1:doll
私は誰も信じられなかった
俺は誰からも信じられなかった
そんな私と俺の恋のお話
春。桜が咲き誇る、美しく儚い季節。道行く人が新しい出会いに胸躍らせているような、そんな顔をしている。私、颯姫桃音も、端から見たらそんな風に思われているのかな。ちっとも楽しくないのだけれど、ね。なんでかって?私は“異形”なんだって。笑わなければ泣きもしない、ただの人形。何か趣味があるわけでもなければ、面白いわけでもない。生まれたことが間違いなんだって。だから、暴力を振るわれたり、無視されたり、それくらいのことは私にとっては当たり前。そのことがおかしいと気付き始めたのは小学校に入ってから。一回、継母に聞いてみた。
桃)「ねえねえお母さん、どうしてももねはおうちではぶたれたりするの?学校ではされないよ?」
今でもなんでこんなことを聞いたのかわからない。絶対にひどいことされるってわかってたはずなのに。それでも心のどこかで、小学校の同級生が話す“お母さん”は、優しい人ばっかりだったから、きっと私の“継母”も優しいんだと信じていたからだと思う。あんなことを聞いたあの日から1週間、私は地下室に閉じ込められた。たまに継母や義姉が来て、好きなだけ私を叩いて殴って蹴った。食事なんてなかった。1週間経って、継父が帰ってきた。
父)「そんなに傷をつけちゃいかんだろ!実家に帰った時どうするんだ!」
少し嬉しかった。父の言葉のおかげでようやくみんな正気に戻って、出してくれた。1週間ぶりの外は眩しかった。無言だけれども、食事はある。自分の部屋もある。あそこより自由で快適だった。生きている感じがした。
桃)「お、お父さん!ももねを出してくれてありがとう!」
父にそういった。でも、私は忘れていた。救世主だと勘違いしていた。この人は所詮“継父”なのに。
父)「別に桃音のために出したんじゃない。俺が怒られるんだよ、全く…」
私を軽蔑するような目をして、父は去っていった。ああそうだ、私の本当のお父さんもお母さんもお姉ちゃんも、ここにはいないんだ。本当の親がどこにいるのかもわからない、顔すら見たことない。そのことがはっきりと感じられた。私はその日から、感情がなくなった。出してもらった次の日から普通に学校へ通い始めたが、私の顔や腕や足に大量にある痣を見て、みんな離れていった。誰も心配してくれなかった。むしろ、私のことを怖いと思い始めたらしい。まるで腫れ物に触るみたいに扱われるようになった。しかも、私は感情を出さない。小学5年生の時、1人の子が言い出した。
少女A)「ねえねえ、颯姫さんってさ、人形みたいじゃない!ほら、人形って笑ったり泣いたりもしないじゃん?」
この一言がきっかけで、私はみんなから“人形”と呼ばれるようになった。
こんにちは。重たくないとか言っときながら重たくなりました。自分が怖いです←
ここから、桃音ちゃんと蓮くんが出会って変わりますので!安心して下さい!
この話を考えてて…皆さんは“あだ名”はありますか?私もいくつかあるのですが、学校と習い事、同じタイミングで同じあだ名で呼ばれ始めた時はちょっとビビりました笑(ちなみに学校と習い事の友人は全く別人です)
頑張って週1ペースで更新できるように頑張ります。誤字脱字、表現のおかしい部分などありましたら、ご指摘下さい。