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夢見城の怪  作者: イガラシイズモ
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入園

約束の日になり、遊園地内へと入った義明達。行くあてがなく、近くにあった〈ドリームハウス〉に足を踏み入れた。そこから歯車は狂い始める。

 噂や都市伝説というものは非常に奇怪で、時としてそれは変な尾鰭が付け加えられたり、少し誤った状態で知らされることがある。だから僕は全くもってオカルトや都市伝説の類は信じちゃいなかった。あの日までは……。



 この高校で妙な噂が流れ始めたのはいつ頃からだろう。もうとっくに全校生徒に知れ渡り、話を持ち出せばその話題で1日もちぎれるほどだ。


「ヨッシーアキー! あっそぼうぜー!」

「ガキかお前は」


 僕に話しかけた赤髪の男の名前は 園村 陸。

 身なりや風貌から、ヤンチャしているDQNに見られがちだが、小学校の頃にガキ大将にいじめられていた僕を庇ってくれた時からの中だ。


「僕は勉強がしたいんだ。 陸にかまってやれる時間なんて一ミクロン秒もない」

「またまたそんなこと言っちゃって〜。 あれれ? 前回のテストで5教科の内3教科も赤点とったのはどちら様でしたっけ?」

「そ、それはもう過ぎた話だろ⁉︎ 次にかけてるから! 理科と数学で僕は生きていくから‼︎」

「どうせ次もダメだって! それに明後日から夏休みだぜ? 勉強する時間なんていっくらでもあるんだからよ。 な? 一緒に遊ぼうぜ!な!」


 五月蝿い五月蝿い!

 耳元で叫ばれて耳がキンキンする。


「あーもー分かったよ……。 んで? 何すればいいの?」


 陸は 「フッフッフッ」 と鼻を鳴らして笑った。


「なんだよその不敵な笑みは」

「いや、まぁね。 人間には誰しも好奇心っつーもんがあると思うんだよ」


 心なしか嫌な予感がする。確実に面倒ごとに巻き込まれるな。


「だからよー。 明後日の夜。 一緒に峰山パークランドに行こうぜ!」


 峰山パークランド。ここら辺では最も有名な噂だ。どうにも、閉園したはずの遊園地なのに夜な夜なメリーゴーランドが回ったり、観覧車の中からうめき声が聞こえたりとどれもありきたりな内容のものばかりだった。


「なんでそんな所に行くんだよ! しかも夜に!」

「そりゃまぁいろいろ理由はありますわ。 刺激を求めてだったり、お前の怖がる姿を見るためだったり……」


 なぜ僕が出てくる。


「あとは女子もつれてこうぜ! きっと 『きゃー! 怖いー! 陸くん助けて〜!(裏声)』 とか言って抱きついてくるぜ! そこで俺がカッチョ良く 『大丈夫。 俺がいるから安心しな』 って言ってやるんだ! ぜってーモテるから!」


 陸は鼻息まじりに興奮して熱弁した。結局1番の理由はそこか。


「つってもだれ誘うよ? そんな下心丸出しで行って、参加してくれる女子なんてそうそういねーぞ?」

「うん! それならお前が行ってこい!」

「お前、即答すんなよ……」

「そんな難しいことじゃねえよ。 俺が1人女子誘うからお前も1人誘ってこい」

「お、オッケー! わかったよ! やってやるよ!」


 意地を張って了承してしまったが、ご自慢のコミュ症が発動してしまい、女子となんて話せるわけがなかった。そのまま1教科終わり、また一教科終わり、気付くともうすでに七時間目の終わりを告げる無慈悲な号令がかけられていた。このままでは本当にまずい。今度こそ陸にバカにされる。

 本当は気になっている 相川美子に声をかけるつもりだったが、止むを得ず前から少しだけ友好関係を築いてい黒木八重を誘うことにした。黒髪に高身長ですらっとしている。男子人気のトップ争いには必ず名が挙がるがる美人だ。


「意外だねー。 義明君が肝試しなんかに参加するの。 全く信じなさそうなのに」

「まさか、無理やり参加させられただけだよ」

「あ、そっか……。 義明君だけじゃないんだ……」

「うん。 そうだけど」

「あ、ううん。 気にしないで! 一応参加する人同士でスケジュール確認しよっか」

「あ、それなら僕みんなのこと集めるよ」

「はーいありがとー」


 よかった。これで陸にバカにされる可能性はゼロだ。



 放課後、教室に参加メンバー4人が残った。陸は可愛い系の女子が好みだったからか、低身長でほんわかタイプの高崎萌音を誘ったらしい。このロリコンめ


「パークの入口に夜一時に集合な。 誰かに見つかるとヤバイからパパッと入るぞ。 いいか? パパッとだぞ〜」


 タイムスケジュールは着々と進み、持ち物まで決めた。遠足か?これは。

 そこで1人、クラス外の男子が入ってきた。顔立ちはまるで女。声は明るく、女子のようだ。


「何してるのー?」

「おお! 由鶴! おめーも参加しねぇか? 肝試し」

「イヤイヤいいよ! 僕そんな怖いの得意じゃないしさ〜」

「まあまあ、そんなに遠慮すんなって!」


 陸は無理やり席に座らせて由鶴をメンバーに加えた。


「こいつ。 俺の部活仲間の六鎗由鶴。 可愛いからよ〜誘ってもいいか?」

「僕は別にいいけど。 由鶴が入ったら女子足りなくなるじゃん」

「ほら、僕が入ると迷惑でしょ? だから僕は参加しな……」


 由鶴が逃げ出そうとするのを止めるようにして教室に入ってきたのは相川美子だった。


「私が参加するわ。 これで男女三々でちょうどいいでしょう?」


 可愛らしい容姿とは裏腹に、ミステリアスなオーラを放っているギャップにはどこか惹かれるものがあった。

 この時、僕の心のテンションはおかしくなっていた。きっとこれを体で表現するとなるとここにいる全員がドン引きすることだろう。


「おっ! 入ってくれんの? よっしゃ! んじゃあこれで決まりだな! 明後日の夜一時だからな! ぜってーにすっぽかすなよ!」


 そういうお前が1番危なっかしいのだが……。

 僕は気になって美子に聞いてみた。


「ど、どどどどうして参加、しようとお思ったの?」

「ん……? 私は、萌音ちゃんがいるから……」

「え⁉︎ 本当ですか? うれし〜です〜」


 喜ぶ萌音の横て僕は盛大に肩を落とした。


今回も読んでいただきありがとうございます

最初の被害者は萌音ちゃんでしたか。一体誰がこんなことをしたのか?次々に暴かれて行く謎に期待です

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