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偶然

「あ、この本も面白そう。」


本日3軒目となる本屋さんで、私は1冊の本を手に取った。


私は今日、朝から街へと遊びに繰り出していた。とはいえ、午後からはジュードの授業があるので2、3時間で帰らなくてはいけないのだけれど……。

もちろん、公爵令嬢という立場上1人で出かけてはいない。お付きのメイドさんもちゃんといる。


「クロエお嬢様。既に8冊も買っていますし、今日はこのくらいでよろしいのでは?」


彼女…ルフィアは少しだけ呆れたように笑う。


ルフィアは私の14歳の誕生日の時にお父様がつけてくださった私の専属メイドである。とても優しくて、頼りになる綺麗なお姉さんだ。実はとても強くて、私の護衛も兼ねている。


「あー、そうだね。じゃあ、コレで最後!……おじさん、この本ください。」


私は手に持っていた本だけ買うことに決めて、店の奥にいた店主へと声をかけた。






「うん、満足。」


会計を終えて、私達は店を出た。

ちなみに買った本は全部、公爵家へ直接届けてくれるらしい。……貴族って便利だな。


「……さて、と。この後はどうしようかな。」


まだ、少し時間には余裕がある。

けれど、特にしたい事も思いつかなかったので私達は街を見て回ることにした。


久しぶりに来た街は相変わらず賑わっていて、見て回るだけでもとても楽しい。


「そういえば、この先に新しくおしゃれなアクセサリーのお店ができたそうですよ。メイド達の間でもよく話題にでています。」


そう言ってルフィアが指を挿した先を見ると、確かに外装からおしゃれな感じが漂っているお店が見える。


「へぇ、ちょっと興味あるかも。」


思わず、そのお店へと足が向く。

ショーウィンドウをみると、おしゃれで綺麗な商品や可愛らしい商品が並んでいる。とても女性ウケしそうだ。


「なんでも、貴族の御令嬢の間でも噂になっているらしく、お忍びて来られる方も多いそうですよ。」

「そうなんだ。ちょっと入ってみようかな。」


そう言って私はお店の扉に手をかけようとするが、中から1組の男女が出てこようとしているのを見て、咄嗟にドアの横へ移動する。


(こういう時は、出る人が先だよね。)


そう思って待っていると、ドアが開きその2人が出てきた。そして、聞くつもりは無かったのだが、2人の会話が耳に入ってくる。


「本当にいいの?こんないい物買ってもらっちゃって。」

「ああ、もちろん。綺麗なキミにとっても似合ってるよ。」

「ふふふ、嬉しい!」

「俺も、キミみたいな魅力的な女性と知り合えて嬉しいよ。今日はついてるな。」


小っ恥ずかしい言葉の数々でこっちが居た堪れなくなり、2人から視線を逸らす。


(よく人前でいちゃいちゃできるな。……ん?)


しかし2人の会話を聞いていて、ふと気づく。


(なんか男性の方の声聞いたことがあるな……。)


そう思って、パッと顔を上げると……その男性はメガネをかけていない、裏モードのジュードだった。


「あ」

「……げ!」


思わず出てしまった私の声に、ジュードがこちらをチラリと見る。そして私だと認識した瞬間、一気に眉間に皺が寄った。


(ヤバイ、早くここを離れよう。)


なんとなくそう思った私は、ルフィアの方を向いて彼女の肩を掴む。


「ルフィア!やっぱり帰ろ!このお店は今度来よう!そうしよう!」

「お、お嬢様?いきなりどうしたんですか?」


私はその質問には応えず、困惑しているルフィアの手を取り、駆け足で来た道を戻る。

なんか、後ろからジュードの声が聞こえる気がするが知った事ではない。



何とか、乗ってきた馬車が停めてある場所まで戻ってきた。振り返ってもジュードの姿はなく、追って来ていない事にホッと一息吐く。


「お嬢様、本当にどうしたんですか?」

「いや?なんでもないよ?ただ、早く家に帰りたくなっただけで……」


なんとなく、ジュードの事は伏せておいた方が良いと思って私は笑って誤魔化した。


私とルフィアが馬車へと乗り込むと、馬車はゆっくりと動き出す。

私は窓の外を眺め深くため息を吐いた。


(まさか、ジュードとここで会うとは思わなかった。……しかも女の人と一緒にいるし、気まずすぎるでしょ!)


そして何より、裏モードのジュードに会ってしまったことがマズイ。絶対にマズイ。

……午後からのジュードの授業、絶対に気まずい。

私はもう1度深くため息を吐き、頭の中でどうするべきか考えるが何もいい案が浮かばない。


(本当、どうしよう。………ああ!もういいや!私からは何もしないでおこう!うん、それがいい!……ジュードから何か聞かれたら、知らぬ存ぜぬで押し切ろう。)


途中から何だか思考がヤケクソになったが、それしか考えつかない。

色々考えているのがたぶん表情に出ていたのだろう、ルフィアが私を心配そうに見つめている。

そんな彼女に大丈夫、という意味を込めて笑顔を返すが、すぐにまた私はため息を吐いたのだった。

読んでいただいき、ありがとうございました。

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