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STAR SKY GUARDIANS  作者: 花海
第一章 残酷な世界 その世界へ一歩を踏み出して
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第一章2 今自分にできる最善の事を (改行済み)

彼女の話はこうだった。

今この村の周りには不思議な霧が出ていて、その霧のせいで外に出ることができなくなったらしい。

それを調べるために男性が調査に行ったが、戻ってきていないという。

村の食料も半分をきっており、このままでは危ないという状況で、俺が空から落ちて来たらしい。

そしてそんな俺を神様の使いだと勘違いした、というわけらしい。

他にも、外では10年前から貴族と各国のギルドがその領地をめぐって突然争い始めた。

その流れに乗るように、魔物の行動も活発になり、この戦争で滅んだ国や村がすでにいくつもあるらしい。

この話は、俺の時代の歴史の教科書にも簡潔に記載されている。


「ありがとう、ラフィナ」


俺がお礼を言うと、ラフィナは満面の笑みで話を聞いてくれてありがとうと言った。

お礼を言うのはこっちの方だ。

なんせ、家にまで招いてくれたのだから。


「それじゃぁ、少し、席外すね」


そう言ってラフィナは食器を片付けてから一階の方へと下っていった。

それを見送ってから、俺は、ほぅとため息をついた。

実はラフィナの話には続きがある。

それはおそらく今この場では俺しか知らないことだ。

英雄ラウルの伝説。

この戦争を第三の勢力として少数で行動し、その後他のギルドたちと協力して貴族の連合軍を倒し、安寧をもたらした若者。

ある話によると、まだ二十歳にもなっていない少年だったり、またある話では、半人半獣の少年であったとも言われている。

そしてその彼についてどの文献にも必ず同じことが書いてある。

それが、彼の使っていた特別な武器、神器についてだ。大半の神器は文献によると、そのほとんどが金色のような色をしているらしい。

だが、彼の使っていたものは、黒、そしてそれと相反する白色の神器だったらしい。

………俺は今、そんな化物みたいな人間がこれから生まれる時代にいるわけだ。

ため息もつきたくなる。それに今の現状、村の外にも出れないし、地図もないからここがどこなのかも、これからどこに行けばいいのかもわからない。

お先真っ暗すぎる。……だからどうした。

今まで何度も今回よりも厳しい状態になたこともあった。

その度、乗り越えてきた。時には一人で、時には仲間とともに。

今回も、どうにか乗り切って見せなければならない。

みんなと再会するために。

なら、ここでじっとしてるわけにもいかない。

動こう。おそらくじっとしていても、状況は良くならないだろう。

なら、今は少しでも情報を集めるために動いたほうが良い。

自分が今何をなせばよいのかを捜すために。

席から立ち上がり一階へと降りる。

ラフィナは一階で武器が散乱し散らかっていた部屋を一生懸命片付けていた。

すぐにラフィナと目が合い「どうかしました?」と声をかけられた。


「いや、あそこにいてもやることないし……片付け手伝おうか?」


そう言うとラフィナは俺が手伝ってくれることがうれしかったのか、ニコニコとした顔でいいんですか!?と聞いてきた。

そんなにいい顔をしたら、断るなんて選択肢なくなるじゃないか。

もちろんと言ってから俺はラフィナと一緒に散らかった部屋を片付け始めた。

そうして片付けていると、あることに気づいた。

上層部に散らかっている武器と、下層部で散らかっている武器の質があまりにも違うのだ。

切れ味、輝き、美しさ、その何もかもが上層部に転がっているものが、下層部の物と比べて劣っていた。

俺がその違いに気づいたからなのかは知らないが、ラフィナは片づけながら自分たちについて話しだした。


「私の、親は、3年前に、亡くなりました。ひろさんが、持ってるのは、父が過去に、作ったもの」


「……そうなのか」


「兄、頑張ってる。父、超えるために。だから、応援」


そう言ってラフィナは俺の方を見て少しだけ寂しそうな笑顔を向けた。

……この子はいつもこうやって誰かのために無理やり我慢してきたのだろう。

それでいて、とても強い子だ。

まだ、幼いのに………。

この子がこうなってしまう原因を作ったのは、周りの環境のせいだ。

俺がそうだった。俺がそうだった。

だからこそ、だからこそだ、この子にはもっと自分を出せるようになってもらいたいと手を動かしながら、心の底から思った。

そんなことを考えながら片づけていると……ある武器が自分の手に触れた。

刀だった。

手に持ってみる。

見た目よりも軽く、刀というよりは短剣を持っているような軽さだった。

ラフィナの邪魔にならないように試しに抜刀してみる。その刃を見て驚いた。

今まで握った刀の中で、みたこともないくらい刀身が薄かった。

試しに一振りしてみる。

普通なら少し感じるはずの風の抵抗を、全く感じなかった。

ただ、刀身があまりにも細すぎるため、この刀で攻撃を受け止めることは難しそうだった。

それでも、ここまで風の抵抗を無くすことができるなんて……凄すぎる。


「あぁ、その刀、兄が、初めて、作ったやつ!!」


俺が握っている刀を見てから、ラフィナが近くによってきた。


「そして、父と、兄、一緒に、作ったやつ!!」


……父と子の共同作品、か。

いいな。

そういうの。

この刀を見て少し嬉しそうにしているラフィナを見てそう思った。

俺は、父親に対してはいい記憶を持っていないから。



まだ物心もつかないような幼い時だった。

俺は女性しか目覚めることの無いと言われていた、異常な回復力を手に入れてしまった。

父はその家系の長男で、男として生まれてきた事から迫害を受けていたらしい。

だが、父の妹達の子どもでは、俺ほど力を引き出すことができなかったらしい。

そして俺は、幼い頃から寝ることも許されない訓練をつまされた。

そしてまだ3歳くらいの時に、戦場となる四島へと足をふみいれることとなった。



だから、家族とのいい思い出を持つライやラフィナのことが、少しだけ羨ましいと思った。そんな時だった。


「魔物が来たぞーーー!!」


村の外から、そんな声が聞こえた。

と同時に、周囲からけたたましい程の獣の声が響いた。

近い。

しかも、かなり多い。

男性達はほとんど村に残っていないとラフィナはいっていた。

……俺が出陣(でる)しかない。

たまたま手に持っていた刀の鞘を右手に持ち、俺は外へと飛び出した。

外に出ると、既に数体の魔物がこの家を囲っていた。

霧で前が見えずどこから襲われるか分からないことを心配したが、ある程度見える位置に魔物がいる。

これならなんとかなりそうだ。

今、視界に入っている魔物の種類は2種類。

ウルフとブル。

獣種の中ではどちらも最弱ではあるが、ウルフは集団行動、ブルは突進による一撃と、この村を滅ぼすのには十分な力を持っている。

ラフィナの話から戦える人はおそらくほとんどいないだろう。

なら、考えることは一つだ。


”今出来る最善の選択肢を選択する”


それだけだ。

地面を蹴り前方にいたウルフに向かって納刀した状態の刀で頭を殴る。

キャウンという鳴き声を出して、魔物が怯んだ。

その隙を逃さぬように鞘を魔物の頭に押し付けた状態で、刀を抜きながら顔面を切り裂き、刀を一回転させてから魔物の脳天に向かって刀を突き出し、仕留めた。

……この刀、驚くほど使いやすい。

確かに折れやすいという欠点はあるかもしれないだが、そこは扱うものの技術で十分にカバーできる。

特にこの程度の魔物なら、たいてい処理できるはずだ。

だが、問題はここからだ。

ウルフの声に気が付いた他のウルフが、声を頼りにこちらの方へとびかかってきた。

もちろん予想は出来ていたので余裕をもって回避する。

だが、避けた先で何者かに背後から突き飛ばされた。


「クッソ!」


音を頼りにしてきたのだろうか。

たまたま走ってきたブルにかなり痛い一撃を入れられた。

体勢を立て直しながら、すぐにその場を離れる。

するとすぐに音のした方にウルフが数体とびかかっていた。

あぁ!

外から魔法でサポートしてくれる人がいれば戦いやすいのに!!

心の中でそんなことをぼやきながら、


「頭義流抜刀術!二の型!」


一度刀を納刀し、力強く地面を蹴る。


「駆車!!」


すれ違いざまに3体のウルフの首を斬りおとした。

その後、何かがドドッドドッ!と走る音がしたのでそのまま体をねじるように回転させながら、精神を集中させて


「状相破斬!!」


駆車の時に少しだけ刀身に残った魔力を音のした方に飛ばした。

そして、その音のしていた方からブルが一匹飛び出してくると、状相破斬にぶつかってはじけ飛んだ。

周囲が静寂に包まれる。

終わったか?

一応の為に、魔力の観測も行っておくか。

丹田に力を込めて、自分のほかに魔力の反応を探る。

……その反応は、自分のすぐ真後ろにあった。

すぐに胴体を回しながら左手に持った刀で、背後の方を斬ろうと試みた。

だが、俺がいると予想した地面の方に魔物はおらず、魔物の体は宙を浮いていた。

目の前で、鋭利そうなウルフの牙が光る。

とっさに鞘を握っていた右手でその攻撃を受け止めようとした。

だが、魔物の攻撃が俺に当たることはなかった。

誰かが俺に襲い掛かってきていた魔物に、風魔法攻撃を当てた。

魔物の体に切り傷が何度もつき、出血する。

魔物はその場に崩れ落ちると、出血多量でそのまま死んだ。


「大丈夫、ですか!?」


声のする方を見る。

そこには貧相な魔法杖を持ったラフィナが立っていた。

すぐに俺の方に寄ってくると、背中の攻撃された部分にクイックヒールをかけてくれた。

……そうか、目覚めた時に、怪我が癒えていたのはこの子のおかげなのか。

ラフィナには何度も助けられているな……。


「ありがとう。助かった」


「どういたしまして!!」


そう言ってラフィナはにっこりとほほ笑んだ。

俺は刀に付いた血を一度払ってから、刀を鞘に納めた。

魔物の場所は先程のでは探り切れなかったが、魔物の声が聞こえるあたり、まだ村の外にもいるのだろう。

ここで止まっていてはいられない。

それに、戦える人間が他にもいるなら頼るべきだ。

……あまり幼い子を戦わせたくはないのだが今は手段を選んでいる場合ではない。


「ラフィナ、手伝ってくれ。俺はまだ地形も現状も把握しきれていない。お前の情報だけが頼みの綱だ」


「………??」


あぁ、聞き取れなかったか。

言語が通じないのは、こういうところで痛いな。

だからもう一度、ゆっくり丁寧に、伝えたいことだけを伝える。


「手伝ってくれるか?」


「うん!!」


元気よく返事が返ってきた。

よし、と俺も気合を入れなおすとそのままラフィナと一緒に村を駆け回った。

魔物の数は想像していたよりも多く、数えていただけでも軽く50は超えていた。

そんな量の魔物がなぜ攻めてきたのかはわからない。

だが、とりあえず村の危機は去った。

今はそれだけで十分だった。

パーティ―メンバー

洋一 ラフィナ

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