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この作品には 〔ガールズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。

もしもマッチ売りの少女が油売りの少女でもあったら

作者: 鷹枝ピトン
掲載日:2017/12/03

題名から先に思いついたやつです。

もしもマッチ売りの少女が油売りの少女でもあったら。


 少女は、名をアリサといいました。裕福ではありませんが、優しい両親に愛情をもって育てられた彼女は、とても良い子に育ちました。


 お菓子を貰えば、母親と半分こにし、掃除を頼まれれば、埃ひとつ残さない。とってもいい子です。


 そういういい子というものは、年齢に応じてアップデートしていかなければいけません。例えば、お金を貸して、というお願い。これは、しっかりと断る話術が必要です。ただただいい子、というのは、相手からすれば、利用しやすいだけ人間なのです。


 しかし、アリサは、純粋無垢で、十五歳になっても頼まれたことは断れない女の子になってしまいました。アリサは可愛い少女です。このままでは、わるーい男に騙されて、あんなことやこんなことをさせられてしまうでしょう。


 そんなふうに、周りからよく心配されるアリサですが、この冬、バイトを始めることになりました。マッチ売りのバイトです。

 やめとけ、やめとけ、と周囲が止めるのも聞かずに、なぜアリサがバイトを始めたのか。それは、クリスマスに、彼女へプレゼントを贈るためです。


 そう、「彼女」です。現在、アリサは、女の子と交際をしています。


 男に騙されやすいアリサですが、実はそのまえに女の子に捕まっていたのです。


 同性に告白されたアリサ、さすがにこれは断ろうとしたのですが、土下座されては、首を横に振れません。こうして、ふたつき前から交際がはじまりました。


 本意ではなく始まった関係ではありましたが、案外楽しく付き合うことができ、今回のバイトでプレゼントを買ってあげようというのも、強制ではなく、アリサ自身が決めました。






AM.8:00


 そして、バイト初日。今日のノルマ分のマッチ箱を受け取り、さっそく街頭へと繰り出します。アリサの小さなからだには、マッチ箱を詰め込んだバスケットは大きすぎに見えてきます。こんな、か弱き少女が寒空のしたでマッチを売っていたら、道行く人々は振り返り、気づかぬうちに、財布を懐から出してしまうでしょう。


 ところが、アリサはこの町で最もひとが行きかう広場へすぐにはたどり着くことができませんでした。マッチの山を抱えて、さあ、お仕事お仕事、と意気をこめたところで、ホームレスに呼び止められたのです。

 

「よお、お嬢さん。あんた、このみずぼらしい老人に、火をくれる気はねえかい」


 アリスは、箱入り娘です。浮浪者がいる小道は、普段通させてもらえませんでした。ゆえに、このようなおねだりへの対処法がわかりませんでした。無視するのは、気が引け、どうしようかと、おどおどと足踏みをするのでした。




 おどおど。



おどおど。



おどおど。


 驚くなかれ、この足踏み、実に三時間行われました。浮浪者は、寒さに凍えました。少女が目の前から立ち去らないので、ほかの通行者にせびることができなくなったのです。


 耐えきることができなくなった浮浪者は、懇願しました。はやくどこかへ行ってくれ、と。少女は、頼まれれば断れません。マッチ箱をひとつあげると、その場をあとにしました。







AM.11:00


 石畳をスキップしながら、広場を目指します。


 露店を通りかかりました。そこで、店を構えるひとりの女に、声をかけられました。


「あなた、悪い相がでているわね」


 女は、フードで顔を隠していました。占い師でしょうか。


「そうね……おぞましいものが、ついている……なんなのかしら、生霊……?」


 アリサは、気味悪がりました。


「ちょっと、こっちに来て。お祓いしてあげる。タダでいいわ」


 頼まれたら断れないアリサは、占い師のもとへ駆け寄りました。女は、すっと分厚い本を取り出すと、呪文を唱え始めました。


 二時間が経過しました。女は、からだを震わせながら、呪文を唱え続けています。アリサは、しっかりとコートを着て防寒していましたが、占い師の女は発汗し、寒気が襲ってきているようで、くちびるが紫いろになってしまいました。これはルージュの紫ではありません。天然カラーです。


「……汝に憑りつくものよ、去りなさい!!! 」


 女が叫びました。そして、こと切れたように、卓にばたんと倒れます。


「は、祓えない……。強すぎる……」

 

 アリサは、自分に憑りつくものが、自称占い師を破る強さを持つと知り、なんだか誇らしくなりました。アリサは、占いを信じていませんが、守護霊は信じているのです。森にすむ祖母の影響です。


 ぴくりともしなくなった女の顔の横に、アリサはマッチ箱をひとつ置きました。結果はともかく、この女性は、自分のために頑張ってくれたのです。お礼をするのは当然のことです。一礼すると、アリサは、その場を立ち去りました。







PM.1:00


 石畳をスキップしながら、広場を目指します。


 と、そこへ消防士たちが慌ただしく通り過ぎます。この時期です。暖炉をつかうなら、家事には気をつけなければなりません。マッチを売る少女にとって、火の事故は他人ごとではありません。消防士たちの後ろ姿をみて、アリサは、自分のしていることは、武器商人と同じくらいに罪深いことなのではないか、と思い悩みました。


 そこで、アリサは教会によることにしました。東の教会には、優しいシスターがいます。彼女に相談して、悩みを解決したことは、何度もありました。


 しばらくして、教会につきます。扉をノックすると、シスターがなかから顔を出しました。なにやら、額に汗を浮かべ、服が乱れています。古い教会です、おそらく修理をしていたのでしょう。


「あら、アリサちゃん。こんにちは。もうお昼ご飯は食べた?もしよかったらご一緒しない?」


 そういわれて、アリサはおなかに手を当てました。からだは正直です。腹の虫が、かわいい音色を奏でました。


 なかに招き入れられたアリサは、ちょっと待っていてね、といわれたので、ちょこんと椅子に座りました。シスターは、荒い息のまま、奥へ戻りました。


「ほらっ……! ひと来たからっ……! もう、帰ってよ!」


「おいおい……まだ途中だろぉ? 最後まで楽しもうぜぇ? 」


 なにやら二人分の声が聞こえてきます。シスターのほかに、だれかいるのでしょうか。男のひとのようですが……。


「ちょっと! 裏から帰ってよ! 」


「はいはい……」


 ほどなくして、シスターがスープとパンを持ってきました。楽しい食事の始まりです。


 パンをちぎりながら、アリサは、シスターに相談を始めます。マッチ売りのバイトをすることは、火事が起こるきっかけをつくっているのではないか、と。シスターは目をぱちくりとしながら、考えます。


「アリサは純粋なのねぇ……そんなこと、考えもしなかったわ」


 そう、アリサは純粋なのです。なので、食事前のはずなのに、シスターの服にシミがついていることに気が付いても、味見の時につけたのだと解釈しました。


「あのね、アリサ。でもマッチを売ることは、ひとの役にたつことでもあるのよ。温かいこのスープを作るときも、私はマッチを使ったわ。火事になることもあるかもしれないけど、それ以上に、火というのは、人を幸せにするものなのよ」

 アリサは、スープに目を落とします。豆のスープ。とろみが絶妙で、温かく、とてもおいしいです。たしかに、いま、アリサは幸せでした。


 ご馳走様をいったあと、アリサは今日あったことも話してみました。ホームレスにたかられたこと、占い師に絡まれたこと。シスターは、面白い体験をしたわね、と笑います。


「アリサ、あなたはとてもいい子よ。でもね、大きくなるには、いろいろ嫌な部分をみて、受け入れていかなければいけないのよ……」


 意味深なことをいうシスターです。その顔は、悟っているようで、どこか悲しそうでした。アリサは、マッチ箱をひとつ、シスターにあげることにしました。今夜は、彼女にあったかい幸せに包まれてほしいと思ったからです。


 シスターは、アリサを強く抱きしめました。


 少し、湿っていました。







PM.3:00


教会を出ると、西のほうに、煙が上がっていました。露店の方向です。飲食店もあったので、どこかがボヤ騒ぎを起こしたのでしょう。アリサは、マッチ箱に目を落とします。


 マッチは、人を不幸にすることもあるかもしれない。でも、それ以上に、ひとを幸せにするのです。アリサは、決心して、広場のほうを目指しました。


 再び、露店街を通り過ぎます。占い師の女を探しましたが、見つかりませんでした。もう店を閉めたのでしょうか。


 火事の野次馬で、人混みができています。バスケットを頭の上にのせ、アリサは一生懸命に前へ進みます。


「あ、アリサ!」

 

 突然名前を呼ばれ、アリサは肩を震わせます。振り返ると、そこには、恋人の女の子がいました。

「あの、アリサ、えっとね。えーと……うん!今日も可愛いね!」


 照れてしまいます。アリサは、頬を赤らめます。でも、アリサの恋愛対象は、ふつうにオトコノコです。彼女に明かしていませんが。


「バイト、してるんでしょ?えへへ、ひとづてに聞いたの。……手伝って、あげよっか?」


 思わぬ提案に、アリサは驚きます。でも、自分やることに意味があるのです。アリサはその申し出を丁寧に断りました。


「そっかあ……。そとは寒いから、風邪ひかないようにねっ」


 彼女は、マッチを五箱ほど買ってくれたあと、手を振って見送ってくれました。そして、アリサとは反対方向に走っていきました。


 友人にするなら、これ以上ないほどいいのですが、アリサは、自分の置かれた立場を考え、苦笑しました。







PM.4:00


もう、夕焼けも沈むころ、アリサはようやく広場にたどり着きました。閑散としています。いつもは、仕事終わりの人々が足をせかせかと動かしているのですが、今日は少ないです。


 ピタッと頬の一点が急に痛くなり、アリサは何事かときょろきょろしました。上を見上げると、白い粉がふわふわとこちらへ向かって降りてきます。


 雪、です。さっきのは、冷たい感覚だったようです。はああ、とアリサは溜息をつきます。


 さすがに、疲れました。アリサは、その場に座り込みます。いまから、バスケットに詰まったマッチを売りきらなければいけない。そう考えると、気が滅入ります。


 たまに通り過ぎるひとの目は、前だけを見ていて、アリサのほうをちらりともみません。アリサは可愛い女の子ですが、まちでマッチを配るとなると、それは通行を妨げるだけの存在に成り下がってしまうのです。


 チラシを配る人、ティッシュを配る人。そのようなひとたちは、路傍の石のように認識されてしまうのが、悲しい現実なのです。たとえ、凍えながら頑張っていても、通行人はその気持ちを知りません。興味がわかないのです。



 真っ暗になり、街頭に明かりが灯り始めました。雪は、だんだん積もってきて、ブーツをはいたアリサでも、つま先の感覚がなくなりつつあります。はやく、仕事を終わらせなければ、帰れません。


 バスケットのなかには、たくさんのマッチ箱が入っています。アリサは、寒さに耐えきれません。それなら、一つくらい、使っても、神は許してくれるのではないでしょうか。


 アリサはマッチを一本取り出し、火をつけます。じゅぽっと音を立て、小さな火種が生まれました。ゆらゆらと揺れる火の先に、心が奪われます。温かいだけでなく、美しい。自分は、こんなにいいモノを売っていたのだと気が付き、アリサの罪悪感は消え去りました。


 火が消えます。視界が暗くなり、現実に引き戻されました。手に持った燃えカスが、ポロリと地面に落ちました。


 はっとして、辺りを見渡すと、一面が雪景色です。ひとはまったく歩いていません。


 このまま帰っては、お給料をもらうことはできません。売り物を使うのは、心苦しいですが、まだ粘ります。かじかんだ指先を動かし、再び火をともします。


 温かい。それは、幸せなことですが、同時に眠気が襲ってきます。とろんとした目で、火を見つめていると、アリサは幻覚が見えてきました。


 ゆらりと揺れるひのなかには、恋人の女の子が映りました。にこにこと笑いながらこっちに駆け寄ってきます。その手には、夜通し編んだというマフラー。アリサのために編んだそうです。


悪い子ではないのですが、彼女はアリサにとって、悩みの種でもあります。近所に住むもの同士で、縁を切ることはできないので、これからも付き合っていくのでしょうが……。

 

 こんなふうに、極限状態で、彼女の姿が映るということは、頭が、彼女のことで、いっぱいだということです。アリサは、なんだか、それはよいことではない気がしてきました。。もしかしたら、プレゼントを買おうと思いついたのも、本当は彼女のご機嫌取りをしようとしただけなのかもしれません。彼女は嫉妬深く、構ってあげないと激昂するのです。



 がくん、と首が落ちます。そこで、目が覚めます。


「君、大丈夫かい?」


 そこへ、男性が話しかけてきました。心配そうに、アリサの身体を支えます。


「こんな寒い日に、遅くまで……。あれ、もしかして、きみ、マッチを売っているということは……アリサちゃんかい?」


 自分の名前を言われ、目が覚めます。目をごしごしとこすり、男の顔を見ますが、知らないひとです。どういうことでしょう。


 よく見ると、男のひとは、自警団の服を着ています。


 アリサは、男に抱きかかえられます。


「まずは、君の家に帰ろう。明日、改めて伺うよ。話を聞きたいからね」


  意味の分からないことをいわれ、アリサは混乱します。しかし、大人の腕のなかというのは、大きく温かく……。







AM.8:30


目を開けると、そこには見慣れた天井がありました。からだを起こすと、上に乗っていた布団がずり落ちました。そこで、冷気を予想したのですが、部屋のなかは温かく、朝から暖炉に火を焚いているのがわかりました。


「やあ、おはよう。可愛い寝顔だったね」


 ぼんやりとしながら、首を横に向けると、そこには、昨晩の男が椅子に座って本を読んでいました。


「朝ご飯が用意されていたよ。食べたら、君の友人のことで、話をしようか」


 友人、誰の事を言っているのでしょう。状況が飲み込めません。アリサは、目をこすりながら、ベッドから降ります。

 ぴんときていない様子のアリサを見て、男は、なにかに気が付きます。ああ、そうか、間違えた、と納得したようです。


「友人ではなかったね。そうそう。彼女は、君の、恋人だったね」






「昨日、街のいたるところで、火事が起きたのは知っているね」


「はい……」


 アリサは、ホットミルクを入れたコップを傾けながら、頷きます。

 

「消防団が向かってみると、燃えていたのは、建物ではなかった。刺激が強いことを、言うが……そこでは、『ひと』が、炎に包まれ、煙を上げていたんだ」


 男が、ポッケから、何かを取り出し、アリサに見せます。


「これは、君が売っていたマッチ箱だよね。……実は、これがすべての現場に落ちていたんだ」


「…………」


「最初の被害者は、ホームレスだった。君の雇い主の家の近くの路地に住む男だ。消防士たちがたどり着いたころには、もう全身が真っ黒だったよ。そして、次は、占い師の女。彼女はみるに堪えなかったそうだ。悲鳴を上げながら、地面に転げまわり、水をかけたが間に合わず、絶命した」


「……そのふたりには、会いました。そのとき、マッチ箱をあげましたけど、私が二人を殺したなんてこと、していません」


「そのとおり。君は、マッチ箱を現場に置いていっただけで、なんの罪もない。それはわかっている。犯人はもう捕まって、自供しているのだからね」


 アリサは、だんだん話が飲み込めてきました。男は続けます。


「そして、最後の放火は、街の東にある教会で起きた。なかにいたシスターは、偶然来ていた友人の男に助け出され、軽いやけどで済んだそうだ。そして、そのときだ。男によって、放火の犯人は、取り押さえられた」


 喉を通るミルクは、のど越しが悪く、いつまでも残ります。ねばりつくような気持ち悪さが、アリサを覆いました。


 しかし、アリサは耳をふさぐことはしませんでした。


「犯人は……君の、恋人だ。君のあとを付け回し、数時間留まっていたところに、火を放っていた」


 アリサは、目を閉じ、大きく息を吸い込みます。そして、深く吐くと、気持ちを落ち着けます。


「そう、ですか。彼女は、なぜそんなことを……?」


「何故だと思う?」


 聞き返され、アリサは少し考えます。


「彼女は、嫉妬深い性格でした……。わたしが仲良く話していた相手を許せなかったのではないですか?」


 男は、ふっと笑います。


「いや、悪い。あまりにも予想通りの発想でな。そうだよな。嫉妬深い恋人。狂っている人間。そんなやつの動機は、大体そんなところだろう」


 だが、と男は言葉を区切ります。


「君の恋人は、もっと君想いだったんだよ」


「どういうこと、ですか」

「アリサ。昨日は寒かっただろう」


「はい……」


「火があったら、幸せだったろう」


「……なにが、いいたいんです?」


「ふん、なんてことのない話さ。あの子は、君のためを思って、町中に火をつけて回ったんだ。暖かくなるように、ね」


 アリサは、ホットミルクを飲みほしました。その温度は、すこし、冷めていました。













 十年が経ち、アリサはこの男と結婚することになりました。男は、自警団長になり、生活は安定していました。これから、幸せな生活を送る。アリサは、胸を躍らせながら、男と腕組みをしながら、教会に向かいました。


 教会のシスターは、代替わりしたそうです。アリサと仲のよかったあのシスターは、いまは引退して、男とともに街で果物屋さんをやっています。気のせいか、彼女はバナナの皮をめくるのが、シスター時代よりうまくなっていました。


 今日の結婚式には、その元シスターが、かごに果物をいっぱいに詰めてお祝いに来てくれるそうです。アリサは、男とともに、はやめに教会について、準備をしていました。


「あなた、今日はとってもいい日ねっ」


「ああ、そう、だな」


 男は不安そうな顔をしていました。アリサが訳をきくと、十年前、捕まったアリサの、元恋人が、南の監獄に移送されるというのです。もし、彼女が脱走すれば、ここにやってくるのではないか。男はその心配をしていたのです。


「……大丈夫よっ。心配しすぎっ!今日は、世界で一番幸せな日なのよ!そんなこと、おこるはずがないわ!」


「そう、だよな……」


 そこへ、ドアをノックする音がしました。


「すみません!手が塞がっていて、どなたか開けてくださいませんか!」


 アリサは、不安を振り切るように、扉のほうに走ります。


「きっと、先代のシスターよ!果物を腕いっぱいに持ってきてくれたんだわ!」


 扉を開けると、そこには、シスター服をきた女が、バスケットを抱えて、立っていました。荷物が重いのか、うつむき加減で、顔は見えません。


「……あれ」


 アリサは、違和感に気が付きました。果物をもってきてくれるのは、『元』シスターのはずです。彼女が、シスター服を着ることなど、もうないはず……。


 女が、バスケットから小瓶を取り出し、中の淀んだ液体を、アリサにかけます。


「きゃっ……!! これは……あ、油?」


 女が、顔を上げます。


「いっしょに、あったかくなろう……?」


 女の手には、マッチ棒がありました。十年前、アリサが売っていたものと、同じです。







 じゅぼっ。





火の中に、あの子が映りました。





お時間を奪ってしまい、申し訳ございませんでした。

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