義母が8歳の娘を丸刈りにしたのに、夫は「家族のための厄払いだ」と言い放った
義母が、八歳の娘の髪を丸刈りにした。義弟に男の子が生まれるようにと、占い師に吹き込まれたらしい。
残業を終えて帰宅すると、リビングの床に長い黒髪が散らばっていた。朝、私が結んでやったばかりの咲良の髪だった。義母の和子はバリカンを片手に、満足そうに娘の頭を眺めている。
「先生が言ってたの。女の子の長い髪は、家の男の運を吸うんだって。これで翔太も安心よ」
咲良は赤くなった目で私を見上げ、そっと服の裾をつかんだ。
「ママ、わたしがお肉を食べなかったら、翔太おじちゃんの赤ちゃんは男の子になる?」
返事をしようとしても、喉が詰まった。娘の頭皮には赤い傷までついている。
なのに夫の健太は、眉をひそめて私を見た。
「何だよ、その顔。母さんはお祈りのつもりでやったんだ。髪なんてまた伸びるだろ。そんなに騒ぐことか?」
そう言うと、健太は母親のほうを向いた。咲良の傷には一度も目をやらなかった。
そこまで高梨家の男に運が必要なら、翔太の新居のために出すはずだった一千万円も、自分たちで何とかすればいい。
1
和子はまだ食卓に座り、豚の角煮を次男の翔太の皿に取り分けていた。占い師から、しばらく咲良には肉を食べさせるなと言われたらしい。そうすれば翔太に降りかかる災いを避けられるのだと、同じ話を繰り返している。
健太の姉、佐藤真由美も息子の悠斗を連れて来ていた。悠斗は食べかけの角煮を箸でつまむと、咲良の剃りたての頭へ投げつけた。肉は頭皮を滑り、襟元に落ちた。
「ほら、ハゲの咲良。残りをやるよ。俺みたいに頭よくなれるかもな」
咲良の箸が震えている。祖母の顔をうかがい、それから私を見た。泣き声を立てることさえ怖いようだった。
娘の前には、味の薄い白菜の煮物が一杯あるだけだった。私はその器を持ち上げ、中身を台所のごみ箱に捨てた。
「何してるの!」
和子がテーブルをたたいた。
「先生に言われたでしょう。今は肉を食べさせちゃだめなのよ!」
私は咲良を背中にかばい、床の髪、バリカン、赤く腫れた頭をスマートフォンで撮影した。健太が慌ててレンズの前に手を出す。
「何で写真なんか撮るんだよ。母さんも年なんだから、やりすぎることくらいあるだろ。外にまで話を広める気か?」
「娘がこんなことをされたのに、気にするのは世間体なの?」
健太は視線をそらした。代わりに真由美が、茶碗を持ったまま鼻で笑う。
「さすが社長さんは違うわね。母さんがちょっと髪を切っただけで、そんなに大騒ぎする?」
私は角煮の大皿を咲良の前に置いた。
「咲良、食べなさい。好きなだけ食べていいから」
「だめよ!」
和子が皿を奪おうとする。私はその縁を押さえた。
「先生に止められてるのよ。翔太が明日契約するっていう大事な時期なのに、運が逃げたらどうするの!」
「手を出さないで」
悠斗が椅子の上で泣き叫び始めた。
「それ、俺の肉だろ! 何でハゲに食わせるんだよ!」
私は皿をもう少し咲良に近づけ、健太の顔を見た。
「もう一度でも咲良を馬鹿にしてみなさい。今まで立て替えたお金、全部調べるから。借りた分は返してもらうわよ」
翔太が箸を置き、健太も伸ばしかけた手を引っ込めた。和子だけが床に座り込み、太ももをたたいて泣き始める。
「苦労して息子たちを育てたのに、年を取ったら嫁にこんな仕打ちをされるなんて! 翔太が結婚して男の子を授かってほしい、それの何が悪いのよ!」
健太は母親を起こすと、私の腕をつかんで寝室のほうへ引っ張った。
「美咲、今夜だけはやめてくれ。明日は翔太の家の話があるんだ」
健太は私の腕を引く力を強めた。
「一千万円のこと、理奈のご両親にも話してある。頼むよ」
振り向くと、咲良が寝室の扉の前にいた。パジャマを胸に抱き、フードで頭を隠そうとしている。健太の目は、テーブルに置かれた住宅の資料へ戻っていた。
私は娘の手を取って寝室に入り、鍵をかけた。リビングの見守りカメラを確認すると、午後三時半の映像が残っていた。
和子は咲良を椅子に押さえつけ、泣いて抵抗する娘の髪をバリカンで刈っていた。終わると、今度は日差しの強いベランダに連れ出して、熱くなった床にひざまずかせた。
「ちゃんと座ってなさい。悪い運をお日様に払ってもらうの。そうすれば明日の契約もうまくいくから」
画面の中で、咲良の額から汗が流れていた。膝も真っ赤だった。
私は映像を保存した。スマートフォンを握る手の震えは、なかなか止まらなかった。
2
私はさらに半月分の録画をさかのぼった。和子は壁のカレンダーに印をつけ、毎日の「お祈り」を決めていた。
朝、私が会社へ行くと、咲良のために買っておいた卵や牛乳、肉を悠斗に食べさせる。咲良には前夜の残りのおかゆを出し、食べ終わった大人の食器まで洗わせていた。カレンダーには赤いペンで「咲良の運を翔太と悠斗へ。十五日目」と書かれている。
前日の映像では、学校から帰った咲良が悠斗の漢字の宿題をやらされていた。小学四年生の悠斗はソファでゲームをしている。
「悠斗はこれから大事なことがたくさんあるんだから。そのくらい手伝いなさい。嫌そうな顔をするんじゃないよ」
咲良は書き間違えた字を何度も消していた。消しゴムを握る手の甲が赤く擦れている。
寝室の鍵が開く音がした。合鍵を持った健太が入ってきて、私の画面を見るなりスマートフォンをつかもうとした。
「母さんはあの占い師を信じてるだけだよ。咲良を傷つけるつもりなんかなかった。ちょっと度が過ぎたんだ」
私はその手を避けた。
「前から知ってたのね?」
健太は黙り込んだ。
「答えて」
「写真なら送られてきた。でも、遊びみたいなものだと思ってたんだよ」
健太は苛立ったように髪をかき上げた。
「俺だって、仕事があるんだ」
私はスマートフォンの画面を消した。目の前の男が、ひどく気味悪く思えた。
健太は急に声を和らげ、私の手首に触れた。
「美咲、明日は理奈のご両親も来るんだ。金の話だけでも、先に済ませてくれないか」
私が黙っていると、健太は声を落とした。
「母さんは田舎に帰す。咲良には、好きなウィッグを買ってやるから」
扉が少し開いた。咲良が黄色いニット帽をかぶって立っている。
「ママ、かつらはいらないよ。学校でもお肉を食べないから……」
咲良は私の服をぎゅっとつかんだ。
「そのお金、翔太おじちゃんのおうちにあげて。だから、パパとけんかしないで」
私はしゃがんで娘を抱き締めた。
「咲良は悪くない。好きなものを食べていいの。翔太おじちゃんの家のことは、大人が自分で考えることよ」
リビングから、和子がLINEのボイスメッセージを吹き込む声が聞こえた。
「聞いてよ。美咲さんったら、私を追い出すつもりなのよ。翔太の結婚まで台無しにして……。お金がある人は冷たいわねえ」
親戚のグループに、次々と返信が届いている。健太が妻を甘やかしすぎたとか、女のほうが稼ぐ家庭はうまくいかないとか、勝手な言葉ばかりだった。
真由美は和子が床で泣く写真をSNSに載せていた。「女の子の髪なんてすぐ伸びる。男の面子はそうはいかない」という文章が添えられている。
私は投稿と音声を保存し、過去の送金記録も整理した。健太は私が言い返さないのを見て、ほっとした顔になる。
「もう寝よう。明日は九時に販売センターだから。カードだけ忘れないでくれよ」
「健太。かつらを買ってやれば、咲良にしたことが帳消しになると思ってるの?」
健太は返事をせず、扉を閉めた。
3
翌朝八時には、翔太が呼んだ親戚が数人、リビングに集まっていた。深峰町からわざわざ来た人もいる。新居購入の相談に立ち会うという名目だった。
和子は真っ赤な上着を着て、ソファの真ん中に座っている。翔太は体に合わないスーツで住宅購入の書類を握り締め、その隣には婚約者の小川理奈がいた。
私が咲良を連れて出ると、和子は歩み寄って帽子を引きはがした。
「家の中で帽子なんかかぶらないの。ほら、理奈さんも来てるんだから、翔太おじちゃんにお辞儀して。お母さんにもお金を用意してもらわなきゃね」
咲良が泣きながら私の後ろに隠れる。親戚の一人が、寺の小坊主みたいだと笑った。
健太は私の肩を押さえ、小声で言った。
「ここではやめろ。理奈の家には結婚式の費用も相談してるんだ。話が壊れたらどうするんだよ」
私は咲良を寝室へ連れていき、仕事を休んで来てくれた母に任せた。リビングに戻ると、真由美がスマートフォンをこちらへ向けている。
「ほら、撮ってるからね。今日もお金を出さないって言うなら、親戚中に見せてあげる」
私はテレビのリモコンを手に取った。
「好きに撮れば。私も見せたいものがあるの」
「何よ、今度は」
昨夜保存した映像を大画面に映した。和子が咲良を椅子に押さえつけ、バリカンを頭に押し当てている。娘は息が詰まるほど泣いていた。
「女の子が運を持ってたって仕方ないでしょ! 翔太に分けてあげるの。男の子が生まれたら、あんたも役に立ったってことよ!」
続いて、日差しの強いベランダでひざまずく咲良が映った。真由美はスマートフォンを下ろし、さっきまで笑っていた親戚も口を閉じた。
理奈が青ざめて立ち上がる。
「翔太……家族思いの人たちだって、言ってたよね」
理奈は画面を指さした。
「じゃあ、これは何?」
「違うんだ、理奈! 母さんが勝手にやったことで……俺だって、ここまでとは思わなかったんだよ。結婚したら別々に暮らすからさ」
翔太が手を伸ばすと、理奈は振り払った。
「咲良ちゃんがこんな目に遭ってるのに、家のお金の話ばかり……」
理奈は翔太から一歩離れた。
「ごめん。私、結婚できない」
和子が私を指さして怒鳴った。
「美咲! わざわざそんな映像を見せて! 翔太の幸せを邪魔したいのね!」
「咲良にしたことを見せただけです」
健太まで声を荒らげた。
「もうやめろよ! 理奈さんの前で、ここまで恥をかかせて楽しいか?」
「恥ずかしいことをしたのは、私じゃないでしょう」
理奈はバッグを取って出ていった。玄関で翔太に、住宅購入のお金の出どころだけは両親と確認したい、それまでは婚約の話を進めないと告げていた。
翔太が追いかけ、親戚たちも居心地悪そうに帰っていく。さっきまで人でいっぱいだったリビングには、食べかけの菓子と冷めたお茶だけが残った。
4
その晩、家の中は妙に静かだった。健太は珍しく台所に立ち、卵入りのうどんを作って私の前に置いた。
「美咲、今日は母さんが悪かった。咲良もちゃんと専門の先生に診てもらおう。費用のことは心配しなくていいからさ」
私は箸に手をつけなかった。健太は器を少し脇へ寄せると、今度は明日の支払いの話を始めた。
午前二時半、銀行アプリの警告で目が覚めた。ログイン認証の失敗が何度も続き、高額な住宅購入関連の送金も行われていた。私は銀行のセキュリティ窓口に連絡し、書斎の金庫を開けた。
身分証明に使う書類も、結婚前に買ったマンションの登記関係の書類も、咲良の教育資金口座に関する資料も消えていた。
朝七時。健太はもうスーツに着替えていた。
「今日は販売センターに行くからな。理奈の親が資金を確認したいって言ってる。だから理奈も、もう一度だけ来ることになった」
健太は玄関に置いた私のバッグを指さした。
「カード、忘れるなよ」
私は田中弁護士に状況を送ってから、健太と販売センターへ向かった。
商談室には高梨家の面々と、理奈の両親が集まっていた。理奈は窓際で資料をめくり、翔太のほうを見ようともしない。テーブルに広げられた書類の一枚には、資金提供者として私の名前が記されていた。
担当者が立ち上がり、丁寧に頭を下げた。
「高梨様、お申し込みの際に二十万円をお預かりしています。今日は残りの資金についても確認させていただきたいのですが」
私は健太を見た。彼は書類に目を落としたまま、こちらを見ようとしない。
理奈の母親が口を開いた。
「翔太さんからは、お兄さんご夫婦が出してくださると聞いていました。でも、昨日のことがあったでしょう」
彼女は私のほうに向き直った。
「美咲さんご自身は、どうお考えなんですか?」
私が答える前に、健太が身を寄せてきた。
「とりあえず二十万円は払ってあるんだ。ここで話を壊したら、翔太が困るだろ」
「その二十万円、どこから出したの?」
健太は口を閉じた。和子が横から口を挟む。
「家にあるお金を使っただけじゃない。咲良の貯金だって、今すぐ必要なわけじゃないでしょう?」
私はスマートフォンで銀行の明細を開いた。
咲良が生まれてから、毎月少しずつ積み立ててきた教育資金。お年玉や祝い金も入れて、残高は二百四十万円あったはずだった。
ところが、昨夜のうちにほとんど全額が送金されていた。
二十万円は住宅販売会社へ。百八十万円は翔太名義の口座へ送られ、残りの四十万円も結婚準備用の口座に移っていた。
「咲良のお金を、勝手に使ったの?」
健太は答えず、以前私が利用を止めた家計用の付属カードをポケットから取り出した。
「美咲、頼むよ。今日だけは話を合わせてくれ」
カードを私の手に押しつけてくる。
「残りの一千万円も、予定どおり出してくれないか。親たちの前で恥をかかせないでくれたら、帰ってから何を言われたっていい」
私はカードを受け取り、両手で折った。二つに割れたカードを購入資料の上に置く。
「もう出さない。翔太の家は、翔太が自分で買えばいい」
和子が悲鳴を上げて座り込み、翔太が拳を握って近づいてきた。私は二歩下がり、スマートフォンで一一〇番に電話した。
暴力を振るわれそうになっていることと、娘の口座から無断でお金が移された疑いがあることを伝えた。健太の顔から血の気が引いていく。
「咲良のお金を使って、書類には私の名前まで書いた。その説明は、警察と弁護士にしてもらうわ」
5
和子は通報を聞くなり立ち上がり、私の髪をつかもうとした。騒ぎを聞いて来た警備員二人が、間に入って止める。
「助けて! 嫁が年寄りを警察に突き出そうとしてるの! 高梨家のお金を全部自分のものにして、ひどいじゃないの!」
翔太もスタッフに制止されながら叫んだ。
「美咲さん! 俺の結婚を壊して、今度は家まで買わせないつもりかよ。絶対に許さないからな!」
理奈の父親が湯飲みを置いた。
「理奈がいる前で、女性を脅すのか。君のことは、もう十分わかったよ」
私は担当者に銀行の明細を見せた。
「この二十万円、娘の口座から送られています。私も娘も、支払いに同意していません」
担当者は画面を確認し、表情を変えた。
「ほかにも送金があるんですか?」
「翔太さんの口座に百八十万円。結婚準備の口座には四十万円です」
私は明細を指で示した。
「合計二百四十万円。誰が手続きしたのか、調べてもらっています」
担当者の視線がテーブルの書類に移る。
「それから、こちらの署名も私のものではありません。書類と申し込みの記録を、そのまま残しておいてください」
「承知しました。社内の担当部署にも確認いたします」
担当者は席を外し、まだ終わっていない契約手続きを止めた。
銀行のセキュリティ窓口からは、不審なログインに使われた認証情報を一時停止したと連絡があった。送金の認証には、健太が以前使っていた家庭用の予備端末が関わっているという。実際に誰が操作したかは、これから調べる必要がある。
「夫婦の金を少し動かしただけだろ!」
健太が汗を拭いながら言った。
「翔太が困ってたんだ。盗んだみたいに言うなよ」
「咲良の学費よ。翔太の家を買うお金じゃない」
私は健太の手元にある書類を指した。
「それに、私の証明書を持ち出して、勝手に名前を使ったでしょう」
担当者が書類を片づけ始めたので、私は原本の保管を重ねて頼んだ。
理奈の母親は、娘を自分の後ろへ寄せて翔太を見据えた。
「自分たちのお金で買うって言ったわよね。子供の貯金にまで手をつけるなんて……」
翔太はうつむいた。
「ほかにも嘘をついてないでしょうね」
和子の声が急に弱くなった。
「借りただけよ、美咲。あとで借用書を書くから。利息だって払うわ。翔太の結婚がかかってるのよ……」
「借りたいなら、収入と返済計画を出して。弁護士を通して話しましょう」
私がそう答えると、和子は顔を上げた。
「深峰町の家を担保にすればいいじゃない!」
「その家、翔太の名義じゃないでしょう。持ち主の承諾もないのに使えるわけがないわ」
和子は口をつぐんだ。あの家は義父の名義で、翔太が自由に担保にできるものではない。
間もなく警察官が到着した。私は送金記録とログイン警告、署名に疑問のある書類を示し、状況を説明した。
二十万円の申し込み金については、正式な売買契約がまだ結ばれていないため、販売会社が支払った人物の確認と返金手続きを進めるという。翔太の口座に移された百八十万円と、結婚準備用に送られた四十万円は、別途返還を求めることになった。
真由美は部屋の奥に引っ込み、もうスマートフォンを向けてこなかった。健太だけが警察官に取りすがる。
「夫婦げんかなんです。家族の中の話なんですよ。こんな大ごとにしなくても……」
私は手続きを終え、書類をバッグにしまった。
「健太。咲良が泣きながら髪を剃られていたとき、あなたはあの子を守らなかった。もう一緒には暮らせない」
6
警察署から帰る途中、理奈からメッセージが届いた。翔太との婚約を解消することに決めたという。
住宅販売会社からは、申し込み時に支払われた二十万円について、本人確認と返金手続きを進めると連絡があった。正式な売買契約はまだ結ばれていない。
一方、翔太の口座へ移された百八十万円と、結婚準備に使われた四十万円については、銀行の記録をもとに弁護士が返還を求めることになった。
健太は住宅の購入費用だけでなく、マンションの管理費や保険料に充てる予定だった家計の口座にも手をつけていた。
その夜、親戚のLINEグループがまた騒がしくなった。和子は咲良の髪を剃っているときの写真を、複数のグループに送ったのだ。
「この子を見てちょうだい! 翔太に運を分けるのを嫌がってから、悪いことばかり。縁談も家も駄目になって、私まで警察に話を聞かれたのよ!」
真由美も保護者のグループやSNSに書き込んでいた。社長になった嫁が義母のすることにまで口を出し、結婚話を壊したという内容だった。
洗面所から、押し殺したような泣き声がした。扉を開けると、咲良が便器の横に座り、頭にタオルを巻きつけていた。少しでも地肌を隠そうと、何度も巻き直している。
「ママ、みんな、わたしが悪いって言ってる。もう学校に行かなくてもいい? 写真を見られたら、きっとみんなに嫌われちゃう」
私はしゃがんでタオルをほどいた。
「写真を勝手に見せた大人が悪いのよ。咲良のせいじゃない。削除してもらえるようにするから、学校も今は無理しなくていい」
娘が眠ってから田中弁護士に連絡した。投稿の日時と画像を保存し、未成年者のプライバシーを侵害する写真の削除を各サービスに求めることになった。
翌日、真由美が勤める私立学校にも保護者から苦情が入った。彼女は生徒の生活指導を補助する仕事をしている。学校に届いたのは、真由美自身が投稿した文章の画面だった。
「子供に関わる仕事をしている人が、あんなことを正当化しているんですか。学校は把握しているんでしょうか」
学校は真由美に事情を聞き、一部の業務から外して調査を始めた。真由美は泣きながら私に電話してきて、仕事を失わせる気かと責めた。私は通話を切り、番号をブロックした。
夕方、和子と悠斗が私たちのマンションに来た。和子はエレベーター前に座り込んで、通りかかる住人に聞こえる声で訴えた。
「うちのお嫁さんが娘の仕事まで奪おうとしてるの! お金があるからって、年寄りをいじめていいの?」
悠斗は玄関のドアを何度も蹴った。
「ハゲの咲良、出てこい! お前のせいで母さんが仕事をなくすんだぞ!」
私は鍵を開けず、インターホンの録画を確認して管理会社へ連絡した。嫌がらせが続いていることも警察へ伝える。
同じ階の住人たちが、騒ぎを聞いて顔を出した。
「ずっとドアを蹴ってるのは、あの子ですか? 管理会社の人に、早く対応してもらいましょう」
管理人と警察官に促され、和子たちはようやく帰っていった。寝室へ戻ると、咲良は黄色いニット帽を抱えてベッドの隅に座っていた。
「ママ、おばあちゃん、また来る?」
私は娘を抱き寄せた。
「勝手に入ってこられないようにするからね。ママもちゃんと守るよ」
7
二日後、健太が高価な化粧品をいくつも抱えて帰ってきた。私が以前から使っているブランドだった。その日は自分で夕食を作り、何度も反省していると言った。
「美咲、今まで俺が悪かった。これからは給料も全部渡す。別のマンションに引っ越そう。母さんには咲良のことに口を出させない」
健太は私の顔をのぞき込んだ。
「もう一度だけ、やり直せないかな」
私は答えなかった。台所に立つ父親を見た咲良の目が潤んでいる。私は娘の手をそっと握った。
三日目の朝、会社へ着くなり経理責任者から声をかけられた。差し出されたのは、見覚えのない電子承認の履歴だった。
「社長、取引先から振込先について問い合わせが来ています。変更した覚え、ありますか?」
担当者は承認履歴を指で示した。
「社内には決裁記録がないんです」
大口顧客から受け取る予定の売掛金、合計八千万円。それを新設された別会社の口座へ振り込ませようとする書類が提出されていた。会社の代表者は健太の遠縁にあたる男だ。
さらに提出者に関する記録には、健太とのつながりがあった。以前、会社の事務を一部手伝っていたときに手に入れた書類と印影を使い、私の署名と承認を装ったらしい。
申請の日付を確かめると、最初の口座変更届は、健太が化粧品を買って帰ってきた日に提出されていた。その夜も次の夜も、彼は咲良に絵本を読んでいた。裏では手続きが進んでいたのだ。
私は経理担当に顧客への確認を指示し、口座変更を止めさせた。会社の法務担当にも連絡し、申請履歴と関係資料を保全する。
帰宅すると、健太は咲良のベッド脇で絵本を読んでいた。私に気づくと、いつものように笑った。
「おかえり。夕飯、できてるよ」
私は持ってきた書類をテーブルに置いた。
「この振込先、見覚えある?」
健太の目が書類の上で止まった。
「……何だよ、これ」
「あなたの親戚の会社でしょう?」
「いや、それは……」
「私の署名まで使って、何をするつもりだったの?」
健太は書類から目を離さなかった。しばらくして、小さな声で答えた。
「一時的に借りるだけだったんだ」
「八千万円も?」
「ちゃんと戻すつもりだった。翔太がどうしても金が必要だって……」
「だったら、どうして私に黙ってたの?」
健太は口を閉じた。私は書類をバッグに戻す。
「会社にはもう記録が残ってる。弁護士にも相談してるから」
健太はその場に膝をつき、私の手をつかもうとした。
「美咲、頼む。俺が悪かった。十年も一緒にいたんだろ。もう一度だけ、考え直してくれないか」
私は伸ばされた手を避けた。
「咲良が泣いてたときも、そう言ってほしかった」
健太は床に膝をついたまま、顔を上げなかった。
その晩、私は田中弁護士に相談し、所有する不動産と高梨家への支出を洗い直した。和子夫妻が住んでいる旧市街の三LDKは、私が結婚前に現金で買ったマンションだ。家賃を取らずに住まわせ、生活費や管理費の一部まで払ってきた。
これ以上の任意の援助をやめ、今後の居住については正式な手続きで話し合うことにした。過去十年の送金記録も整理する。翔太の運転免許取得費用、車の頭金、結婚準備金、義父母の生活費と借金。合計すると二千五百四十万円を超えた。
すべてを返せと言えるわけではない。それでも貸付けを証明できるものや、無断で使われた可能性のあるお金は、弁護士を通じて返還を求めた。
通知が届くと、和子から真由美に助けを求める電話がかかったらしい。真由美は学校の件で手いっぱいで、母親の生活費まで面倒を見る余裕はない。翔太は電話にも出なかった。
住居についての通知が届き、和子は弁護士を介して退去時期を相談することになった。話がまとまって引っ越した日は雨で、次の部屋が決まるまで安いホテルに泊まっていたと、後から聞いた。
翔太に何度電話しても留守番電話につながり、真由美から届いたのは「こっちだって大変なの」という短いLINEだけだったそうだ。
8
離婚調停は月瀬市を管轄する家庭裁判所で行われた。健太は厚い書類の束を抱えてやって来た。数日前、翔太ともめたときについたという傷が顔に残っている。
席に着いた健太は、咲良の親権を自分に任せてほしいと言い出した。
「美咲はいつも帰りが遅いんです。娘も最近、学校に行けなくて……」
健太は持ってきた写真に手を置いた。
「今は、僕のところで暮らしたほうがいいんじゃないかと」
健太は数枚の写真を差し出した。帽子をかぶった咲良が、寝室の隅に一人で座っている写真だ。髪を剃られたあとの娘が、どれほど怯えていたか。その理由を知っているのは、ほかでもない健太だった。
田中弁護士は学校の記録、医療機関の資料、心理面の評価と見守りカメラの映像を提出した。咲良には恐怖や自責の気持ちが強く、女の子であることを理由に繰り返し貶されていた影響がうかがえた。記録をさかのぼると、問題は二年近く前から続いていた可能性もあった。
健太は書類を見るなり声を荒らげた。
「美咲! 家の中でこんなに録画してたのか? 十年も一緒に暮らして、ずっと俺を疑ってたのかよ!」
私は言い返す代わりに、保存していた音声を聞いてもらった。和子の声が部屋に響く。
「女の子は家の男のために我慢するものなの。高梨家の子なら、少しは役に立ちなさい!」
続いて健太自身の声も流れた。
「母さんは家のためにやってるんだよ。咲良だって高梨家の娘だろ。それくらい我慢できるだろ」
調停委員は健太に落ち着くよう促し、咲良の現在の生活と安全について質問した。弁護士は、親権や今後の父子交流を考える際には、咲良への影響を慎重に見てほしいと伝えた。
その日の調停では合意に至らず、私たちは単独親権や必要な保護について、続く手続きで求めていくことになった。
すると健太が紙を一枚差し出した。そこには、私が一部の返還請求を取り下げ、会社の書類の件も追及しないなら、咲良の親権を求めることはやめると書いてあった。
田中弁護士は紙を確認し、手元に残すよう目で合図した。
裁判所を出ると、健太が駐車場まで追いかけてきて車のドアをつかんだ。
「美咲、十年も夫婦だったのに。俺から何もかも奪うつもりか?」
車内では、心理相談を終えた咲良が私の母と一緒にアイスクリームを食べていた。私は健太に向き直る。
「咲良が傷ついたとき、あなたが誰をかばったか、よく覚えてる。あとのことは弁護士と話して」
午後、私は咲良をデパートに連れていった。娘は薄いピンク色の毛糸の帽子を選び、鏡の前で伸び始めた短い髪をそっと触った。
「ママ、わたし、もう悪い運を持ってる子じゃないよね?」
私はしゃがんで額にキスをした。
「一度もそんな子だったことはないよ。咲良は何も悪くない」
9
次の裁判所での手続きを三日後に控えたころ、和子が私の母の遠い親戚を通じて、話し合いの場を設けたいと言ってきた。謝罪と和解をしたいらしい。
場所は月瀬市郊外の日本料理店だった。先に送られてきた条件を田中弁護士に見てもらい、私は一人で出向くことにした。咲良は母の家に預け、会社の警備担当者には店の外で待ってもらった。
個室には和子と翔太、真由美、それに仲介役の年長の親戚二人がいた。和子が酒の入った小さな杯を持ち、泣きながら近づいてくる。
「美咲、悪かったと思ってるのよ。翔太はお金もないし、理奈さんにも振られたし……」
和子は杯を置き、私の手に触れようとした。
「昔のお金のこと、もう勘弁してくれない? この年寄りを助けると思って」
親戚も口を挟んだ。
「美咲さんは稼いでるんでしょう。そのくらい、どうにかならないの?」
「十年も夫婦だったんだから、話し合いの余地くらい残してやってもいいんじゃないか」
咲良の具合を尋ねる人はいない。私は言った。
「私のお金をどうするかは、私が決めます。咲良は、あなたたちに何も借りていません」
健太が奥から現れ、用意していた書類をテーブルに置いた。
「美咲、ここにサインしてくれたら、君のマンションから出る。離婚にも応じるし、咲良の親権も争わない」
健太は書類を私のほうへ押した。
「もう、お互い別々に暮らそう」
私は書類を一枚ずつめくった。最後のページだけ、太字で囲まれた条項があった。
咲良が髪を剃られた件や、そのほかの虐待について、インターネット、職場、公共の場で口外しないこと。保存している映像は削除し、今後その事実を理由に高梨家の責任を追及しないこと。
私は書類を伏せた。健太は、私の手元のペンをじっと見ている。
そのとき、母から電話がかかってきた。
「美咲、今どこ? 和子さんが急に来たの。悠斗くんまで連れて」
私は席を立った。
「咲良は?」
「家の中にいるわ。鍵もかけたから大丈夫。でも、外で大声を出してて……」
電話の向こうから、聞き覚えのある声がした。
「ハゲの咲良、出てこいよ! お前のせいで家が買えなくなったんだぞ!」
悠斗だった。
私は和子がさっきまで座っていた場所を見た。杯とバッグは残っているが、いつの間にか本人の姿が消えていた。
母に連絡を入れ、先回りさせたのだろう。
「母の家にまで行かせたの?」
私は健太を振り返った。彼も驚いた顔で入口を見ている。
すぐに母へ警察に連絡するよう頼み、咲良を外へ出さないよう伝えた。
健太の前に戻り、和解書を押し返す。
「サインしない」
「離婚にも応じるって言ってるだろ! ほかに何が望みなんだよ」
「咲良に近づかないでって、何度も言ったでしょう」
私は弁護士から預かった三組の書類をテーブルに置いた。
「貸した分は返してもらう。そのための記録も残ってる」
真由美に向き直る。
「真由美さん。咲良の写真をこれ以上広めないで。書き込みのことも、弁護士に相談してる」
最後に健太を見た。
「健太。会社の八千万円の件も、なかったことにはできない。あの書類に私の名前を使ったのは、あなたでしょう」
親戚の一人が箸を置いた。もう健太の代わりに話す人はいなかった。
「美咲! どこまでやれば気が済むんだよ。いいかげんにしないと、こんなテーブル、ひっくり返してやる!」
健太の腕が酒瓶に当たり、瓶が倒れた。
廊下から足音が聞こえた。
扉を開けたのは、黒いコートを着た理奈だった。
私は店に来る前、販売センターでの録音について確認したいことがあり、理奈に連絡していた。彼女からは、原本を持って近くまで行けると返事が来ていた。
「美咲さん、今、大丈夫ですか?」
私はうなずいた。理奈は翔太のほうを見ることなく、バッグからスマートフォンを取り出した。
「販売センターでの話、録音が残っています。翔太たちが子供のお金を使ったって話していたところも」
理奈は画面を私に見せた。
「必要なら、このまま警察に提出します」
「理奈、何でそっちの味方をするんだよ!」
翔太の問いに、理奈は静かに答えた。
「子供を傷つけておいて、自分たちが被害者みたいに話すのを、もう見ていられないから」
和子がまだ外から戻らないまま、誰かが倒れた酒瓶を起こした。畳に染み込んだ酒を拭こうとする親戚の手つきが、妙にぎこちなかった。
私は田中弁護士に連絡し、その場を後にした。
10
秋になり、数か月続いた離婚訴訟の審理が大詰めを迎えた。その日は雨風が強かった。
健太は会社関係の書類や資金の問題で勤務先の調査を受け、仕事も一時的に変更されていた。しわのついたスーツに、疲れきった顔。和子も離れた席でうつむき、私と目を合わせようとしない。
私たちは送金履歴、カメラの映像、咲良についての医療・心理面の資料、会社の承認記録をそれぞれ必要な手続きに提出してきた。離婚の争いと、会社の件や個別の金銭請求は、同じ審理ですべて決まるものではない。
最終的に、私と健太の離婚は認められた。咲良が受けた扱いと現在の生活状況などを踏まえ、親権は私が単独で持つことになった。今後の父子交流についても、咲良の安全と気持ちを考慮して別途決められる。
結婚前に購入したマンションは私の財産として扱われた。無断で移された教育資金二百四十万円についても、調査と請求を経て返還や負担の整理が進んだ。
十年間に高梨家へ支出した二千五百四十万円余りは、弁護士が一件ずつ確認した。貸付けと証明できる分など、法的に返還を求められるものについては請求を続けている。会社の資料が不正に使われた疑いも、別の調査が進められていた。
咲良の写真を勝手に広めたことや、侮辱を繰り返したことについては、和子と真由美に投稿の削除や再発防止、賠償などの対応を求めた。娘に必要な心理的ケアの費用についても、弁護士を通して整理している。
和子は説明を聞き、服の裾を握り締めたまま下を向いていた。
裁判所を出ると、雨は上がっていた。健太が階段の下から駆け寄ってくる。
「美咲、俺が悪かった。本当にそう思ってる。咲良と少しだけ話せないか」
健太は私の返事を待った。
「俺はあの子の父親なんだ」
咲良は私の母と車で待っていた。私の姿を見つけると、自分でドアを開けてそばへ来る。健太がランドセルの肩ひもに触れようとした。
「咲良……。パパって呼んでくれないか。守ってやれなくて、ごめんな」
咲良は私の後ろへ隠れなかった。帽子に手をかけ、ゆっくり脱ぐ。
あの日から半年以上が過ぎ、頭には黒い短い髪がふさふさと生えていた。
「パパ。わたし、今はお肉を食べてもいいんだよ。帽子も、自分でかぶるか決めていいの」
健太は何か言いかけたが、咲良が続けた。
「ママが言ってた。わたしの運は、誰かにあげなくていいんだって。だから、もうあげない」
健太は伸ばしかけた手を下ろした。私は娘の手を取り、車へ戻った。
それから二か月後、月瀬市で小学生の現代詩朗読大会が開かれた。咲良は学校の代表として出場することになった。
私は赤いチェック柄のジャンパースカートをデザインし、仕立てを三度直してもらった。大会の日、咲良はその服を着て、すっきりした短い髪のまま舞台に立った。
ほかの女の子たちは編み込みにしたり、かわいい髪飾りをつけたりしていた。咲良の髪はまだ耳が出るほど短い。それでも背筋を伸ばしてマイクの前に立ち、最後まで詩を読み上げた。
朗読を終えた咲良が、舞台の中央で一礼した。客席から拍手が起こる。
司会の先生が笑顔で声をかけた。
「咲良さん、素敵な朗読でした。今日のお洋服も、ショートヘアによく似合っていますね」
咲良は少し照れたように笑った。
「ありがとうございます。髪はまだ短いけど、わたし、このくらいも好きなんです」
「そうなんですね」
「朝、結ばなくてもいいし、ちょっと長く寝られるんです」
客席から小さな笑い声が上がった。咲良も笑い、もう一度お辞儀をして舞台を降りた。
咲良は二位になり、きらきらしたクリスタルのトロフィーをもらった。帰りの車でも膝に抱えたまま、何度も名前の刻まれた台座を見ていた。
お祝いに、市内の日本料理店へ行った。角煮の定食を二つと、追加の肉を一皿。咲良は料理が運ばれるなり目を輝かせ、いちばん大きな肉を自分の器に取った。
そのときLINEの通知が続けて鳴った。送り主は和子だった。
「美咲、私です。翔太はまだ調べられているし、仕事も落ち着かないの。私も体調が悪くて病院に行きたいんだけど、二十万円だけ貸してもらえないかしら。あなたが入院したときは、私も何日か世話をしたでしょう。今回だけお願い」
私はメッセージを保存し、田中弁護士へ転送した。返事はしなかった。
スマートフォンを伏せると、咲良が箸で大きな角煮を持ち上げ、得意げに見せてきた。
「ねえママ、これ見て。すっごく大きい!」
「おいしい?」
「うん! 甘くて、やわらかくて、おいしい! また来ようね」
食後、手をつないで商業施設を歩いていると、咲良が美容室の前で足を止めた。店先のヘアカタログに、軽くカーブした前髪のショートヘアが載っている。
「ママ、今度これにしたい。前髪がくるんってしてて、かわいい」
私は伸びてきた娘の髪をなでた。
「もう少し伸びたら、切ってもらおうか」
「わたしが美容師さんに、どうしたいか言ってもいい?」
「もちろん。咲良の髪だもの。自分で決めていいんだよ」
咲良は笑い、私の手を引いて出口へ歩き始めた。道すがら、次は前髪をどんなふうに切ってもらうか、楽しそうに話し続けていた。




