強くなる
彼等が見えなくなり、ホッと一息つく。
そして、背後に庇っていたリオンの方へと体を向ける。リオンは俯いていて、その表情はよく見えない。
「リオン、大丈夫?」
そう尋ねれば、リオンはゆっくりと私の方へと顔をあげる。ずっと我慢していたのだろう。その目には涙が溜まっている。
「……巻き込んでごめんなさい。姉様。」
「何でリオンが謝るの?リオンは何も悪いことしてないよ。私こそ、助けるのが遅くなってごめんね。」
「姉様は、守ってくれました。姉様こそ謝る必要、ありません。」
私の謝罪に対して、首を横に振りそう答えるリオン。その瞳から、堪えきれなかった涙が頬を伝う。しかしすぐにリオンはその涙をグイッと拭うと、決意を秘めた瞳で私を見る。
「……僕、強くなります。今度は僕が姉様を守れるように。……強く。」
その言葉に一瞬驚く。けれどすぐに、驚きよりも嬉しさの方が上回る。
リオンの前向きな言葉がとても嬉しい。
「うん、楽しみにしてる。」
「……はい!見ていてください!」
意気込むリオンの頭を優しく撫でれば、リオンは嬉しそうな笑顔を返してくれた。
「クロエ!」
私とリオンが話をしていると、サラが駆け寄ってきて、私をギュッと抱きしめる。
「聞きましたわ!沢山、酷い事を言われたのでしょう?」
「……まあね。でも私は大丈夫だよ。」
安心させるように、サラの背中をポンポンと軽く叩く。少し落ち着いたのか、サラはゆっくりと私から離れると今度は私の両手を握りしめる。
「本当に?無理しているのではなくて?」
物凄く心配してくれたのだろう、サラの方が泣きそうな顔をしている。
「本当に本当!でも、心配してくれてありがとう、サラ。」
笑いかければ、サラはホッとしたように微笑んだ。
「リオン、クロエ。大丈夫だったか?」
そこへ、少し離れた所で話をしていたアルバートとレイスが私達の元へやって来る。
「はい、兄様。姉様と兄様、殿下が助けてくれたので、大丈夫です。」
「そうか。」
笑顔で答えるリオンに安心したのか、レイスも表情を和らげる。
アルバートも私とリオンの方へ向き、申し訳なさそうに頭を下げた。
「2人共本当にごめんね。俺主催のパーティーでこんな事になるなんて。」
「そんな!アルバートのせいではないので頭を上げてください!」
私が慌ててそう言うと、リオンも同意するようにコクコクと頷く。
そんな私達を見て、アルバートはいつもの優しい笑顔を浮かべる。
「ありがとう。……レイスには話をしたけれど、今回の事は彼等の家族にも報告する。彼等には必ず正式に2人に謝罪させる、安心して。」
アルバートのその言葉に少しホッとする。このまま彼等に何のお咎めがないのも納得できない。私は心の中で小さくガッツポーズをする。
しかし、どうやらそれに納得してない人が2人。
「……子供同士の間で起きた事だから、爵位の剥奪や家の取り潰しなんて事はできないだろうけどな。」
「私も、それくらいしても良いと思いますわ。……レイニーク家からも抗議文を送ろうかしら。」
「……廃嫡なら、いけるか?」
どうやら私が思っていた以上に、レイスとサラは怒り心頭らしい。どんどんその口から出てくる言葉が物騒になっていく。
そんな2人の様子に苦笑していると、ヒートアップする2人を止めるようにアルバートがポンポンと手を叩く。
「2人共、この話はここまで。………リオンには挨拶すらしていなかったね。改めて、会えて嬉しいよリオン。」
「は、はい。初めてお目にかかります、殿下。リオン・アストレアと申します。先程は助けて頂きありがとうございました。」
慌ててアルバートにお辞儀をするリオン。
そんなリオンにアルバートは笑顔で返す。
「どういたしまして。……さて、主催者の俺と公爵家の面々がこんな会場の隅にずっと居るわけにもいかない。さっきの場所に戻ろうか。」
そうアルバートに促され、私達は歩き出した。
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