ネックレス
おじさんともう一度両親のお墓に手を合わせてから、私達は墓地を後した。
そしてそのままの足で、おじさんの家へとお邪魔することに。久しぶりに来たおじさんの家は少し本が増えたくらいで、あまり変わっていなくて安心する。
「まさか、クロエが公爵令嬢になるとはな!いやはや、驚いて寿命縮んだぞ!」
「あははは、だよね。驚くよね。」
お茶を淹れながらおじさんは笑う。差し出されたお茶を飲みながら、私もつられて笑ってしまう。
それからどのくらい話しただろう。お互い話したい事がいっぱいあって、時間が経つのを忘れてしまう。
「ああ、そうだ。クロエに会えたら渡したいと思っていた物があったのを忘れとった。ちょっと、待っとってくれ。」
そろそろ帰らなきゃなと思っていた時、おじさんがそう言って2階へと上がっていく。
何かな?と思いながら待っていると、おじさんは少し大きめな丸められた紙と、小さな箱を手に戻ってきた。
「まずは、やはりこっちからじゃな。お前さんにとって大切な物だ。……開けてみろ。」
そう言って差し出された小さな箱を、少しドキドキしながら開ける。
中に入っていたのは、綺麗なネックレスだった。
(……ああ、これは、お母さんのネックレスだ。)
お母さんがとても大切にしていた物だ。
思わず胸の辺りでギュッと握りしめる。
「……これ、どこで?」
「お前さんが孤児院へ行った後、わしは焼けちまったあの家の後片付けをしとったんだ。そしたら、瓦礫の下から出てきてな。本当は見つけてすぐにクロエに渡しに行きたかったじゃが、後片付けの最中ヘマして足を怪我しちまってな……。なかなか会いに行けんかった。……すまんな、こんなに渡すのが遅れちまって。」
申し訳なさそうに謝るゲルドおじさんに、私は首を横に振る。
「おじさんが謝ることなんて何もないよ。むしろ、コレを見つけてくれてありがとう。……足は大丈夫?」
「ああ、遠くへ行くのは厳しいが、日常生活は問題ない。」
「そっか、良かった……。」
そう言いながら、もう一度お母さんのネックレスを見つめる。焼け跡から出てきたのが不思議なくらい、傷ひとつない。
じっと見つめていると、両親との思い出が溢れ出す。ああ、泣いてしまいそうだ。
「………本当にありがとう、おじさん。絶対に大切にする。」
「ああ、そうしとくれ。」
「……ところで、そっちの紙は何?」
おじさんがネックレスと一緒に持ってきた紙を指差して尋ねる。するとおじさんは少し照れくさそうに笑う。
「昔約束しとったろ?お前さん達家族の絵ができたら見せると。」
「ああ!思い出した!完成したの?」
「まあな。」
「見せて見せて!」
おじさんから紙を手渡され、それを広げる。
そこに描かれていたのは、まるで写真のような私達家族の絵。私もお父さんもお母さんも、みんな笑顔で描かれている。
「凄いよ、おじさん!こんな本物みたいな絵、初めて見た!……わあ!本当に凄い!」
「そ、そうか?そんなに褒めて貰えると嬉しいものじゃな。……よければそれも持っていくと良い。」
「いいの?」
「ああ、部屋にでも飾っとくれ。」
「ありがとう!おじさん!」
ネックレスと絵を胸に抱き笑顔でお礼を言えば、おじさんは微笑みながら私の頭を撫でた。
「おじさん、今日は本当にありがとう。会えて嬉しかった。」
「わしもクロエの元気な姿が見れて安心した。またいつでも、遊びにきなさい。」
「うん!」
「またな、クロエ。」
「またね、おじさん。」
おじさんと笑顔で別れの挨拶をして、私は公爵家へ帰るため馬車へと乗り込む。
御者の合図で馬車が動き出す。私は馬車の窓から顔を出し、おじさんが見えなくなるまで手を振っていた。
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