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手紙01. 赤い街

作者: 華城渚

死ぬときってどんな色がするんだろう。


死ぬときってどんな景色が見えるんだろう。


死ぬときってどんな気持ちを抱くんだろう。




やっぱり、赤色なのかな?




それとも、僕の知らない色なのかな?




この世界は赤色に染まっている。


いや、もしかしたらこの街だけかもしれない。


僕がこの街から出たことがないから知らないだけかもしれない。


僕の視界には赤しか映らない。


建物、食べ物、動物、パソコン、鉛筆、ノート、人間。


赤以外の色を見たことがない。


でもテレビではよく聞くんだよね。



「見てください!赤ちゃんが生まれましたよ~。かわいくてすべすべした卵肌です~。」



卵肌って何色なんだろうな。


てっきり赤色に染まってるから赤ちゃんって名前がついてるもんだと思ったのに。


まあ、それなら全部に赤って付いてないとおかしいのかな?


僕がおかしいだけとも思ったよ。 でも違うみたいだ。


以前同級生だった友達に聞いてみたんだ。



「周りが何色に見えるかだって? そんなの赤に決まってるじゃないか。」



やっぱりほかの人にも同じように見えている。


僕だけがおかしいだけじゃないんだ。


そもそもおかしいって考えが間違ってるのかな?


この街が正しくて、テレビの情報が間違ってるかもしれないし。


だから先生だった人にも聞いてみたんだ。



「テレビで言ってることは正しいかはわからないな。 言ってる意味がいまいちわからないんだよ。 だからもしわかったら先生に教えてほしいな。」



先生だった人に聞いてもなにもわからなかったよ。


僕と同じように意味が分からないんだって。




今度は図書館に行ってみたよ。


図書館なら何かわかるかもしれないでしょ?


え? ネットの情報はダメなのかって?


見てもいいけどわからないことだらけだよ。


色に関しての情報もあるけど僕の頭では理解できなかったんだ。


書いてある意味が理解できなくてね。


だから図書館に行ったよ。


見た目は赤色に染まってたな。


並んでる本も赤色に染まってて読みづらかったけど、頑張って読んだよ。


でも僕の知ってることだけだったな。


というか赤色についての情報しか載ってないんだよ。


行くだけ無駄だったな。


いっそのこと誰か目の前で死んでくれる方がいいんじゃないかって思ってきたよ。


だってそしたら何色になるのかわかるでしょ?


死ぬ間際に何を見たのか、何を考えたのかとかは僕が死んだ後に聞けばいい話だし。


だから今度は夜?の街を徘徊してみたんだ。


昼間?のうちに死ぬ人なんていないだろうしね。


夜?はすごく静かだったな。


歩いてる人はあんまりいなくて、車も走ってなかったかも。


だから死にそうな人なんていなかったし、誰かを殺そうとしてる人もいなかったな。


少し残念に思ったけどそれが普通だもんね。 多分。


そういえば、僕のことは何にも話してなかったよね。


...いる? 僕の情報。


あってもなくてもこの街にはあんまり関係ない話かもしれないなぁ。


だからサイゴニ伝えるよ。




一日はいつも通りに過ぎてくね。


何の変哲もない一日だよ。 周りが赤色になってるのを除けばかな。


誰も気にせずに過ごしてるよ。 気にする方が無粋なくらいにね。


最初は気になるかもしれないし、気が狂うかもしれないけど。


じきになれるんじゃない?




この街にも季節は巡ってくるみたいなんだよね。


ちゃんと雪も降るよ。 赤いけど。


雨も降るよ。 赤いけど。


日差しも照らしてくるよ。 赤いけど。


赤いからなのかな? どんなものもあったかく感じるんだ。


雪が降ってもそんなに寒くは感じないんだよね。




......赤ってあったかい色なんだっけ? まぁなんでもいっか。


雪が降ったら子供だった人たちはみんな遊んでたよ。


でも雪が赤いからちょっと不気味に見えちゃったけどね。


他の色なら不気味には見えないのかな? 同じようなものかな。


あぁ、街の人も気になるよね。


大丈夫だよ。優しい人ばっかりだったから。


だって僕が同級生だった人の家にお邪魔したとき、泊っていきなよってすごい言われたからね。


悪いからやめようと思ったんだけど、頑なに意見を変えないから泊めさせてもらったな。


だから怖がらなくても大丈夫だと思う。









あとは、何を話したらいいかな?


僕が覚えてることは全部話したつもりなんだけど。


まぁ、来てからでも遅くはないかな。


ああ、サイゴニなるけど死ぬときには世界は結局赤色だったよ。


僕はそうだった。 これを読んでる君は違うかもしれないけど。







結構読むの疲れたんじゃない? 文字も赤色に染めてたし。


僕から出た液体?で書いたから読みづらかったでしょ?


だって周りに紙はあったけどペンはなかったんだもん。 仕方ないよね。


だから、なんというか、呪いみたいになってるかも。


あながち間違いではないかもしれないけどね。







最後まで読んでくれた?


そしたら儀式は成功してるはずだよ。


これを読んだ君が寝て、起きた時に視界が赤色になってればね?








ようこそ、赤い街へ。


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