3.サファルコ教会
※この物語を第三話から初めて読んでいただくと、何言ってんじゃこりゃとなる確率がひじょーーーーーーに高いので、最初からお読みいただくことをお勧めいたします!!
あの賢者が来てからだよな、おかしくなったの……
俺は朝早く、先週賢者が座っていたカウンター席に腰かけて考えていた。
そう。あの賢者が来た日から、なんだかおかしくなったのだ。
最初より確実に大きくなった、カウンターの焦げ跡。
賢者が来た後に来店する異世界からの客が共通して持っている、顔の頬の痣。
そして仏壇に飾ってある、ばあちゃんの写真の端に突然出来た黒い”焦げ目”のようなもの。
全てが賢者の何かに共通している気がする。
謎が深まるばかりだ、とそれっぽいことを口にして、俺は顎に手を当てる。
母ちゃんは闘病中だから詳しいことは聞けない、それに当分の店の営業は全て俺に託されてしまっている、こんなことを一日とかかけてゆっくりは考えられない。
ったく、ほんとになんで母ちゃんは営業を俺に託すかなあ?
母ちゃんが病院でも診断不可な病気に感染してるんだったら、休む方が妥当だろ……
いやいや、今そんなこと言ってる場合じゃない、とりあえず準備しよう。
俺は厨房の掃除をして、卵焼きを大量に準備した。
「ふうっ……こんだけありゃ最初の方は耐えれるだろ……」
そんな独り言を呟いていると、ガラッ、と勢いよく戸が開いて、十人くらい客が押しかけてきた。
「大将殿!! 今日は俺の友達の信者達を連れて来たぞ!!」
先週から毎日来る、探検家のアルスさん。
サファルコ教会という、賢者がトップを務めているところの信者だそう。
「あ、あざっす…! じゃあ今日もご注文は卵焼きですか?」
「もちろんだ!! ここの卵焼きは絶品だからなあ! 卵焼き十個! よろしく!」
「かしこまりました! こちら卵焼きです!」
俺は作っておいた卵焼きを一人ひとりの前に置きながら、顔の頬に痣があるかこっそり確かめる。
三人くらい確かめたところで、一人の中性的な人に見つめられてしまった。
「? どうされましたか、大将。」
「え、あ、なんでもないっす! すいません!」
やべっ、あまり見すぎたか、次から気を付けなければ。
「あ、そうだ、わたくしトウロと申します。男っぽいので男かとよく思われますが実際女です。以後お見知りおきを。」
「え、あ、はい!」
唐突に自己紹介をされて驚いたが、なんとか返事をすることが出来た。
俺は厨房に戻り、作業をするふりをしながら全員の顔の頬をよく見る。
…うん、うん………やはり客は全員顔の頬に痣があるみたいだ。
うーん、もう謎がいっぱいすぎる…ここは割り切って聞くか? どうせ考えても分からんし。
「あ、あの…」
俺は勇気を出して、アルスさんに声をかけた。
「ん? どうした大将!」
アルスさんは卵焼きを頬張りながら俺に笑いかける。
「失礼かもしんないですけど、ずっとみなさん顔の頬に痣があるなーって思ってて…何か意味があるんですか?」
「ああ、これ?」
そう言ってアルスさんは自分の頬にある痣を指さす。
「あ、はいそれです!」
「ああこれ? これはサファルコ教会の信者なら全員持ってるよ! 入信する時に、教祖が直々に自分の頬に痣を付けてくれる! で、教祖が信者に行くことを強く勧める”境界の店”を見つけたら、教祖がその店に杖で焦げ目を付けるんだよ! そうすると痣が反応して、その境界の店の位置情報が頭の中に入る。信者はそこに行くっちゅうわけ! でもあまり行かない人もいるから、焦げ目は段々時間が経つと広がって、さらに痣を反応させて行かせるのよ!」
アルスさんは長ったらしく色々と話す。
「おい、アルス!! それ言っちゃダメなやつだろ!! 何やってんだよお前!!」
トウロさんが慌ててアルスさんの口を塞ぐ。
「あ、やべっ! まあ大将ならいっか! じゃあまたな大将! また明日来るわ!」
アルスさんは卵焼きを平らげ、外へ出て行った。
「チッ、あいつ…! あ、大将、ご馳走様でした。また来ますね。ほら!お前らも帰るぞ!」
トウロさんは仲間と一緒に外へ出て行った。
「ま、またのご来店をお待ちしておりますー!」
俺は慌てて頭を下げた。
ふうっ、疲れたーッ…!!
俺は椅子の背もたれに寄りかかる。
でも、謎は結構解けたな。
結構収穫が多かった。
……さて、また頑張りますかね!
俺は頬を叩きながら、もう一度立ち上がった。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!!
次回もお楽しみに!!
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それでは!




