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波原刑と私の関係  作者: 也麻田麻也
第2章 十鳥日向子と依頼
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第34話

 白石が犯人だった場合、刑に殺すことが出来るのか不安になった。


「これで白石が人殺しも厭わないやつだったら、実力的にも犯人決定、捜査終了なんすけどね。残念っす」と言うと、「はぁ」と、嘆息し頭をかいた。


 残念がる犬山とは裏腹に、私としては、化け物である白石が犯人でなければ嬉しいと言える。


「あっ、それから鶴賀と白石なんすけど、四時間目が自主だったから、先生がプリントを配ってすぐに、屋上に行ったらしいっす」


「二人でですか?」


「白石は鶴賀の護衛っすから、常に一緒に行動してるんすよ」

 二人一緒に行動していたという事は、鶴賀と白石は犯人ではないのか。

 少し安心した自分がいた。


「でも怪しいですね。なぜ屋上にいったんでしょうか?」

 二人がいない時に偶然事件がおきたと考えると、都合が良すぎる気がした。


「屋上に行った理由はこれっすよ」

 犬山は口元に人差し指と中指を持ってきた。一見ピースサインのようにも見えるが、この場合何を意味しているのか分かった。


「タバコですか」


「うちのクラスでは室内の喫煙は禁止っすから、鶴賀はいつも屋上で吸ってるんすよ。今回みたいな自習の時は、授業が終るまでは戻ってこない事が多いんすよね」

 普通の学校では、室外だろうと未成年の喫煙は禁止だろう。

 

 お酒もタバコも二十歳から。


 しかし、鶴賀と白石がいつもどおりの行動を取っていたとなると、都合がいいとは言えないか。

 

 アリバイがあるのは間違いなかった。

 

 となると、容疑者は犬山を入れて四人に搾れたことになる。

「アリバイがある以上、二人は白ですね」


「そうはなんないっすよ。鶴賀と白石のどちらかが庇っている可能性もあるっすからね。ほら家族や恋人の証言は、アリバイにはならないのと一緒っすよ」


 犬山が協力者で本当に良かった。

 ミステリーの知識も、情報提供者としての情報量の多さも助けになった。

 ミステリー小説の刑事が名探偵を味方に付けたような気持だ。


 つまり、心強いということだ。


「この場合、三つの可能性があるっす」

 名探偵は指を三本立て、推理を展開した。

「第一に、今言った鶴賀と白石のどちらかが犯人で、どちらかがそれを庇っている」

 指を一本折る。

「第二に、二人とも犯人ではない。さっきも言ったっすけど、白石は化け物っす。その白石がいないタイミングを狙って、犯行を及んだパターンっす」


 事件が起きたとき、鶴賀達がいないことを都合が良すぎると思ったが、逆に考えると納得がいく。

 腕利きの護衛がいるのと、護衛なしではどちらの殺しが楽か。

 答えは簡単だ。


 犬山は二本目の指を折る。

「そして第三に……これが一番可能性が高いっすね」


 私は思わず、ごくっと唾を飲み込む。

 名探偵が可能性が高いといっているのだ。

「……」

 緊張が走る。


「鶴賀、白石の二人とも犯人であるパターンっす」と言うと、最後の指をたたむ。


「……なるほど」と、私は頷く。

 犬山の言うとおり、その可能性は高そうだった。

 十六人殺せる技量がある二人が――鶴賀はギリギリらしいが――手を組めば、容易に殺すことが出来そうだ。


「白石は護衛として鶴賀組に雇われているっすから、殺しを手伝えって言われたら、断われないはずっすね」


 そこまで言うと、「ふぅ」と一息つき、「あんまり先入観もたせちゃダメっすね」と続けた。


 その通りかもしれない。

 今私の頭の中では、鶴賀と白石が二人で犯行を及んでいる映像が浮かんでいた。


 まぁ鶴賀と白石の顔は分からないので、ヤンキーとイケメンを想像しているのだが。

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