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蛍火鳥と東雲  作者: 朝憑 真
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覚醒


体の節々が痛い…

あれ、目の前が急に明るく…


「うわっ!!」


飛び起きると、そこは夜の学校の保健室だった。

今週2回目の意識不明とかヤバくない!?

なぜか服もボロボロ…最悪だ母さんに怒られる。


「起きたのか!もう死んだかと思ってたぜ!」


そこで、俺と同じように破れたりしてボロボロな制服を着た大智が入ってきた。


あ!…そうだ、俺屋上で柵を破壊して落ちたのか!

一気に背筋が凍り、顔が真っ青になった。

「なんで俺生きてんだ…?」


「あなた、覚えてないの?」


「うわぁあ!!びっくりした!!」


叫ぶと頭が痛い。

部屋の端っこに、なにか本を読んでいる蔵野がいた。屋上での出来事を思い出すと、身の毛がよだった。


「なんでここにいる!?あと、屋上で、何が起こってたんだよ!あのメガネは!?」


「今から説明するわ。…いえ、しないといけなくなったのよ」


俺と大智は頭にはてなマークが浮かんだ。


「まず篠原くん、この肝の小さい子に説明してあげて。どうやって助かったのか」


カチンとくるが、怒りより大きく興味がわいた。

大智の顔は少しだけ真剣になって、笑いながら言った。


「俺はお前を追って落ちたあと、地面を動かして、そばの木を持ってきてそれをクッション代わりにしてダメージを和らげたんだ」


…はい?


「その後、私が騒ぎになる前に運んだわ」


いやいや何言ってんだお前ら、なんのドッキリだ?2人はグルなのか?


「まさか、お前知っててあんな怯えたふりを」

「ちげえよ!」

「…じゃあなんで屋上から躊躇なく飛び込めるんだよ!」


「うるさい二人とも。篠原くんはその時"目覚めた"の」


「「目覚めた?」」


「息がいいのね、幼馴染か何かかしら」


「「ちがう!」」


「さて、篠原くん。今から本題に入るわ。笛田くんも聞いて」


俺は聞くに決まってんだろという表情で、大智は少しわくわくしているような顔で、

二人は静かにベットの上に座った。



「私は魔法使いよ」


はい?


「この世の森羅万象には、精霊が取り付いているの。日本の八百万の神様というものもそれが元となっているわ」


「精霊たちは気に入った人間を見つけると、興味本位で力を貸してくれるのよ」


「こんなふうに」


と、

蔵野は何もないところから手品のようにキラキラ光る円形の物体を出した。

その中は黒く、まるで絵の具で塗りつぶされたように現実味のない色をしていた。


「わかるかしら?」



全くわからん。


何を言ってるんだこいつは?

俺は全く理解が出来ていない。精霊?


目を擦ってから、篠原の出した光の円を見た。…バッチリ見えてる。しかもちょっと浮いてる。


現実で見せられたものは信じるしかない。蔵野の淡々と語られる物事に、信ぴょう性は確かにあった。

俺は、腑に落ちないまま心のどこかで納得した。


大智は両手をじっと見ている。

そしてそのまま近くの植木鉢に手を伸ばした。


「よく分かったわね。あなたと今一緒にいるのはきっと大地の精よ」


「見えるのか?」

大智が聞く。


「精霊は人には見えないわ。でもすぐ推測できる」


大智は全精力を込めて植木鉢に両手を伸ばして、ぷるぷるしている。


「何も起きねーじゃん」


「いやいやこっからよぉ!」


「何してるのよ。誠心誠意を込めてきちんとお願いしないと」


「そんなもんなのか!?」


すると大智は、一旦大きく深呼吸した。その後両手を植木鉢に向けて、目を閉じた。


その時、植木鉢の中の土が浮き出した!!

驚く間も無く、そのまま超スピードで俺の顔に激突した!


「ぐえええ!!!」


「はーははははは!どうだ!すごいだろ!…はー、疲れた…」


「ボコボコにしてやるぅぅううう!!」


俺が大智に掴みかかろうとすると、その間に篠原が円を突き出した。


ゴクリ


刃物より鋭い輝きは俺と大智に息を飲ませる。


「それ、片付けて置いてね」


「「…はい」」







「もう遅いから、一旦帰りましょ」


土を外まではらいに行って戻ってきてすぐなのに、意外な提案だった。


「そうだな、俺もAliceちゃんの録画見ねえと」

大智曰くAliceちゃんとは、今時代を風靡する人間離れしたアイドルの事だ。知らない人はまずいない。…と言っても、旅行に行ったまま行方意不明だとか。


「いやいや。俺、このまま消されるのかもとか思ったのに」


「…私の役目は、姉に変わって精霊の力をきちんと伝えることだから。只の代行よ」


…蔵野先輩のことか?

ふと屋上での問いかけの意味を聞きたかったが、蔵野のどこか寂しそうな顔を見ると何も聞けなかった。


「最後に2つだけ。1つは生徒会には注意しなさい」


「「生徒会?」」


「あの眼鏡が生徒会だからよ」


俺は今日初めて心から納得した。


「もう1つは篠原くんのその力、姉は魔法と言っていたけど…それを無闇やたらに使わないで。あと笛田くん」


篠原は俺の横を通り、小さな声で言った。


「まだ篠原くんに感謝の言葉を言っていないでしょう。あなた、死ぬところだったのよ」


俺はポカンとして、さようならと去っていく蔵野の背中を見つめた。


「創、なんて言われたんだ?」


「大智…助けてくれてありがとう。お前すげえよ」


大智は驚いていたが、すぐに照れくさそうに当たり前のことだと言って、嬉しそうにした。


蔵野のやつ、実は良い奴なのかもしれない


ご覧いただきありがとうございます。


最近、某作品の映画化再びにガッツポーズしました!やったぜ!!


そうですね、みんなの最近のマイブームでも発表します。

蔵野さんは読書、篠原くんは紅茶集め、笛田くんはサボテンを育てることです。部屋の机に飾ってます。

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