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アストレアかクロイツか

お祖父様と話をしているとあっという間に時間は過ぎていた。


「ああ、もうこんな時間か。そろそろ帰らないとな。…………なあ、クロエ。」


お祖父様は時計に目をやった後、真剣な顔で私の方へ向き直りゆっくりと口を開く。


「クロエ、どうだろう?私の養子になって、クロイツ領に来ないか?……私にとってクロエは、アリスが残してくれた大切な孫だ。一緒に暮らそう。」


お祖父様からの突然の提案に私は驚いて、目を丸くする。

慌ててお父様とお母様の方を見ると、2人とも少し複雑そうな顔をしている。


「私達はクロエ達が応接間にくる前に、この話を聞いていたの。……けれど、私達が決める事ではないでしょう?」

「……クラリスの言う通り。これはクロエ自身が決める事だ。クロエがどんな決断をしようと………私達は受け入れるよ。」


2人はどうやら私の意思を尊重するつもりみたいだ。


お父様とお母様の言葉を聞いてから改めてよく考える。


クロイツ領で暮らす事にすれば、もしかしたらゲームのストーリーに関わる確率は下がるかもしれない。なぜなら、クロイツという名前はマジスクには一切出てこないからだ。

背景にすらならないモブを目指すなら、きっとこの提案に乗るのがいいのだろう。


(……いや、うん、すでに攻略対象達に関わっているから、お祖父様の養子になったところで感は否めないけど……それは一旦置いておこう。)


私がそんなことを考えていると、隣にいたリオンが無言で私の手をギュッと握る。リオンの顔を見ると、その瞳は不安そうに揺れている。

これはたぶん、行かないでって顔だ。


改めてみんなの顔を見回す。

お父様もお母様も私の意思を尊重するとは言ってくれていたが、やはりどこか悲しそうで私を引き止めたそうだ。

レイスは少し眉間に皺を寄せて、何か考え込んでいる。……なんだろう、引き止める口実かな?


(……愛されてるな、私。)


嬉しくて思わず、笑ってしまう。


そんなみんなの顔をみて、私は少し想像してみる。……みんなと、離れて暮らす想像を。


(………ああ、結構辛いな。……ははは、私もみんなのこと大好きなんだな。)


答えは出た。


私はお祖父様に向き直る。


「お祖父様、そう言っていただけてとても嬉しいのですが、私はーー」


クロイツ領には行けません、ごめんなさい。と頭を下げて謝ろうとした瞬間、私の言葉を遮ってレイスが口を開く。


「閣下、そのお話、あと10年待ってもらえませんか?」


レイスの一言にこの場にいる全員が目を丸くする。


「レイス?突然何をーー」


お父様が慌てて止めようとするが、レイスは気にせず話し続ける。


「俺は、クロエの事が好きです。もちろん家族としてもですが、恋愛感情として好きなんです。既に告白もしています。できれば、結婚したいとも考えています。まだ、返事はもらっていませが、絶賛口説き中です。」

「ちょっと、レイス⁉︎」


私は恥ずかし過ぎて思わず声を上げる。

突然のレイスの告白に、お母様は自分の子供の恋バナに若干テンションが上がり、お父様は「やるな、我が息子。」みたいに感心しているし、リオンは驚き過ぎて固まっている。

お祖父様は、「ほう……」と言って腕を組みレイスの話の続きを待っている。

そんな中レイスはいつも通りの無表情で、淡々と話し続ける。


「俺、クロエが閣下の養子になる事自体は賛成なんです。義理の兄弟のままでも結婚は可能ですが、この国ではあまり前例がない。クロエが閣下の養子になってくれれば、兄弟という立場ではなくなり、何も気にする事はなくなります。それに、俺と閣下の養子となったクロエが結婚すればアストレアとクロイツ、お互いの家の結びつきも強くなると思いませんか?」


いつ息継ぎをしているのかと疑いたくなるくらいに、レイスの口からスラスラと言葉が出てくる。……私が口を挟む隙が全くなかった。


お祖父様はレイスの話を聞いた後、少し考えて口を開く。


「……では、なぜ10年後なのだ?今すぐ私の養子にしてもいいのではないか?」

「俺達が成人するのが10年後ですし、それに……。」


一瞬レイスは黙る。そして、私をチラッとみた後、お祖父様の方を真っ直ぐ見つめる。


「俺が、まだクロエと離れて暮らしたくないんです。……閣下、子供の我儘だと思ってください。」


レイスのその答えに、お祖父様はふっと笑みを浮かべる。


「わかった。ただし、レイス、その時までに口説き落とせていなくても、10年後クロエはクロイツへ連れていくぞ?」

「はい。」


レイスが真剣に頷くと、お祖父様も納得したように頷いた。


何故か私は10年後お祖父様の養子になって、クロイツで暮らす事が決定したらしい。


「……いや、私の意思は⁉︎ていうか、私もともとクロイツ行き断ろうとしていたんですが⁉︎」


ワンテンポ遅れて、私のツッコミがアストレア家に響き渡った。

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