の話だったんだ?」


「……知らなくていい話だ。それで、ラフィナはどこだ?」


「家にいるよ。きっと疲れて寝てるだろうけど」


「そうか」


ライは不愛想にそう返事をすると、そのまま俺の横を通り過ぎてから、自身の家の中へと入っていった。

残ったのは未だ燃えているキャンプファイヤーと俺だけ。

キャンプファイヤーの前にため息をついて座りながら、俺は懐かしい記憶を思い出していた。



あの頃は………四島にいた頃は、とても大好きな先生がいた。

とても優しくて、俺を地獄のような場所から救ってくれた人でもあった。

その人がある日言ったのだ。

みんなでキャンプファイヤーしよう!って。

細かくは覚えていない。

けど、あの時みんなで見た火の美しさは、今でも覚えている。

鮮血に染まった記憶の中で、俺にとって数少ない暖かい記憶。

あの時は、たったそれだけでうれしいと思ったものだった。



今はどうだ。火を見て感動することができるだろうか。

…………。

……もう、あの時のような感情は出てこない。

俺の全てを焼き払ったものを見て、感動もくそもない。

だが、それでも、どことなくやはり胸にくるものがある。

……なぜだろうか。

そんなことを考えていると、突然頭を叩かれた。

振り返るとそこには、先程自身の家に帰ったはずのライが立っていた。


「何してんだ。とっとと来い。お前のために寝床開けた意味ねえじゃねえか」


おいていかれたとばかり思っていたので、初めは何を言われたのか理解できずにポカーンとしていると、


「いいから来い!!どうせ居場所ねえんだろ!!」


そのまま俺を自身の家に引きずっていった。

あぁ、わかった。こいつ不愛想なんじゃなくて、不器用なだけか。

そんなことを思いながら、ライになすがまま引きずられ、寝床に放り投げられると「とっとと寝やがれ!」といってそのまま家の奥の方へ行ってしまった。

その言葉に甘えるように、俺は目を閉じた。


次の日の朝、起きてすぐにライに呼び出された。

2階にあがると、既にラフィナが先にお茶を用意して座って待っていた。

欠伸をしているあたり、まだ昨日の疲れが残っていそうだった。


「まぁ座れよ」


席に座るように促されてから席につくと、ライも別の椅子に座った。

ライはラフィナの用意してくれたお茶を1口飲んでから、俺をなんで呼び出したのか口を開いた。


「……実は昨日、村の連中がお前にこの霧の出所を探ってもらうということになってな……それに……ラフィナも同行させることが決まった」


重々しく開かれた口から出てきた言葉は、かなり衝撃的なことだった。


「反対はしたのか?」


「したさ!!でもあいつら自分の事しか考えてねぇんだ!!他人がどうなろうが関係ないんだよ!!」


「………そうか」


ライのこの感じ、おそらく相当反対したんだろう。

俺もきっとそうする。

いや、必ず反対するだろう。

戦うことの恐ろしさを知っているからこそ、幼い子供から死にに行けとは言わない。

……だが、人間は最終的には自分が可愛いと感じてしまう生き物だ。

たとえほかの誰かが死のうとも、自分に明日が来ればよいと考える人間もいる。

四島でもそうだったように。

……どこから来たかもわからない人間に死なれても、どうでもいいってわけか。

……人間はやはり、汚いことしか考えないな。


「……俺だけで探ってもいいが……」


そこまで言いかけて、俺は口を閉じた。

俺はこの土地の地形を把握していない。

これほどの小さな村だ。

地図なんてないだろう。

それに地図があったところで、前後ろが分からなくなるような霧の濃さだ。

人の助けは必ず必要になるだろう。

それで、昨日の戦いぶりを見てラフィナを選択したわけか……。

なるほどなぁ……。

腕を組んで、ラフィナを戦闘に参加させないようにする方法を考えるが、何も思いつかない。なら、今日は形だけでも先に示しといたほうが良いだろう。


「ライ。何も今日中に解決しろってわけじゃないんだろ?」


「あぁ、そうだが……」


「なら今日は、村の周辺だけ一緒に回ってくれないか?昨日の今日だし、魔物は出てこないだろうと思うからな。それだったら見た目上、条件は満たせるはずだ」


というわけで、俺の提示した案を実行することになった。

少し疲れ気味のラフィナと、それを心配するライと一緒に今日は村の周囲を回ることした。

確かめたいことはいくつかある。

この村周辺のマッピング、そしてなぜ昨日魔物が侵入してきたかだ。

後者については本当に謎だ。

こちらから外部に出ることはほとんどできないという話だ。

ただし、謎を探りに行った男たちは戻ってこない。

今まで侵入してくるものなどいなかった。

だが昨日、魔物が襲撃してきた。

ここから単純に予想できることは一つだけだ。

どこかに抜け道がある。

外部と連絡を取ることができる道がどこかに開いているはずだ。

俺はそう考えている。

だからこその村周辺の探索だ。

運が良ければ、魔物の足跡が見つかるかもしれない。

その一つの望みをかけて、俺たちは村を探索し始めた。

だが、これといって何かしらのヒントを掴めるわけではなかった。

一度がむしゃらに霧の中を前進してみたところ、なんと入ってきた場所に戻された。

本当にどうなっているんだ?ここ。

ざっと周ってみたところ、いったい何をどうやって解決すればよいのか全く分からなかった。

3人で頭を抱える。

いったいどうすればいいのか。

何をどのようにすればよいのかその糸口すら見つからない。


「あと行ってないのは、水神様の湖だけか……」


ふとライがそんなことを口にした。

そう言えば、ここ以外にもそう言うところまで行けるようだった。

実際に俺もそこに落ちて来たみたいだし……何か関係があるかもしれない。

ライとラフィナにその湖に行ってみないかというと、二人ともそれに賛成してくれて、一緒に湖まで足を運んだ。

その湖の大きさはでかすぎず、小さすぎずといった大きさで、みた感じ大体直径100くらいはありそうだった。

ここに俺は空から落ちて来たのか……信じられんな。

普通なら水圧で死んでる。

でも、ライやラフィナたちが言うには俺が落ちてきたときに謎の魔法陣が現れて、俺の体をその魔法陣が受け止めてから俺は湖に着水したという。

それがこの村の村長が俺を水神様の使いだと間違えた理由だろう。

……だが、俺はそんな高度な魔法は使えない。

水魔法は使えないこともないが、使えてもせいぜい2段階目までだ。

それならまだ火属性の方が上手に使える。

……うーん。

謎だなぁ。

そんなことを考えながら湖に近づいた。

そして、何気なくその水に触った。



おいで、こちらにおいで

君は他の人とは違う何かがある

さぁおいで。君に力をあげよう

おいでおいでおいでおいでおいでおいでおいでおいでおいでおいでおいでおいでおいでおいでおいでおいでおいでおいでおいでおいでおいでおいでおいでおいでおいでおいでおいでおいでおいでおいでおいでおいで


「………っ!!おい馬鹿っ!!いい加減目ぇさませ!!」


頬に強い平手打ちをもらって俺は我に返った。

気が付けば湖の中心近く。

体はなぜか水につかっていて、それでいて下に持っていかれるような感覚があった。

そしてそんな俺をライが支えてくれていた。

引っ張られている感覚を覚える自信の体を、陸側に引っ張ってもらいなんとか浅瀬側のほうまで行くと、改めてライから大目玉を喰らった。

馬鹿じゃないのか!!アホなのか!!と。

その傍で、ラフィナは俺の事を心配そうに見ていた。

ただ、身に起こったことがあまりにも突然の事過ぎて、説明のしようがなかった。

気が付けばおぼれそうになっていたなんて言ってもきっと信じてもらえないだろう。

だが、本当にそう言うしかない出来事だった。

ライやラフィナから見た俺は、突然湖に入ってそのまま潜ろうとしていたらしい。

それを様子がおかしいと思ったライが止めてくれたようだった。

この後、すぐに探索は中止するべきだとライに言われ、俺もその案に賛成しライたちの家に、またお邪魔することになった。

俺の事を心配してくれたラフィナが、家に着いてからすぐに、暖かいお茶とライのものではあったが替えの服を用意してくれた。

それに着替えてから席に座ってお茶をすする。

冷えていた体が体内から暖かくなるのを感じながら、俺たちは今日のことについて話し合った。

結論から言えば、成果はなし。

何かしらの糸口すら掴むことができなかった。

唯一あったというのなら、湖にはもう近づかない方がいいということぐらいだろうか。

このまま話し合っても何も思い浮かばないだろうと考えた俺は、ラフィナも昨日の疲れが溜まっているし、今日の俺の行動もあり、休んだ方がいいと判断し、早めに寝るように提案した。

ラフィナはそれを聞いて頷いてから自身の寝室の方へ欠伸をしながら歩いていった。

……かなり無茶させていたみたいだな。


「俺はやることがあるから、工房にいるぞ。なんかあったら呼べ」


ライはそう言うと、すぐに1階へと降りていってしまった。

ライも休憩した方がいいと言おうと思ったのに……。

まぁやることがあるのならいいか。

俺は昨日ライに案内された寝床へ行くと、そこで横になった。

そのまま、今日の疲れを感じながらゆっくりと夢の中に落ちていった。



誰かが呼んでいた。

それが誰なのか分からない。

ただ呼ばれている。

あの湖に。今度は先程のような呼ばれ方じゃない。

優しく、明るい声、まるで子供のようなそんな声だ。

誰だと問いかける。

だがその問いかけに返事はない。

ただずっと、俺の事を呼んでいる。

……俺を呼ぶお前は……なんなんだ。



目を覚ます。辺りはまだ薄暗い。

夜明け前、か。

そんなことを思いながら身を起こす。

かなり長い間寝ることができたので、久しぶりに目覚めが良い。

体も少し軽い気がする。

左肩をグルグルとまわして右肩も痛まないくらいに軽く動かす。

2年前の戦いで怪我を負って以来、肩より上に上がらなくなった。

おかげで利き手も変えざるを得なくなったわけだけれども。

かと言って、そこまで困っているわけじゃない。

まぁ違和感はあるけどな。

なんとなく朝の空気でも吸うかと一階から外に出た。

相変わらず霧は濃い。

変なものでも見つければ、すぐにでも目に留まりそうだ。

例えば目の前の小さな青い髪の女の子とか……。

青い髪の女の子!?

ばっと先程の青い髪の女の子がいた方向を見る。

俺のその行動がおかしいと感じたのか、その子はくすくすと笑っていた。

そしてその子は、まるで俺を呼ぶかのように手招きした。

きっとあの少女が呼ぶ先には何かがある。

なぜかそう確信することができた。

急いで武器を取りに帰ると、扉の空いた音で起きたのか、ラフィナが寝間着姿で出てきた。


「……おはよう……です」


むにゃむにゃとあいさつを言ってくれるが、今はそれに返答している場合じゃない。


「すまん!!ちょっと行ってくる!!」


枕元に置いておいた刀を手に取り、外へと走りだす。

あの少女は俺が来たのを確認してから霧の奥の方へと進んで行った。

あの方角は………湖だ。

何が起こるかわからない中、俺はその少女の姿が見えなくなるまで必死にその姿を追った。

そして湖前付近でその姿を見失った。

肩で息をしながら、周囲を見渡す。昨日と何も変わっていないように見える。

それなのに、不思議な感覚に襲われる。

何かが、きっと変わっているはずだ。

だが、視認できる範囲で変わっているようなものは見えない。

というよりも、この霧で周囲は何も見えない。

なら、変わっていそうなものと言えば……。湖の水を見る。

昨日と何か変わっているものがあるとしたら、これしかない。

手を恐る恐る伸ばす。

本当に触れて大丈夫だろうか、また昨日みたいになったりしないだろうか。

そんなことが脳裏をよぎる。

だが、なぜか今日はそんな恐怖を感じなかった。

そして俺は、ゆっくりと湖の水に触れた。


”汝、今この時に何を望むか”


女性のような声で誰かが呼びかけてきて、驚いて水の中から手を引っこ抜きそうになった。

それを何とかこらえる。

……夢の中でも何者かに呼ばれ、青い髪の少女にこの場所へと導かれ……そして何者かの問いかけ。

何かがつながっているとしか考えられない。

ならばこそ、慎重にこの問いには答えなくてはならない。

今、この時に何を望むか、か。

安直に力と望めば、とてつもない力でもくれるんだろうか。

いや、それはないな。

……力を望んだものが行きつく先を俺は知っている。

なら、今最も欲しいと思うものは……


「……真実を見る目が欲しい。見かけだけで何事も判断するのではなく、すべてを見通す目を」


この時代の事をよくわかっていない俺にとっては、それが未来へ帰るために一番必要なものだと思った。


”……力や物ではなく、全てを見通す目が欲しいと……?”


呼びかけられたその声に大きくうなずく。

すると、突然地面が揺れだした。

倒れないようにもう片方の空いている手を地面について体を支える。


”ならば汝、その力を持つものにふさわしいものか試練を与えよう”


”汝はすべてを斬り刻む風”


”汝はすべてを呑み込む濁流”


”汝は道を切り開くもの”


”その迷える足で我らの元へとたどり着いて見せよ”


湖の水が揺れ、湖の底から何かが浮上してくる。

周囲の霧が少しだけ晴れ、天からは日からが差し込み始める。


「おい!ひろ!朝から一体何を………」


「ひろ、1人、危険………」


ラフィナが俺の行動がおかしいとライに教えたのだろう。

ライは服装も整っていない状況でこちらへ来ていた。

そして目の前に現れたものに二人とも言葉を失っていた。

驚くのも無理はない。

俺でさえ目の前で何が起こっているのかよくわかっていない。

ただ、わかっていることは、これは俺を試すための試練であるということくらいだ。

湖の底から突如として現れた謎の遺跡を見上げながら、越えなければいけない壁の大きさに圧倒されつつも、俺は立ち上がった。

行こう。

そう思って前に一歩を踏み出す。

だが、ラフィナに裾を掴まれて、動きを制止させられた。


「行くなら、皆、一緒!!」


…………そうだな。一人で行動するよりも、皆と行く方がいいだろう。


「なら、急いで準備しないとな」


色々と文句を言うライを差し置いて、俺とラフィナは急いで家へ戻り、探索ができるように準備を行った。

途中からライも諦めたように自分の荷物をまとめ始めた。

どうやらついてくるらしい。

3人が3人とも自分の荷物を整えてから、俺たちはその遺跡へと踏み込んだ。

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