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STAR SKY GUARDIANS  作者: 花海
序章 日本 ○○○○
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序章6 ただがむしゃらに走って (改行済み)

言葉選びにかなり苦労させられました!お待たせして申し訳ないです

避難できたはずなのに、なぜか女性はその体で矢を受け止めていた。

それは、俺が逃げきれないということの心配からだろうか。

はたまた娘たちを心配しての行動だったのか。

それはわからない。

ただ、致命傷を負うような怪我を負ったということだけは確かだった。

助けに行きたい。

だが動けば、この子らの無事が保証できない。

そして何よりも、相手の数が分からない以上こちらから下手に動く訳にはいかない。

などと考えている間に、矢で射抜かれた女性の周りを4人の人間が取り囲んだ。

その中でも1人は、格好が他のものと異なり、さらに異様なオーラを放っていた。

直感で関わってはいけない人間だと感じた。

逃げたい。

今すぐにでも、1人でこの場所を抜け出して、あいつらと合流したい。

でも、それでもこの状況で逃げるわけにはいかない。

あの女性を放り出していくわけにはいかない。

覚悟を決めて、俺が表に飛び出そうとした時だった。


「……そこにいるんだろう?運命に呼ばれた誰かさん?」


まっすぐに、こちらの隠れている方角を見てそいつは俺らに話しかけた。

場所が割れている以上、ここに隠れ続けている意味は無い。

俺は子供たちを抱き抱えたまま、そいつらの正面にたった。


「……子供?こいつの力なら、もっとマシなのを呼び出せただろうに……」


目の前のそいつは俺を見て訝しげな目を向け、瀕死の女性を踏みながらそう呟いた。

その行動にカチンときた俺は、吠えるように叫んだ。


「あんたは!あんたらは何者だ!!どうしてこの人を!……この子らを狙う!!」


「なんだ?何も聞いてないのか?なら、教えてやろう。……こいつは運命を操る個性を持っているんだ。お前にもあるだろう?」


個性。

それは、1人につき大体1つ持つとされる固有の力。

俺で言えば脚力強化のギア、葵で言えば相手の簡単な情報を調べるサーチと言ったもの。

この力は戦況を大きく左右することもあり、本当に強力な個性を持ったやつを敵に回すと、勝ちが見えなくなるような事もある。

思い出したくもないが四島の時がそうだった。

その時でも対峙した相手は、死人を魔物として生き返らせるネクロマンサーのようなものだった。

運命、ましてや未来に影響を与えるような個性には今まで出会ったことは無い。

……もし本当に、そんな力なのなら誰もが彼女を求めるだろう。

いや、本当だからこそ彼女は子供を引き連れて逃げていたのではないか?

そうじゃなきゃ、森がこんなふうに燃えたり、襲われたりしないはずだ。

……だから逃げるために、誰かに守って貰う必要があった。

そのために……俺は、俺らは呼ばれた……?

ようやく、どうしてこの状況になったのか大まかに理解した俺に、目の前のそいつは言葉を続けた。


「理解したか?……お前は呼ばれたんだよ。この女の命と引き換えに子供たちを外へ逃がすためにな」


「命と引き換えに…?」


「なんだ?その事も聞いてないのか?」


俺の返答に、そいつは呆れたような口調で言葉を返してきた。


「この女はそういう力なんだ。助かりたいと願えば周りが死に絶え、国が栄えて欲しいと願えば、周囲の国が滅びる。また、その逆も行うことが可能だ」


…つまり、目の前のやつが踏んでいる女性は、自分が不幸になれば、周囲に幸せや祝福を与えることが出来る。

また、その逆も可能である。

その結果が今の現状だ。そう言いたいのだろう。


「だからって!その人を踏むことはないだろ!」


「いいやあるね。こいつが死に際に力を使っていたら、急所に当たっていない可能性がある。……生きててもらっちゃ困るんだよ、この女は」


そいつは冷たい目を女性に向けながら、もう一度女性を踏み直した。

もう我慢の限界だった。

俺は子供たちを置いて、刀を右手に持ち一気に相手に詰め寄ろうとした。

その時、相手がため息をつきながら呆れたような目でこちらを見た。


「……ここまで言って、まだ分からんのか」


「何が!!」


怒りで既に頭がいっぱいの俺に、そいつは俺を諭すように言葉を続けた。


「私たちにお前達は殺せないんだよ。この女の力が働いている限りはな。それに……お前のお仲間も来たみたいだ」


そいつは俺の背後の方へと目線を移し、体の位置を少しだけずらした。

その直後に先程までそいつがいた所に見た事のある槍が飛んできた。この槍は……


「大丈夫か!?ひろ!!」


「死んでないでしょうね!!」


背後から詰め寄ってくる4つの気配。

勝手知ったあいつらの気配。

俺の横に並んだ鉄と春香は、所々服が焼けていたりしたが、ほぼ無傷だった。


「で、目の前の奴らは何!?向こうでも騎士みたいな人達が襲ってきたけどここどうなってんのよ!!」


「俺が聞きてえよ!!」


「2人とも前に集中してよ!?俺今手元に武器ないんだよ!」


「とっさに投げるあんたが悪い!!戦えないなら後ろに引っ込んでて!!」


春香はそう言って、この場を諌めこれからどうするのかと話を切り出そうとした鉄を軽く一蹴して、ついでに子供たちも後方へと移動させてくれた。

ガサツな所もあるが、意外にも春香は状況を判断できるやつだ。

……鉄を蹴ったのはどうかと思うが。


「それで、どうすんの。目の前のこいつと戦うの?」


春香は視線だけをこちらに向けて、これからどうするのか尋ねた。

……どうするのか、か。

相手の話を聞くに、相手側は何をしても俺たちを殺せないと言った。

それは戦っても無駄だと考えているということだ。

だが仮に、この言葉か嘘だった時、俺たちは必ず死ぬ。

女性が身を捧げた意味がなくなってしまう。

どう判断すればいい。

難しい戦局だ。

1手うち間違えればどうなるか分からない。

だから、下手に決断することが出来なかった。

そんな硬直状態の中、相手側は鉄の投げた槍を引き抜くと、異様なオーラを放つやつが近づいてきて、俺にその槍を手渡した。


「……さっさと行け。救えるものすら救えなくなるぞ」


相手がなぜそうしたのかは分からない。

ただ、戦う気がないということだけはこの行動から理解出来た。

助けられなかった女性に心の中で謝罪をしながら、俺たちは子どもを抱えてその場を後にした。



走りゆく少年達が見えなくなってから、女性を踏み潰しているやつは……彼女はため息をついた。


「……見逃してよかったんですかい?姉御」


「……いいんだよ、これで。……あんたらも良かったのかい?私についてくるってことは、どうなるか分かって……」


「そんなこと皆分かってますよ。でも……貴方は誇りある5番隊隊長です。あなたの考えに従うだけですよ」


「そうだな。あんたに拾われた命なんだ。あんたのために使ったっていいだろ?隊長」


「……馬鹿だね。あんたらも……こいつもさ」


女性から足をどかした彼女は、踏んでいた女性の手を組んで、少し開いていたその目を閉じた。

……友人を殺さなくてはいけないこの世界はなんて残酷なんだろうか。

泣きたいのに泣けない。

それをこの戦場が許さない。


「姉御……そろそろ……」


「あぁ、分かってる……」


「……っ!来ますっ!!」


世界が黒に染る。

心臓を締め付けるような圧を出すあいつが……化物が来る。

……時間を稼がなければならない。

何としてでも。彼女が身を挺して生み出した運命を実現するために。


「……いくよ!あんたたち!!」


「おう!」


「了解です!」


「任せろ!」


そして彼女らは……………………闇に呑まれた。



合流した俺たちは燃える森の中を走りながら、情報を共有した。

葵達は俺とは違い4人とも固まってこの場所に放り出されたようだった。

また、俺と同じように言語の通じない相手とも戦ったらしい。先程まで対峙していたヤツらは言語が通じたが、またいつ言語の通じないヤツらが襲ってくるか分からない。

そんなことを思った時だった。後ろからズドンと感じたことの無い圧を感じ、全員の足が止まった。

振り返ると、謎の黒い壁のようなものが迫ってきていた。

もう嫌な予感しかしない。


「走れっ!!!!!!」


「皆走って!!」


俺と葵の声で全員が一気に加速した。

だが、意識の朦朧としている子どもたちの手を引いて走ることは、容易いことではない。

足元がおぼつかない子どもたちがつまずく。

それもそうだ。

もうほとんど俺に引っ張られて立っているようなものだ。

体力だって限界に近いだろう。

そんな俺の状態に気づいた春香と鉄はすぐに俺の所に引き返して背中に背負っている子ども以外を背負ってくれた。


「こんな時まで無茶してんじゃないの!!」


「そうだぞ!それにお前リーダーなんだからお前から消えてもらわれても困るんだよ!」


……こいつらといると、俺が普段から無茶をしているということを再確認させられる。


「すまん!助かる」


一声かけて葵たちとは少し離れたところから走りだす。

謎の黒い障壁は、もうほぼ真後ろまで迫っていた。

息が上がる。

熱風が喉を焼く。

体が水を求めている。

きつい。立ち止まりたい。

……もう終わらせても……って何考えてんだ俺は!

こんな状況で立ち止まれるかよ!

顎を引き腕を大きく振り、歯を食いしばって走る。

横に並んで走る春香も鉄からも荒い呼吸が聞こえる。

みんな頑張ってる。

この訳の分からない状況でも、必死に頑張っている。

そんな仲間たちを見て、少しだけ力がわいてきたような気がした。

……そんな中、俺たちの前方で宗次が盛大に顔面からずっこけた。

当の本人も何が起こったのか理解していないのか、横たわったままポカンとしていた。


「宗次君!!早く!!立って!!」


一緒に前を走っていた葵が声をかけるが、宗次は一向に立ち上がる気配がない。

何やってんだあいつは!

……あぁもうっ!!


「葵!春香!鉄!俺は宗次を拾って先に行く!!このまま突っ走れば必ず浜辺につくはずだ!そこで合流しよう!!」


「はぁ!?馬鹿じゃないの!?ここでまたはぐれたら……」


春香が反論する。

そりゃそうだ。

出来るなら俺も5人全員で行きたいさ。

でも……あぁなるとほとんどの人間は力が入らなくなる。

昔そうなったことがあって、俺を大切にしてくれていた人を目の前で亡くした。

……逆に、そうなるまで俺は一歩も動けなかった。

だから、引っ張り上げる。

俺の個性を使ってなら、勢いでそのまま宗次の体も運べるはずだ。

俺の頭にある作戦を、そのまま簡潔に伝える。

すると、「さっさと行けっ!」と言葉で背中を押された。

不器用な奴だよ、ほんと。

魔力の行き先を全て足に集中させる。

俺の個性はすごい力があるわけじゃない。

ただ俊敏性、脚力を上げるだけのものだ。

でも、だからこそできることがある。

タイミングよく右足を地面に接触したと同時に力を発動して大地を蹴る。

倒れて動かない宗次の元まで急加速して移動し、左足で着地しながら宗次の襟首をつかんだ。


「先に行くぞ!葵!指示は任せる!!」


「無理しないでね!!」


走っている葵に一声かけて、左足で空に向かって地面を蹴った。

視界が燃え盛る森から一変し、澄み渡るような星空が広がる空中に出る。

パッと後方を確認すると、先程まで俺たちに迫っていた謎の黒い障壁はその動きを止めていて、半球状の黒球がそこに出来上がっていた。

……いったいあそこで何が……。

そんなことを考えていると、ようやくボーッとして動かなかった宗次がワタワタと体を動かした。

よく見ると、俺が襟首を掴んで勢いよく空へ蹴りだしたもんだから、衣服で首を絞めているようだった。

バンバンバンと俺の手を叩いたこともあり、汗ばんでいた俺の手から滑り落ち丁度手前に見えてきた浜辺へと落ちていった。


「ああああああああああああ!!!!ひろーーーーー!!?!?!?!?」


謎の叫び声をあげながらそのまま浜辺に向かっていった宗次は、その後何か金属のようなものにぶつかった音を立てながら浜辺に落下していた。

……金属音?

嫌な予感がし、宗次が落下した浜辺に近いところに着地して、宗次が降り立った方を見る。

そこには小舟と2人の巫女装束を着た女性、1人の老人。

それを囲うようにして甲冑を身にまとった武装した数名の騎士がいたのだろう。

その騎士がクッションの代わりとなってくれたのか宗次は無傷だったが、下に踏みつぶされた兵士は甲冑の隙間から血を流していた。

目の前の人たちは何が起こったのかわからず混乱していた。

仕掛けるなら今しかねぇ。

同じように足に魔力を貯めて、地面を蹴り上げた。

砂が宙を舞う。

混乱の中異変に気付いた一人の兵士のようなものが砂に視線を送っているのが分かった。

俺はそんな無防備な状態になっている兵士の懐に潜り込むと、納めていた刀を一気に力強く引き抜いた。


「―――――――――――!!?!?!?!」


「―――――――!!!」


何かを目の前の2人兵士がわけのわからない言語を叫びながら後退した。

それを見て、右手で持った鞘で宗次を叩き起こす。

「あいてっ!」と情けない声を上げながら立ち上がった宗次は、下に踏みつぶした兵士を見て一人叫んだ。


「あいえええええ!!??なになになに!!?」


「お前まで混乱するな。……それに……」


視線を背後の3人へと向ける。

服装から見るに、おそらくこの人たちが女性の言っていた協力者たちだろう。

俺は背中の子をすぐに手渡しすぐに残りの2人も来るから小舟をだせる準備をしておくようにだけ指示して、目の前の兵士たちと対峙した。


「宗次!背後のその人たちをシールドで守れ!あと援護できるときは援護頼む!!」


「む、無茶言わないでよ!!」


「こんなところで弱音を吐くんじゃねぇ!!やれ!!じゃなきゃ死ぬぞ!!お前が踏みつぶした兵士たちみたいに!!」


俺の声に宗次はビクッと体を震わせた。

宗次の足は震えていた。

でも、俺の言っていることがもっともだということもわかっているんだろう。

覚悟を決めたような顔をすると、宗次は彼女の協力者たちの周囲にシールドを張り廻らかした。

これで、ひとまず凌ぐ準備は整った。

あとは、俺がどうにか処理するだけだ。目の前の兵士たちと体を向き合わせる。

緊迫した空気があたりを包み込む。

それは、これが殺し合いだということをお互いが理解しているからこそ起こる独特な雰囲気だった。そんな中、俺は敵の懐に潜り込み先手をきるために、一歩前に踏み込んだ。

遅くなりました!!!そして目まぐるしく展開が動いていきます!!おそらく次回までに序章は完結できると思うので楽しみにしといてください!!

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