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ブルーダイヤのネックレス

「お待たせしました。先程お話しした、ゲルドおじさんからいただいた物です。」


そう言って、私は自分の部屋から持ってきたゲルドおじさんが描いてくれた家族の絵と、お母さんの形見のネックレスが入った小さな箱をテーブルの上へ並べる。みんな興味深そうに、私が持ってきたその2つを見つめている。


「姉様、この小さな箱には何が入っているのですか?」

「私のお母さんの形見のネックレスだよ。」


そう言いながら、箱を開けネックレスをそっと取り出す。


「とても綺麗ですね。これは本物の宝石ですか?」

「うーん、どうだろう?」

「……それ、は、本物のブルーダイヤモンドよ。」


そう小さく、お母様は震えた声で呟いた。

様子がおかしいと思い、お母様の方へ顔を向けると目を見開いてネックレスを見つめていた。

お母様の隣にいたお父様も驚いた表情をしている。


「クロエ、本当に、これは君のお母さん、エリーさんが持っていた物かい?」

「は、はい。父のルーカスに森で助けられた時には、すでに持っていた物だって聞いてます。……母は、これが唯一の過去とのつながりだって、いつも大切にしていました。」


あまりにも真剣な声と表情で聞いてくるお父様に、思わず緊張して姿勢を正して答える。

私の話を聞いたお父様は、難しい顔をして考え込んでしまう。


(……もしかして、このネックレス、盗品……とか?……ま、まさか、お母さんが盗んだんじゃ……いやいや、まさか!ないないない!)


私は思わずしてしまった最悪な想像を、慌てて頭から振り払う。


「ね、姉様?こっちの紙には何が描かれているのですか?」


リオンもお父様とお母様の異変を感じたのだろう、話題を変えようとおじさんが描いてくれた絵を指して尋ねてくる。


「あ、ああ、それはゲルドおじさんが描いてくれた、私達家族の絵だよ。」

「見てもいいですか?」


いいよ、と頷けばリオンはそっと紙を開く。


「うわぁ……まるで本物みたいな絵ですね!」


リオンの横から絵を覗き込んでいたレイスも感嘆の声を上げる。


「本当だな……これは凄い……。」

「ここに描かれているのが、姉様の本当の両親……。姉様は、お母さん似なのですね。瞳の色も同じで、エリーさんと瓜二つです。」

「そうだね、近所の人にもよく、そっくりねって言われてたなー。」

「……お2人とも、とても優しそうな方達ですね。」

「ふふふ、ありがとう、リオン。」


絵を見ながら3人で盛り上がっていると、お母様に声をかけられる。


「……クロエ、その絵、私にも見せてくれるかしら?」

「もちろんです。」


お母様の表情はどこか固い。そんなお母様が少し心配だが、私は絵を差し出した。

お母様は震える手で絵を受け取る。そして、恐る恐る絵に目を落とすと、口元を手のひらで抑える。その目には涙が溢れている。


「ああ……やっぱり……アリスだわ……。間違い、ない……。」


そう呟やくと、お母様は堰を切ったように泣き出す。そんなお母様を、隣にいたお父様が抱きしめ落ち着かせるように背中をさすっている。そのお父様の目にも涙が浮かんでいる。

状況が全くわからない。私とリオン、それにレイスまでもが慌てて、2人へと駆け寄る。


「お、お母様?大丈夫ですか?」


そう尋ねても、お母様は泣くばかり。代わりにお父様が口を開く。


「すまない、みんな。後でちゃんと説明するから、少し待っていてくれ。クラリスを落ち着かせてくる。」


そう言うと、お父様は泣いたままのお母様を支えて、ダイニングルームから出て行ってしまった。


残された私達は訳がわからず、お互い顔を見合わせて首を傾げた。

読んでいただいき、ありがとうございました。

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