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好き

クロエ視点に戻ります。

「……レイス、リオンと話せたかな。」


私は自分の部屋のソファに座り深く体を沈めて、先程のリオンの様子を思い出す。


お祖父様が帰った後、リオンの様子が少し変だった。何かこう、悩んでいるような……。けれど私には笑って誤魔化したので、私には言えない事なのかなと思い、レイスにそれとなく尋ねて欲しいと頼んだのだ。


(少し表情が暗かったし……レイスにはちゃんと話せるといいな。)


ふと、壁にかかっている時計が目に入る。


(……少し早いけど寝ようかな。お祖父様と話したの、思ったより緊張してたみたいで疲れたし。)


そう思い、ソファから立ち上かった時、控えめに扉がノックされた。


「どうぞ。」


レイスかな?と思いながら声をかける。

扉が開き部屋に入って来たのはリオンだった。

レイスが上手く話を聞いてくれたのか、その顔には先程感じた暗さはない。

代わりに何か決意をしているような、けれど少し緊張しているような、一言では例えられない表情をしている。

……でもこれだけは言える、迷いは吹っ切れた顔だ。その顔を見て、ホッとする。


「姉様、少しお話しても良いですか?」

「もちろん。」


私が笑顔で頷くと、リオンは一度深く呼吸をするとゆっくりと私に歩み寄り、私の手をギュッと両手で握りしめ少し俯きながら話し出す。


「姉様、僕は……姉様の事が好きなんです。」

「?うん、私も好きだよ?」


姉として好きだと言ってくれたのであろうリオンに、突然どうしたのかと思いながらも好きだよと返すと、リオンは首を横に振り「違うんです……!」と、俯いていた顔をパッと私の方へ向ける。

その顔は少し泣きそうだが今まで見た事がないくらい真剣で、少し赤い。


「きっと姉様の今の『好き』は、弟として僕の事を好きってことですよね?……違うんです、僕の姉様への『好き』は、兄様と同じ……。恋愛感情の『好き』なんです……!」


(……え?は?リオンが私の事を好き?家族としてじゃなく?恋愛感情として?……うん?待って待って!え?いつ?いつから?……いや、というか、え?どういうこと?)


リオンからの突然の告白に私の頭の中はパニック状態になり、固まってしまう。

そんな私の状況を知ってか知らずか、リオンは握っている私の手を自分の胸の辺りへと持っていく。

リオンの速い鼓動が手から伝わってくる。


「さっき、気づいたんです。僕は初めて姉様に抱きしめてもらった時から、姉様に恋をしているんだって。……だから兄様にも姉様の事、譲りたくない。」


リオンの真剣な瞳から視線が逸せないし、何か言いたくても言葉が出ない。


「……だから姉様、僕の事、弟として見るだけじゃなくて、姉様の事が好きな1人の異性として見て?」


たぶん無意識なのだろうけど、上目遣いで小首をかしげるリオン。


(私の弟、あざとくない?とういうか、どこでそんな告白の仕方覚えたの?お姉ちゃん、びっくりだよ。…………じゃ、なくて!)


あまりのリオンの可愛さに、一瞬思考が変な方へ行った自分にツッコミを入れる。


……ああ、顔が熱い。

そんな私の顔を見て、リオンは笑みをこぼす。


「……ふふふ。姉様、顔真っ赤。これで少しは僕の事、意識してくれますか?」

「……わ、わかった。わかったから、ちょっと待って。」


やっとの思いで言葉が出る。それでもまだ、頭の中はぐちゃぐちゃだ。

そんな私にリオンは微笑む。


「……今はまだ返事はいりません。姉様が今は誰の事も好きじゃないってわかってるから。……僕は、姉様に好きになってもらうように努力します。」


そう言って私の手の甲にキスを落とし、リオンは私の手を離す。

その行動にまた私は固まってしまう。

そんな私に小さく笑いかけて、リオンはそのまま小走りで扉の方へ向かう。そして、一度こちらへ振り返る。


「それじゃあ、おやすみなさい姉様。大好きです!」


笑顔でそう言い残して、リオンは私の部屋を出て行った。

1人残された私は、フラフラとベッドへと倒れ込み枕に顔を埋めて、思いっきり叫ぶ。


「こんな状態で寝られるわけないでしょ‼︎」


その日、結局私は一睡もできず朝を迎えるのだった。

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