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神様というモノが生まれた日  作者: 白戸 布留
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第4話. 昼休みは休むもの。

 新キャラクター・翔の事件が解決して次の日、昼休みまで行ってゆっくりできると思ったつかの間起こったこととは!?アクションシーンが始めて入る第4話をお楽しみください!

 「「おはようございます」」


 生徒会の人が一週間に一回行う、挨拶運動。はきはきしたその澄んだ、心に届く声は、より一層学校生活を頑張ろう! という気持ちになれる。

 文化祭の準備の始まり。昨日のこともあって美羽さんに会うのが怖いけれども、あれは仕方がなかったしね。まあ、大丈夫大丈夫といったポジティブシンキングで教室に向かうことにした。


 「お、諒やん。おはよー」

 「諒っぴおっはよ~! 昨日のあの美羽の声、初めて聞いたわい。何かしてくれたんちゃうか?」


 同級生たちの質問攻め。なにこれ芸能人みたい。

 と、思うのもつかの間。翔くんが僕の目の前で睨んできた。


 「おい、昨日俺が保健室に行く前。お前が美羽と……あ、あんな事やこんな事をするために……、お、俺を気絶させ」

 「違うからっ! 全っ然違うから! 大体僕そんなことする勇気なんて全く持ってないし、ましてや女子の肌にさわるなんて……え?」


 教室の奥に友達と話している美羽の視線がずっとこちらを向いて来ている。それに周りの人は気づいてないのか、話しているばっかり。

 そんな時、頭の中に女性の声が響いた。


 『屋上。昼休みになったら翔も連れてきて。あと、昨日の事は……別にさ、気にしてない……からっ』

 と。


 昨日のことは別に気にしてない? それにしては口調がなんかエロイなぁ~。まさか気があるとか。1年の美女が? 僕に?

 

 「いいね! 青春って最高だぁ!」

 「「……どうした? 遂に真面目なお前がバカの仲間入りか?」」


 男友達全員揃ってきれいなハーモニーが生まれた。これに女子が混ざれば……って、違う!


 「……ごめん、独り言」

 「それにしてはでかいな」


 翔が最後に反応して、朝の時間は終わった。

 それからは、一限目、数学。

 二時限目、化学。

 三時限目、現代文。

 そして体育と済まして、昼休み。翔の席に行って美羽の伝言を伝え、一緒に屋上に行くことになった。


 「ふぁ~、疲れたぁ~!!」

 「まあ、翔くんは体育あまり好きじゃないし、体を動かすこと自体が嫌いだもんね」

 「まあな~。こうして階段を上るのも結構きついんだよな~」

 「じゃあ学校来て教室に来るまで階段を四回上がるけど、それもきついの?」

 「逆に聞くが、諒はきつくないのか?」

 「うん、全然」

 「な、なん、だとっ!?」

 「そんなに驚くことかな?」


 と話をしていると、屋上に入る扉の前へと着いた。


 「しっかし、風の音がつえーな。今日そんなに風吹いてないと思ったんだが……」

 「まあ、遮る物が在るか無いかの問題ですね」

 「……なるほど。確かに低いところだと家だとかお店だとか風の遮蔽物が多いもんな」

 「そういうことです」


 扉を開けると一人で弁当を食べている女子生徒を発見した。

 不機嫌そうな顔をして、ブツブツと何かを言いながらもその子の隣にはファイルがある。


 「すまん、待たせたな美羽」

 「ごめんなさい、遅くなりました」


 ため息をこぼされ、こっちに来いと手招きをされる。


 「いやー、本当にごめんな? 流石に体育の後に階段を上るのはきつ……ん? なんだよそのファイル」

 「できたわよ。脚本。あとはあなたたちで確認して。その前に、一緒にご飯食べよ?」


 そして、諒達三人は、無言で食事をする。寂しい雰囲気をどうにかして盛り上げようと翔は動き始めるが……


 「何してんの。私、うるさいのは嫌いなこと知ってるよね?」

 「知ってるが、食事は楽しんで食べたほうがより美味しいと思うぞ?」

 「楽しんだ分だけ時間は過ぎていく。その時間で小説が書けるのよ? もっと時間の使い方考えたら?

 「……そうだなぁ」


 珍しくへこんでいる翔をみた美羽は、突然笑い出した。


 「「?」」

 「いやー、翔がへこんでるとこ久しぶりに見てさぁ~、もう私、面白すぎて泣くところだったよ!!」


 その姿は、幼い子供が笑っているようで、叱りたくても叱れない可愛さが視界を覆いつくす。

 まるで、天使のよう。


 「……あのね、保健室で翔、寝てたじゃん?」

 「ああ」


 ちょっと待ってください? これって直接明かしていくスタイルですか?


 「あれってさ、私が何かしたからなんだよね。あの時私の目を見たでしょ?」

 「ああ。それが何かあんのか?」

 「あの時紅く光ってなかった?」

 「お前の目もともと赤っぽい」

 「そうじゃなくって。……私ね?分かんないんだけど、小学生の時、友達を翔みたいにしてしまった事があるの」

 「ふーん。で、その子は助かったんだろ?」

 「うん。誰かにお祓いしてもらったんだって。そしたら治ったって。」


 えーと、多分お祓いしてる人? それ僕の父かもしれないな。だって、その話聞いたことある……


 「で、その子のような状態になっていた俺がどうやって短時間で。しかも、よく分からない状態の俺を誰が治したと?」

 「そこにいる。……ねえ? 諒くん」

 「……お前なのか?」

 「黙ってないで、話したらどう? どうせ、いつかはばれるんだし。」


 ……時間の問題か。美羽さんは僕の事を知っている。それは同じ神の力を持つ者だし、これからお世話になるかもしれないから。けど、翔くんはただの人間。これからの人生を僕が壊すことはしたくない。

 そう考えると、この場で正体を明かすのはダメ。ここは尤もらしい言葉で……


 「分かりました。僕は、お父さんがお祓いをする仕事をしています。その手伝いをしているおかげか、このような事が起こった場合の対処法も知っています。美羽さんのお友達のお祓いをした人。その方は恐らくかずあき先生として本を出している、僕のお父さんです。」

 「かずあき……私その人知ってる。翔も前に会ったことがあるから、知ってると思う」

 「お、おう。あまり記憶はないけど、遊んでもらってた事は覚えているぞ」


 ん? 何故、翔くんがお父さんの事を知っている? 幼馴染に関係があるのか?

 話しながらも全員食べ終え、教室にもどるため片付け始めている所で突風が吹いた。


 「おやおやこんなところに……みーつけた。キヒヒヒヒヒ」


 黒い翼を生やした 人間のような生き物。亜人が僕をじっと見つめる。

 そして、右手を前に出し何かを呟く。


 (あの手、何処かで見たような……、まさか!?)


 「死んでねー奴いた。執行」


 と一言。僕の目の前に向かって手のひらから発生した禍々しい球を放つ。逃げても逃げても追ってくるそれは、追尾弾のようだ。

 

 「翔、美羽、校舎に避難しろ! 急げっ!」

 「お、おう!」


 美羽は何が起こっているのか分からない状態で口がパクパク動き足がすくんでいるようだが、翔がお姫様抱っこで、なんとか屋上から離れる。

 そして、屋上には一人と一体。


 「さてと……、やっと会えたな。この野郎」


 諒の呟きと同時に神の力が解放され、薄花色の髪に黄色掛かった目、そして藍色の準礼装。あの時なかった刀が腰にあり、戦闘形態といった形で顕現する。

 その姿に一瞬ひるんだのか、亜人の追尾弾が小さくなる。それを見逃さず、居合い切り。更に間合いを詰めて、

 「貴様、遅くて練習にもならんぞ」

 という言葉を込めた縦薙ぎを一線。

 緑の液が飛び散り相手がふらついた所で後ろに回り、空中から屋上に向けてけり落とす。そして、スサノオに連絡。

 秒もかからないうちに亜人の周りに小さく可愛らしい小人が現れ、方陣を作り出して気絶した亜人と共に消えた。

 そこからは元の姿に戻り教室に行って、いつも通りの時間を過ごし、家に帰った。

 

 「……あいつ、弱かったなー……」


 この世は色んな生き物がいる。時には人を助け、時には人を殺し。

 それが運命だとしても、それを拒むのが人というもの。

 一度死んでいる身であるが、もう一度死んでしまう可能性も無くはない。

 僕は一体、いつまでゆっくりしていられるのだろうか。

 

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