1-#はじまり
こんにちは。
相模原理乃です。
今日から中学二年生。
と言っても特になんか変わった訳でもない。
今日も何もない一日。
好きな人がいたら何もないはずもないのにな。
まぁ、人を好きになるってよくわかんないし、やっぱり何もないんだな。私って。
そんな事を考えていたら誰かが私の名前を大声で呼ぶ。
「りーーーのーーー!
もう朝だよーーーーー!」
「うわっ」
今私を呼んだのは元クラスメイトの古賀千夏。
よく恋愛相談に乗ってもらってて、すごい優しい子。
「ねぇ理乃ー?いい加減起きよ!」
「知ってますー!」
今どういう状況なのかを説明すると、
当番で、朝食を作り終えた千夏ちゃんが私を起こしに来た。
ここで察した人もいるかもしれない。
千夏ちゃんと私は家が隣同士だ、と。
しかし、それは違う。
千夏ちゃんとその他数名の元クラスメイトと私はシェアハウスしていて、そして一緒に住んでる千夏ちゃんが起こしに来てくれたのだ。
「ほら、朝食出来たから早く着替えてから降りて来て!」
「うーい」
早く着替えた後、綺麗な螺旋階段を降り一階に向かう。
このシェアハウスのメンバーは同じクラスの子の中で学校側が決め、一年間いじめなど重大な問題が起こらない限り、変更はない。
しかも、皮肉なことにこのメンバーでグループワークなども全部やらなければならない。
ぶっちゃけ好きな人と一緒になれたら超幸せなシステムだけど、嫌いな人と一緒になったらクソみたいなシステム。
まぁ好きな人はいないし、嫌いな人とは一緒になってないから別にいい。
今日は新クラスの発表日。
私は今まで普通科だったけど今日から特進科になる。
階段を降りると、朝食をのんびり食べてるメンバーや既に学校に向かったメンバーがいる。
「よぉ理乃!Good morning!」
「あーおはー」
「相変わらず冷たいなお前」
「え、そう?」
今話したのはトム・ロドリゲス。
アメリカから来たらしい。
だからなのか、英語の成績が良く先生にも特進科へ行くことを勧められたが断ったらしい。
「私はまだ眠いの。トム。」
「とか言っちゃってー」
「いや眠いから」
「もー二人ともさっさと朝食食べて!」
「まだ朝の5:30だよ!?早すぎない!?」
「いや、先に行った2人はどうなるんだよお前…」
「きっとせっかちなんだよ」
そんな世間話をしながら朝食を食べる。
今日の朝食はもちもちとした食感のご飯とピリッとしてしょっぱい塩をかけた鮭。
そして味噌汁は豆腐、わかめオンリーのシンプルにも程があると言いたくなると思われるが、なんとこの味噌汁、びっくりするぐらい美味しいのだ。
今日の朝食当番の千夏ちゃんが頑張って作ってくれたから余計に美味い。
「千夏ちゃん…いつもこんな美味しいご飯を作ってくれてありがとう…」
「理乃ちゃんほど酷くはないけど私なんてまだまだだよー」
「理乃が作った朝食くそまずい」
「あーもー二人ともうるさいなぁー!」
ちなみに私が過去に作った朝食は、
・コンビニの鮭おにぎりを皿に綺麗に盛り付けたもの
・パンケーキ(形めっちゃ崩れてる)
・チョコレートとは思えないようなチョコレート
一個目なんか最早作ってないが当時、何かを察したみんなが気を使って「今日のおにぎり、形綺麗だね!」と褒めてくれた罪悪感を私は未だに覚えている。
とか思い出してるうちに朝食を食べ終わった。
「ご馳走さまでした。」
「はーい!」
「千夏ちゃん、今まで朝食作ってくれてありがとう。トムもありがとう。」
「いえいえ!こちらこそ…いや、本当にありがとう!」
「You’re welcome!」
「じゃあ…行ってきます!!!
一年間ありがとう…!」
「また、学校とかメールとかで話そう!!!!!」
「次のテスト勝つからなー!」
「「行ってらっしゃいーーーーー!」
転校する友達を見送るように2人は別れの言葉を言った。
今日はクラス替えの発表日であることと同時にシェアハウスメンバーの発表日。
だから転校する友達を見送るようになるのかもしれない。
そんな2人を後にして綺麗に整備されてる通学路を歩く。
なんて、
私は呑気すぎた___
今からおよそ30分後、自分のクラスのメンバーに“あの人“がいると知っていたらもう少し速く歩いていたかもしれないのに___
2-#新クラス